「ビール製造工程の微生物管理向上への一貫した取り組み」が日本農芸化学会から「2021年農芸化学技術賞」を受賞
安全・安心かつおいしい生ビールのための微生物管理の取り組みが評価
サッポロホールディングス(株)のグループ企業であるサッポロビール(株)は、(公社)日本農芸化学会から「ビール製造工程の微生物管理向上への一貫した取り組み」において「2021年度農芸化学技術賞」(注1)を受賞しました。授賞式は2021年3月18日に日本農芸化学会2021年度大会(注2)で行われました。
この受賞は非熱処理の生ビールを安全・安心な状態でお客様のお手元までお届けするための、長年にわたるビール工場の微生物管理の精度を向上させてきた取り組み、具体的には「微生物のビール増殖性判定の簡便化」「ビール工場における微生物検出の迅速化」「管理対象微生物の拡充」に関する継続的、総合的な当社の実績が評価されたことによるものです。同学会におけるビール醸造技術テーマでの同賞受賞は、2000年、2015年、2018年に続き4回目となります(注3)。
当社は、基礎研究から工場での検査技術まで一気通貫した微生物管理の取り組みを通じて、お客様に安全・安心かつおいしい生ビールをこれからも提供していきます。
受賞テーマ表題:「ビール製造工程の微生物管理向上への一貫した取り組み」
<研究概要>
ビールは抗菌性のあるホップの苦味成分やアルコールを含むため、微生物が極めて生育しにくい飲料です。ただし、その環境下でも生育できる微生物が(人体に害を与えるものではありませんが)種類は少ないながらも存在し、ビール中で増殖すると白濁したり香味を変化させたりします。そのため、海外では熱処理(パストリゼーション)を行なうことが一般的ですが、日本では非熱処理のいわゆる生ビールが主流です。そのような生ビールを製造・出荷する工場では、ビン・缶の中の数個の微生物も迅速に検出し、仮に検出された場合でもそれがビール中で増殖できるかを判定する高度な管理技術が必要とされています。
「微生物のビール増殖性判定の簡便化」
微生物のビール増殖性を判定するにはその微生物をビールに加えて培養する方法が古くから行われてきましたが、これは時間のかかる方法であり、遺伝子工学の発達はそのような微生物の特徴を遺伝子の違いとして迅速に判定することを可能にしました。1980年代後半に開発されたPCR(Polymerase Chain Reaction)法はわずかな量の遺伝子を短時間で増やして検出する方法ですが、当社はこの方法にいち早く着目し、1992年にはこのPCR法を活用したビール増殖菌の判定方法を開発しました。
PCR法による判定は20年以上にわたり管理技術として活用されてきましたが、近年開発されたより簡便な方法に、LAMP(Loop-mediated Isothermal Amplification)法があります。この方法では目視で60分以内にビール増殖性を判定でき、工場での管理に役立てられています。
ビールは、安全・安心であることを確認した上で工場からの出荷を行なっています。その出荷の判定には時間のかかる培養法が使われてきました。
当社では生物の細胞に必ず含まれるATPという成分に着目し、それを光らせることで高感度な検出器により迅速に微生物の存在を検出できるRMDS(Rapid Microbe Detection System)法を実用化しました。RMDS法は培養法では2~4日かかっていた微生物検査を16~24時間に短縮し、1994年からの試験運用を経て、1999年以降全工場で出荷判定に活用されています。
「管理対象微生物の拡充」
ビールの苦味成分は強い抗菌作用を持っていますが、その環境下でも増殖できるビール増殖菌がビール工場での管理対象です。過去の研究でビール増殖性をもつ菌はデータベース化されていますが、ビール工場の環境中に未知のビール増殖菌が存在している可能性もあり、予防という観点では新たなビール増殖菌をあらかじめ発見し管理対象を拡張していくことが必要です。そのために継続的に実施してきた環境微生物調査の中から、遺伝子解析や生理学的な特徴をもとに、それまでに報告されていなかった新たなビール増殖菌を継続的に発見、同定してきました。中には新種もあり、例えば最近Prevotella cerevisiaeと名付けた新種の菌は、当社がこの取り組みから発見、提唱したものです。
(注1) 1968年から設置された歴史ある賞。農芸化学分野において注目すべき技術的業績をあげた会員に授与される極めて権威ある賞。(公社)日本農芸化学会ホームページ:http://www.jsbba.or.jp/
(注2) 日本農芸化学会2021年度大会にて授賞式並びに受賞者講演が行なわれました。
(注3) 過去3回の当社受賞テーマは以下の通り。
2000年 抗酸化製造法の展開-ビール品質劣化の理論的解明からその応用まで
2015年 ビール泡品質向上への一貫した取り組み
2018年 ホップ品質の多角的な解析とその応用
(注4)本リリース内では、ビール中で増殖できる微生物を「ビール増殖菌」、ビール中で増
