北米目指す移民:危険なダリエン地峡越える子どもが急増~9カ月で19,000人、過去5年の3倍に【プレスリリース】

公益財団法人日本ユニセフ協会

ダリエンにある移民受け入れセンターの、ユニセフの子どもに優しい空間で遊ぶ3歳のマレーレスちゃん。7日かけてダリエン地峡を横断する中で、心理的トラウマで食欲がなくなった。(2021年3月撮影) © UNICEF_UN0433685_Moreno Gonzalダリエンにある移民受け入れセンターの、ユニセフの子どもに優しい空間で遊ぶ3歳のマレーレスちゃん。7日かけてダリエン地峡を横断する中で、心理的トラウマで食欲がなくなった。(2021年3月撮影) © UNICEF_UN0433685_Moreno Gonzal

【2021年10月11日 パナマシティ 発】

コロンビアとパナマを隔てるジャングルであり、北米を目指す移民にとって最も危険な場所の一つであるダリエン地峡(Darien Gap)を徒歩で横断する移民の子どもの数が過去最多になったと、ユニセフ(国連児童基金)は警鐘を鳴らしました。

今年はこれまでに約1万9,000人の子どもたちがダリエン地峡を通過しており、これは過去5年間に登録された合計人数の約3倍にあたります。コロンビアとパナマの国境を越える移民の5人に1人以上は子どもです。そのうち半数は5歳未満です。
 

ダリエン地峡を横断し、Bajo Chiquitoにたどり着いた親子。(2021年3月撮影) © UNICEF_UN0433742_Moreno Gonzalezダリエン地峡を横断し、Bajo Chiquitoにたどり着いた親子。(2021年3月撮影) © UNICEF_UN0433742_Moreno Gonzalez

草木が生い茂る熱帯林の中で、子どもを連れた移民家族は特に、犯罪組織からの性的虐待、人身売買、恐喝などの暴力に晒されます。ダリエン地峡を渡る子どもたちは、下痢、呼吸器系疾患、脱水症状など、すぐに処置が必要な病気にかかる危険性もあります。

ユニセフ・ラテンアメリカ・カリブ海諸国地域事務所代表のジーン・ゴフは、「ダリエン地峡を徒歩で横断する子どもたちはみな、苦難を生き延びた子どもたちです」と語ります。「ジャングルの奥深くでは、野生動物や昆虫、安全な飲料水がなくなることと同じくらい、強盗、レイプ、人身売買の危険があります。毎週のように、この危険な旅の途中で命を落としたり、親を失ったり、親戚とはぐれたりする子どもたちが増えています。犯罪グループは、そうした最も弱い立場に陥った子どもたちに付け込むのです」 

今年、少なくとも5人の子どもがジャングルで亡くなっているのが発見されました。また今年に入ってから、生まれたばかりの赤ちゃんを含む150人以上の子どもたちが親のいない状態でパナマに到着しており、昨年に比べて20倍近くに増えています。
 

ダリエンの移民受け入れセンターにいる子ども。(2021年3月撮影) © UNICEF_UN0433700_Moreno Gonzalezダリエンの移民受け入れセンターにいる子ども。(2021年3月撮影) © UNICEF_UN0433700_Moreno Gonzalez

ダリエンのジャングルでは、犯罪組織が人々を脅す道具として性的暴力を意図的に利用するケースが増えています。ユニセフが2021年1月から9月の間に記録した、ジャングルを渡る10代の女の子への性的虐待は29件。さらに多くの女性が同様の被害を報告しています。

「現地で活動するユニセフのチームは、これほど多くの幼い子どもたちがダリエン地峡を横断しているのを、これまで見たことがありません。南米から北米へ向かう子どもたちがこれほど急増していることは、パナマだけでなく、地域全体で深刻な人道的危機と捉え、早急に対処しなければなりません」(ゴフ)

アフリカや南アジアなど、50以上の国籍の移民たちが、このルートを使って米国を目指しています。半数はハイチ出身で、その多くはチリやブラジルで生まれた子どもを連れています。

コロンビアでは、ユニセフとパートナーは、ネコクリ(Necocli)の波止場のある地域で、水と衛生サービスの提供を支援しています。その地域では、特に子どもを含む1,000人以上の人々がパナマへ渡る輸送手段を待っています。また、地方自治体と協力し、移動チームを通じて、同伴者のいない子どもや家族と離ればなれになった子どもたちを確認しています。
 

外で遊ぶ移民の子どもたち。(2021年3月撮影) © UNICEF_UN0433842_Moreno Gonzalez外で遊ぶ移民の子どもたち。(2021年3月撮影) © UNICEF_UN0433842_Moreno Gonzalez

パナマでは、移民の子どもたち、特に親と離れ離れになってしまった子どもたちに、心理社会的支援と保健サービスを提供しています。また、暴力を受けた子どもたちを地域の保護サービスにつなぐ支援も行っています。

さらにユニセフはパナマ政府とともに、バホ・チキート、ラハス・ブランカス、サン・ビセンテの3つの移民受け入れセンターで、毎日1,000人に安全な水を、そして移民の女性や10代の女の子たちに衛生キットを配布しています。

ダリエン地峡にいる移民の子どもたちや家族の数が、今後数週間から数カ月の間にさらに増えることが予想されており、ユニセフはパナマとコロンビアの間を移動する子どもたちや家族の緊急のニーズに対応するため、人道支援の規模を拡大しています。

米国国務省人口難民移民局(PRM)および欧州委員会人道援助・市民保護総局(ECHO)の支援を受け、現地にいるユニセフのチームとパートナーは、保健、水、衛生、保護、心理社会的支援、栄養など不可欠なサービスの提供を強化しています。

ユニセフは各国政府に対し、移動している子どもたちの保護を徹底し、より強固な人道的対応を関係各国で展開するよう求めています。受け入れコミュニティへの移民家族の統合を促進すると同時に、彼らが移住に至った根本的な原因に対処しなければなりません。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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業種
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本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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