メキシコ:移民の子ども、3カ月で9倍に~半数は保護者の同伴なく渡航【プレスリリース】
【2021年4月19日 パナマシティ 発】
ユニセフ(国連児童基金)・ラテンアメリカ・カリブ海諸国地域事務所代表のジーン・ゴフは、北部の米国との国境沿いを含む5日間のメキシコ訪問を終え、メキシコで報告された移民の子どもの数が、2021年に入って以降、380人から約3,500人に急増していると、報告しました。ユニセフの推計によると、現在、毎日平均275人の移民の子どもたちが、メキシコ当局に発見された後、アメリカに渡るのを待ったり、戻されたりして、メキシコに滞在しています。
「メキシコと米国の国境で、赤ちゃんを含む多くの幼い子どもたちが苦しんでいるのを見て、心を痛めました。私が訪れたメキシコの滞在施設の大部分はすでに過密状態にあり、北上する人々の増加に対応できていません。メキシコの移民の子どもたちや母親たちの生活環境がさらに悪化することを深く懸念しています」(ゴフ)
メキシコの多くの滞在施設では、子どもが移民の少なくとも30%を占めています。また、その半数は保護者の同伴なく渡航しており、メキシコでは過去最高の割合となっています。メキシコは、主にホンジュラス、グアテマラ、エルサルバドル、メキシコから移動する子どもたちにとって、出発国、通過国、帰還国となっています。
2020年、ユニセフは、メキシコが移民法と難民法を改正し、子どもの移民収容を禁止し、子どもに影響を及ぼす移民政策や手続きの策定・適用において、すべての移民の子どもの最善の利益を優先することを歓迎しました。国際社会は、メキシコ政府の法改正が成功するよう、支援を強化することが重要です。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大のなかで、同伴者のいない移民の子どもたちや、子ども連れの家族の到着が増え、メキシコの受け入れ施設の体制がひっ迫しています。ユニセフは、子ども連れの家族や単独で移動する子どもたちの個々のニーズに対応するため、施設の拡充を求めています。
中米北部から米国に向けての危険な旅は、非常に厳しい環境で最長2カ月にも及びます。ユニセフのチームがシウダー・フアレスとティファナにおいて人々から聞いた悲痛な証言のなかには、恐喝、性的虐待、誘拐、人身売買など、移動の間に経験した深刻な人権侵害がありました。中米の移民女性のなかには、食べ物を奪われたり、携帯電話などの持ち物を没収されたり、床に寝かされたり、夜は子どもを抱きしめて子どもの身体を冷やさないようにしたことを、涙ながらにユニセフのスタッフに語ってくれた人もいました。
「中米の人々は移住しているのではなく、避難しているのです。今、メキシコにいる子どもたちとその親たちは、ギャングの犯罪、家庭内暴力、貧困、ハリケーン、出身国でのパンデミックによる失業などから逃れてきたのです。では、なぜ彼らは戻ってきたのでしょうか?多くの場合、彼らには戻れる場所が他にないのです。人身売買業者は、彼らの絶望感に恥ずかしげもなくつけ込み、この危険な旅の間、子どもたちの命を危険に晒しているのです。移民の人々が地域にとどまる理由を作るには、地域レベルで子どもたちの未来に投資するのが一番です。本当の子どもの危機は、米国の国境ではなく、中米北部やメキシコの最も貧しい地域で起きているのです」(ゴフ)
ユニセフは、移住の旅のすべての段階での人道支援にとどまらず、ホンジュラス、グアテマラ、エルサルバドル、メキシコ南部の各地で、子どもと女性をすべての投資計画の中心に据え、地域レベルで家族や若者のためのよりよい生活環境と暴力のない機会を創出するよう、国際社会に呼びかけています。
昨年、メキシコでは、移動中のメキシコおよび中米の子ども7,160人以上が、ユニセフが支援する個別の保護サービス、心理社会的ケア、レクリエーションや学習活動、宿泊施設などのサポートを受けました。
ユニセフはパートナーと協力して、過去数カ月間、米国の国境を含む中米とメキシコでの人道支援の規模を拡大しています。今年の最初の3カ月間、メキシコの南部および北部の国境で、すでに2,100人以上の移民の子どもたちがユニセフの人道支援を受けました。現時点では、今年合計1万人の移動中の子どもたちとその親に支援を届ける予定です。
しかし、人道的ニーズは増加傾向にあり、今後数カ月間は高止まりすることが予想されます。ユニセフの推計では、今後2年間で、メキシコ全土で移動中の子どもたちや出身地で暴力の影響を受ける人々など、約15万人が緊急支援や開発支援を必要としています。
ユニセフは、メキシコで最も不利な立場に置かれた人々に、質の高い教育、改善された水と衛生施設、ライフスキルと職業訓練、代替的養護や暴力防止活動へのアクセスを提供するため、2,300万米ドルを緊急に要請します。
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/
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