殖できる特性を「ビール増殖性」と記載しています。
<消費者の方からのお問い合わせ先>
サッポロビール(株)お客様センター
℡ 0120-207-800
この受賞は非熱処理の生ビールを安全・安心な状態でお客様のお手元までお届けするための、長年にわたるビール工場の微生物管理の精度を向上させてきた取り組み、具体的には「微生物のビール増殖性判定の簡便化」「ビール工場における微生物検出の迅速化」「管理対象微生物の拡充」に関する継続的、総合的な当社の実績が評価されたことによるものです。同学会におけるビール醸造技術テーマでの同賞受賞は、2000年、2015年、2018年に続き4回目となります(注3)。
当社は、基礎研究から工場での検査技術まで一気通貫した微生物管理の取り組みを通じて、お客様に安全・安心かつおいしい生ビールをこれからも提供していきます。
受賞テーマ表題:「ビール製造工程の微生物管理向上への一貫した取り組み」
<研究概要>
ビールは抗菌性のあるホップの苦味成分やアルコールを含むため、微生物が極めて生育しにくい飲料です。ただし、その環境下でも生育できる微生物が(人体に害を与えるものではありませんが)種類は少ないながらも存在し、ビール中で増殖すると白濁したり香味を変化させたりします。そのため、海外では熱処理(パストリゼーション)を行なうことが一般的ですが、日本では非熱処理のいわゆる生ビールが主流です。そのような生ビールを製造・出荷する工場では、ビン・缶の中の数個の微生物も迅速に検出し、仮に検出された場合でもそれがビール中で増殖できるかを判定する高度な管理技術が必要とされています。
「微生物のビール増殖性判定の簡便化」
微生物のビール増殖性を判定するにはその微生物をビールに加えて培養する方法が古くから行われてきましたが、これは時間のかかる方法であり、遺伝子工学の発達はそのような微生物の特徴を遺伝子の違いとして迅速に判定することを可能にしました。1980年代後半に開発されたPCR(Polymerase Chain Reaction)法はわずかな量の遺伝子を短時間で増やして検出する方法ですが、当社はこの方法にいち早く着目し、1992年にはこのPCR法を活用したビール増殖菌の判定方法を開発しました。
PCR法による判定は20年以上にわたり管理技術として活用されてきましたが、近年開発されたより簡便な方法に、LAMP(Loop-mediated Isothermal Amplification)法があります。この方法では目視で60分以内にビール増殖性を判定でき、工場での管理に役立てられています。
「ビール工場における微生物検出の迅速化」
ビールは、安全・安心であることを確認した上で工場からの出荷を行なっています。その出荷の判定には時間のかかる培養法が使われてきました。
当社では生物の細胞に必ず含まれるATPという成分に着目し、それを光らせることで高感度な検出器により迅速に微生物の存在を検出できるRMDS(Rapid Microbe Detection System)法を実用化しました。RMDS法は培養法では2~4日かかっていた微生物検査を16~24時間に短縮し、1994年からの試験運用を経て、1999年以降全工場で出荷判定に活用されています。
「管理対象微生物の拡充」
ビールの苦味成分は強い抗菌作用を持っていますが、その環境下でも増殖できるビール増殖菌がビール工場での管理対象です。過去の研究でビール増殖性をもつ菌はデータベース化されていますが、ビール工場の環境中に未知のビール増殖菌が存在している可能性もあり、予防という観点では新たなビール増殖菌をあらかじめ発見し管理対象を拡張していくことが必要です。そのために継続的に実施してきた環境微生物調査の中から、遺伝子解析や生理学的な特徴をもとに、それまでに報告されていなかった新たなビール増殖菌を継続的に発見、同定してきました。中には新種もあり、例えば最近Prevotella cerevisiaeと名付けた新種の菌は、当社がこの取り組みから発見、提唱したものです。
(注1) 1968年から設置された歴史ある賞。農芸化学分野において注目すべき技術的業績をあげた会員に授与される極めて権威ある賞。(公社)日本農芸化学会ホームページ:http://www.jsbba.or.jp/
(注2) 日本農芸化学会2021年度大会にて授賞式並びに受賞者講演が行なわれました。
(注3) 過去3回の当社受賞テーマは以下の通り。
2000年 抗酸化製造法の展開-ビール品質劣化の理論的解明からその応用まで
2015年 ビール泡品質向上への一貫した取り組み
2018年 ホップ品質の多角的な解析とその応用
(注4)本リリース内では、ビール中で増殖できる微生物を「ビール増殖菌」、ビール中で増
殖できる特性を「ビール増殖性」と記載しています。
<消費者の方からのお問い合わせ先>
サッポロビール(株)お客様センター
℡ 0120-207-800
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