レバノン:公共水道システムが徐々に停止~経済崩壊で71%が危機的状況【プレスリリース】

 

 

母親に抱かれながら手を洗う1歳のファティマちゃん。(2021年5月撮影) © UNICEF_UN0482539_母親に抱かれながら手を洗う1歳のファティマちゃん。(2021年5月撮影) © UNICEF_UN0482539_

【2021年7月23日 ベイルート(レバノン)発】

レバノンでは、100万人の難民を含む400万人以上の人々が、安全な水を利用できなくなるかもしれない状況に置かれています。経済危機が急速に深刻化し、資金や燃料、塩素や予備部品などの物資が不足していることから、ユニセフ(国連児童基金)は今後4~6週間以内にはレバノン国内の大部分の給水ポンプが徐々に停止すると予測しています。
 

家族のために、村の井戸から汲み上げられた飲用水を容器に入れる11歳のアドハムくん。(2021年3月撮影) © UNICEF_UN0492502_Choufany家族のために、村の井戸から汲み上げられた飲用水を容器に入れる11歳のアドハムくん。(2021年3月撮影) © UNICEF_UN0492502_Choufany

ユニセフ・レバノン事務所代表の杢尾雪絵は、「この国の経済危機により、給水システムは非常に圧迫されており、維持費のドル化、無収水による水の損失、並行して発生した送電網の崩壊や燃料費の高騰により機能しなくなっています。公共の水道が使えない場合、各家庭は基本的な水やトイレ、衛生環境などに関して非常に厳しい決断を迫られる可能性があります」と述べました。

公共の給水システムが崩壊した場合、代替となる民間の水道業者などから水を確保すると、毎月の水にかかる料金は200%跳ね上がる可能性があるとユニセフは予測しています。特に厳しい状況にある多くの世帯にとって、この費用は月平均収入の263%に相当し、耐えられない負担となります。

以下は2021年5月と6月にレバノン国内の主要な水道事業者4社が収集したデータに基づいた、ユニセフの評価です。
  • 71%以上の人々が、「非常に危機的」および「危機的」なレベルに陥っている
  • 約170万人が、1日あたり35リットルしか水を利用できず、2020年以前の全国平均165リットルに比べて約80%も減少している
  • 公共の水道事業者は、整備に不可欠な予備部品を入手する余裕がなくなっている
  • 2020年以降、民間水道業者の水道水の価格は35%上昇し、ボトル入りの水の価格は2倍に上昇した
  • 停電や断続的な電力供給により、水道システムが圧迫され、浄水、汲み上げ、配水の中断が生じている
  • 国レベルで見ると、水道システムが機能せず用途不明となっている水は約40%で、そのほとんどが維持管理の不備や違法な接続によるものである
 

水の入ったペットボトルを持って歩く10歳のシリンさん。家族のために、毎日父親と一緒に水を汲んで自宅まで運んでいる。(2021年3月撮影) © UNICEF_UN0492500_houfany水の入ったペットボトルを持って歩く10歳のシリンさん。家族のために、毎日父親と一緒に水を汲んで自宅まで運んでいる。(2021年3月撮影) © UNICEF_UN0492500_houfany

「夏の盛りに、デルタ株の影響で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症例が再び増加し始めている中、人々の命を支えているレバノンの貴重な公共水道システムは、いつ崩壊してもおかしくない状況です。早急な対策が講じられなければ、病院や学校、必要不可欠な公共施設が機能しなくなり、400万人以上の人々が安全でなく高価な水に頼らざるを得なくなり、子どもたちの健康や衛生が危険に晒されることになります」(杢尾)

ユニセフは、全国400万人以上の人々への給水を維持するために、年間4,000万米ドルの資金を必要としています。重要なシステムを動かし続けるために必要最低限の燃料、塩素、予備部品、整備を確保し、公共の水道システムを守ることで、人々に水を供給し続けています。「資金が許す限りユニセフは支援を続けていきますが、この深刻な状況において、継続的な資金支援がすぐに必要です。世界的なパンデミックが広がる中、きれいな水を得るという最も基本的な権利を子どもたちや家族が満たすことができるよう、ユニセフは支援をしていきます」(杢尾)

ユニセフは、2020年から2021年にかけて、水と衛生分野で以下の支援を行っています。
  • 経済危機による給水システムの完全崩壊を避けるため、2020年10月以降、ユニセフは4カ所の公共水道施設に消耗品などの物資を送り、応急処置をすることで400万人の水を確保した。
  • 18万4,690人以上の人々に衛生用品を含む水と衛生関連物資を提供した。
  • 約20万人が十分な量の安全な飲料水と生活用水を一時的に利用できるようにした。
  • 19万7,060人が改善された安全な仮設トイレを利用できるようにした。
  • 2020年8月に起きたベイルート港の爆発事故では、155棟の建物を公共水道システムに再接続し、被害を受けた世帯に873個の水タンクを設置したほか、被災した家族に4,485個の衛生キットと462個のベビー用品キットを配布した。
  • ベビー用品、衛生用品、生理用品、水タンク、個人用防護具(PPE)、感染予防対策(IPC)用品など、46万4,000米ドル相当の人道支援物資を配布した。


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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。 https://www.unicef.or.jp/
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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