TOPPANホールディングスとMDアンダーソンがんセンター、がん治療評価のための3D細胞培養技術を共同開発する戦略的提携を締結
TOPPANホールディングスの3D細胞培養技術を活用して様々な治療法の迅速検査を可能にし、がん個別化医療の臨床ツールとして米国でのCAP/CLIA認証取得を目指す
TOPPANホールディングス株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長CEO:麿 秀晴、以下 TOPPANホールディングス)と、テキサス大学MDアンダーソンがんセンター(所在地:米国テキサス州ヒューストン、President:Peter WT Pisters, M.D.、以下 MDアンダーソン)は、2025年7月1日、がん個別化医療の進歩に向けた戦略的提携を締結しました。
本提携では、両者の研究者が協力し、患者由来のサンプルからがん治療の有効性を評価するオルガノイド(※1)ベースの評価手法の臨床応用に焦点を当て、米国病理医協会(CAP)および臨床検査室改善修正法(CLIA)の認証取得を目指します。さらに、複数のがん種においての有用性を評価するための臨床検証研究も共同で実施します。

TOPPANホールディングスが独自に開発した3D細胞培養技術「invivoid®」は、患者の生検(検査のため採取した微量の組織)やその他組織から、迅速にオルガノイドモデルを確立することを可能にします。本提携による共同研究での技術が臨床的に検証されれば、研究者は様々な治療法を研究室で事前にテストし、個々の患者にとって最適な治療法を特定できるようになる可能性があります。治療効果の向上だけでなく、効果が期待できない不必要な治療を避けることにもつながります。
MDアンダーソン病理検査医学部門長のドナ・ハンセル医師のコメント:
「オルガノイドは、ヒトのがんの三次元的な複雑さを研究室でモデル化することを可能にします。これにより、治療開始前に患者が治療にどの様に反応するかを予測できるだけでなく、次世代治療法の発見と検証方法を再考するための強力な橋渡しをします。本提携による共同研究を通じて、がん生物学をモデル化し、治療法を革新する上で有意義な進歩を遂げたいと考えています。」
TOPPANホールディングス ビジネスイノベーションセンター長 朝田 大のコメント:
「MDアンダーソンとの戦略的提携は、個別化がん医療に向けた有望な道を開きます。当社の独自の「invivoid®」3D細胞培養技術は、患者の組織から直接オルガノイドモデルを迅速に確立することで、より効果的な治療選択肢を特定し、不必要な治療の可能性を減らすのに役立つ大きな可能性を秘めていると信じています。CAP/CLIA認証と臨床検証に関する共同研究を通じて、実際の患者ケアに近づけ、がん医療の進歩に有意義に貢献することを目指します。」
今回の戦略的提携による共同研究は、TOPPANホールディングスとMDアンダーソンの研究者が2023年7月より個別の共同研究契約のもとで実施してきた臨床検体を用いた基礎研究の成果に基づいています。今後は、オルガノイドを用いたがん治療の有効性を評価する手法のCAP/CLIA認証取得を目指し、その後、本手法による評価結果が実際の臨床結果とどの様に一致するかを評価するための観察臨床研究を計画しています。これらの初期段階での検証が成功した場合、TOPPANホールディングスとMDアンダーソンの研究チームは、本評価手法を治療方針決定の指針として活用する前向き臨床研究へと進展させる可能性も模索しています。
TOPPANホールディングスは今回、本戦略的アライアンスを推進し、CAP/CLIA認証取得に向けた取り組みを支援するための資金を5年間で約1,000万US$提供します。
■ MDアンダーソンについて
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターは、米国テキサス州ヒューストンに位置し、がん患者ケア、研究、教育、予防に焦点を当てた世界で最も評価されているがんセンターの1つとしてランク付けされています。本センターの使命は、世界中のがん患者とその家族のためにがんをなくすことです。そして、1971年には米国で最初の国立がん研究所(NCI)指定の総合がんセンターの1つになりました。MDアンダーソンは、U.S. News & World Reportの「ベスト病院」ランキングでがん部門1位であり、ランキングが始まった1990年以来、米国でトップ2のがん病院の1つに選ばれています。MDアンダーソンは、国立衛生研究所(P30 CA016672)のNCIからがんセンター支援助成金を受けています。
■ TOPPANグループについて
TOPPANホールディングスを持株会社とするTOPPANグループは「印刷テクノロジー」をベースに「情報コミュニケーション」「生活・産業」「エレクトロニクス」の3分野で事業を展開しており、社会やお客さまの課題解決につながるトータルソリューションの提供を行っています。
■「invivoid®」について
大阪大学の松﨑 典弥教授とTOPPANホールディングスは、2017年4月より大阪大学大学院工学研究科に先端細胞制御化学(TOPPAN)共同研究講座を設置し、独自バイオマテリアルによる3D細胞培養技術に資する基礎研究を推進しています。「invivoid®」は生体に近い人工組織を簡便に作製できるため、がん個別化医療、薬効や毒性試験を含む創薬研究、再生医療、培養食料など幅広い用途が期待されています。
・紹介サイト: https://www.holdings.toppan.com/ja/invivoid/index.html
※1 オルガノイド:3D細胞培養技術により患者の体外に作製された生体組織のことです。特に病気の研究や新しい薬の開発に役立ちます。例えば、がんのオルガノイドを使えば、患者の体から取り出した細胞で「ミニがん」を作り、それに様々な薬を試すことで、どの薬が一番効果があるかを調べることができます。
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