3月22日は世界水の日:子ども5人に1人が必要な水を得られず【プレスリリース】

水の安全保障をすべての人に

北部トゥルカナ郡の村でユニセフが支援する太陽光発電の給水所で、水を汲む女性と子どもたち。(ケニア、2020年2月撮影) © UNICEF_UNI357335_Brown北部トゥルカナ郡の村でユニセフが支援する太陽光発電の給水所で、水を汲む女性と子どもたち。(ケニア、2020年2月撮影) © UNICEF_UNI357335_Brown

【2021年3月18日 ニューヨーク 発】

ユニセフ(国連児童基金)が発表した新しい分析によると、世界では、4億5,000万人の子どもを含む14億2,000万人以上が、水への脆弱性が高い、あるいは極めて高い地域で暮らしています。これは、世界の子どもの5人に1人が、日々の生活に必要な水を十分に得られていないことを意味します。

この分析は、「すべての人のための水の安全保障」(Water Security for All)イニシアチブの一環として行われたもので、物理的な水不足のリスクと水サービスの水準の低さが重なる地域を特定しています。このような地域で人々は、地表水や改善されていない水源、あるいは水を汲んでくるのに30分以上かかる水源に依存しています。

「世界の水危機は近づいているのではなく、すでに到来しており、気候変動はそれをさらに悪化させるでしょう」とユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは述べました。「最も影響を受けているのは子どもです。井戸が枯れてしまうと、子どもたちは学校を休んで水を汲みに行きます。干ばつで食料が不足すると、子どもたちは栄養不良や発育阻害に陥ります。洪水が起きれば、子どもたちは水に起因する病気にかかります。また、水資源が減少すると、子どもたちは病気を防ぐために手を洗うことができません」
 

北ジャカルタで増水になった自宅近くの外に立つ7歳のサトリオくん(左)と9歳のアフメドくん(右)。(インドネシア、2020年9月撮影) © UNICEF_ UNI390328_Wilander北ジャカルタで増水になった自宅近くの外に立つ7歳のサトリオくん(左)と9歳のアフメドくん(右)。(インドネシア、2020年9月撮影) © UNICEF_ UNI390328_Wilander

本データによると、80カ国以上の子どもたちが、水に対する脆弱性が高い、または極めて高い地域に暮らしています。このような地域に暮らす子どもの割合が最も高いのは東部・南部アフリカで、半数以上の子どもたち(58%)が毎日十分な水を得ることが困難な状況に直面しています。次いで、西部・中部アフリカ(31%)、南アジア(25%)、中東(23%)と続きます。水に対する脆弱性が高い、あるいは極めて高い地域に住む子どもの数が最も多いのは南アジアです(1億5,500万人以上)。

ホットスポットとされる37カ国に暮らす子どもたちは、影響を受けている子どもの数、子どもの割合の面において、特に深刻な状況にあり、資源の投入、支援と行動が緊急に求められています。これには、アフガニスタン、ブルキナファソ、エチオピア、ハイチ、ケニア、ニジェール、ナイジェリア、パキスタン、パプアニューギニア、スーダン、タンザニア、イエメンが含まれます。

水の需要は劇的に増加し続けている一方で、資源は減少しています。急速な人口増加、都市化、水の誤った使用や管理に加えて、気候変動や異常気象により安全に利用できる水の量が減少し、水ストレスが高まっています。2017年に発表されたユニセフの報告書では、2040年までに世界の子どもの約4人に1人が、水源が極端に少ないといった水ストレスが極めて高い地域で暮らすことになると指摘しています。
 

極北州のモラ(Mora)にある学校で、水を運ぶ女の子。(カメルーン、2021年3月8日撮影) © UNICEF_UN0427216_Dejongh極北州のモラ(Mora)にある学校で、水を運ぶ女の子。(カメルーン、2021年3月8日撮影) © UNICEF_UN0427216_Dejongh

水不足の影響はすべての人に及ぶものですが、最も深刻な影響を受けるのは、最も弱い立場にある子どもたちです。脆弱な地域に暮らす子どもや家族は、水が深刻に不足しているだけでなく、水サービスも極めて少ない状況に直面しています。水へのアクセスは、気候変動や異常気象の影響を特に受けやすくなっています。

ユニセフは、すべての子どもが持続可能で気候変動に強い水サービスを利用できるようにするため、「すべての人のための水の安全保障」イニシアチブを立ち上げます。この取り組みは、安全で回復力のある持続可能な水と衛生サービスの必要性が最も高く、かつ緊急性の高い特定のホットスポットに、資金、パートナーシップ、イノベーション、グローバルな対応を結集することを目的としています。

ユニセフは、以下を提供するために取り組んでいます。
  1.  安全で安価な飲料水サービス:持続可能で、身近にあり、専門的に管理された安全で安価な水サービスへのアクセス
  2. 気候変動に強い水と衛生サービスとコミュニティ:気候変動の影響に耐え、低炭素エネルギーで運営され、コミュニティのレジリエンスと適応能力を強化する水と衛生サービス
  3. 水不足を防ぐための早期の対策:資源評価、持続可能な取水、効率的な利用、早期の警告と予防措置
  4. 平和と安定のための水協力:コミュニティや主要なステークホルダーを支援することで、水と衛生サービスの公平な管理が社会的結束、政治的安定、平和を促進し、紛争地域においては水と衛生インフラや人員への攻撃を防ぐ

「水の危機に対処するためにも、これ以上悪化しないようにするためにも、今行動しなければなりません。イノベーション、投資、連携を通じて、また、持続可能で気候変動に強いサービスを確保することによってのみ、すべての子どもたちのための水の安全保障を実現できます。子どもたちと地球のために、行動しなければなりません」(フォア)

注記:
・水に関するデータの定義についてはこちらをご参照ください。

https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_act01_03_water.html


・ホットスポットとされた国は、次のいずれかの条件を満たしています:水の脆弱性が高い地域に60%以上の子どもが住んでいる、水の脆弱性が極めて高い地域に40%以上の子どもが住んでいる、水の脆弱性が高い地域と極めて高い地域に40%以上の子どもが住んでいる、水の脆弱性が高い地域と極めて高い地域に200万人以上の子どもが住んでいる。これらの要素を含めることで、影響を受ける子どもの割合が高い小規模国でも優先的に取り組むことができます。

・水不足(Water scarcity)とは、水の需要が供給を上回り、利用可能な水資源が持続可能な限界に近づいている、または超えてしまっている状態を指します。水不足には、物理的なものと経済的なものがあります。   

・水ストレス(Water stress)は水不足の結果であり、水の質や利用しやすさの面での不足を指します。水ストレスは、水資源をめぐる紛争、過剰な取水、健康状態の悪化や病気などの形で現れます。

・極度の水の脆弱性(Extreme water vulnerability)とは、特定の人口に影響を与える最高レベルの物理的な水不足と最低レベルの飲料水サービス(地表水、改善されていない水源、または限定的な飲み水(供給サービス)が組み合わさった状況を指します。

・水の安全保障(Water security)とは、平和で政治的に安定した環境の中で、暮らし、福祉、社会経済的発展を維持し、水による汚染や水関連の災害から身を守り、生態系を保全するために、適切な量の許容できる質の水への持続的なアクセスを確保することを指します。水の不安は、これらのニーズのいずれかまたはすべてが満たされない時に起こります。  

* * *

■ 2017年に発表されたユニセフの報告書は下記よりご覧いただけます。
https://www.unicef.or.jp/news/2017/0057.html

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

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URL
http://www.unicef.or.jp
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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