TISと東和薬品、千葉脳神経外科病院に「ヘルスケアパスポート」を導入

~病院薬剤師が作成した患者の医療履歴を「ヘルスケアパスポート」で提供し、退院後のチーム医療への参加意識を後押し~

TISインテックグループ

TISインテックグループのTIS株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:岡本 安史、以下:TIS)と東和薬品株式会社(本社:大阪府門真市、代表取締役社長:吉田 逸郎、以下:東和薬品)は、社会医療法人社団健脳会千葉脳神経外科病院(所在地:千葉県千葉市、理事長:湧井 健治、以下:千葉脳神経外科病院)に共同で、TISが提供する「ヘルスケアパスポート」を導入したことを発表します。「ヘルスケアパスポート」を通じて病院薬剤師が作成した患者の医療履歴であるペイシェントジャーニーを患者に提供することで、退院後のチーム医療への参加意識を後押しすることが期待されています。

TISの「ヘルスケアパスポート」は、生活者の健康・医療情報を医療従事者や家族と共有できるPHR※1基盤サービスです。生活者による情報共有の意思表示(オプトイン)に従って、健康・医療情報を安全かつ双方向に共有できる仕組みをサービス利用型で提供しています。

TISと東和薬品は、2021 年に「ヘルスケアパスポート」の協業販売に向けたアライアンス契約を締結し、「ヘルスケアパスポート」の普及、サービスの最適化を進め、持続可能な地域医療連携の実現の後押しを目的として活動しています。個人の健康データの基盤づくりに貢献するため、TISはヘルスケアデータを適切に一元化・共有するシステムの開発・運営を担い、東和薬品は幅広い販売網を通じた「ヘルスケアパスポート」の普及を担っています。

※1 個人が、自分自身の医療情報や健康情報(バイタルデータ)を一元管理する仕組み。パーソナルヘルスレコードの略。

背景

病院で薬を処方された後にお薬手帳を見ても、基本的には処方された薬の名称しかわからないため、なぜその薬を飲んでいるのかを明快に答えられる患者は少ないのが実情です。一方で、その薬が治療とどう関係しているのかを理解することは、退院後もチーム医療の一員として健康を目指す前向きな意識に直結します。

そのため、千葉脳神経外科病院では2019年より、過去の全ての医療履歴を指すペイシェントジャーニーを患者自身に知ってもらう取り組みを続けています。この取り組みは、入院患者一人一人のペイシェントジャーニーを「薬剤情報提供書」として紙にまとめ、退院時に手渡すというものです。薬剤情報提供書は、入院時のヒアリングや他院からの診療情報提供書(紹介状)に基づいて、薬剤師が作成しています。千葉脳神経外科病院にかかる前の既往歴まで全てを集め、連続性を持たせており、こうした情報はマイナポータルでも取得できないため、画期的な取り組みとして運用されています。

例えば、歯科に通院した際にこの薬剤情報提供書を提示すれば、血液をサラサラにする薬がなぜ処方されているかが一目瞭然となり、歯科医師は治療における休薬の要否を的確に判断できるなど、退院後の生活の質向上に大いに寄与します。しかし、千葉脳神経外科病院では保管の難しさや紛失のリスク、遠方の家族と共有できないといった課題から、薬剤情報提供書を「紙」で手渡すことの限界に直面し、価値あるペイシェントジャーニーを退院患者に渡す方法を模索するため、電子化の検討を開始しました。

選定理由

価値ある薬剤情報提供書をデジタルの形で患者へ提供するため、千葉脳神経外科病院ではプラットフォーム型のサービスの導入を検討していたところ、2024年夏に医薬品取引先の東和薬品を通じて、TISの「ヘルスケアパスポート」を紹介されました。TISと「ヘルスケアパスポート」は、以下の理由から選定されました。

  • 病院・患者・家族といった関係者全員がクラウド上の同一ファイルにアクセスできる点

PDF化したファイルをメールなどで送信する方法では、更新のたびに再送信が必要となるほか、スマートフォン内に保管したファイルが破損などで閲覧できなくなるリスクが想定されたため、関係者全員がクラウド上の同一ファイルにアクセスできる、プラットフォーム型のサービスを検討していたこと。

  • ファイルをクラウド上に保存し、リンク情報を共有できる点

「ヘルスケアパスポート」のメッセージ機能を活用すれば、ファイルを直接相手端末に送らず、クラウド上に保存したファイルへのリンク情報を共有することが可能。医療情報を複数の関係者間で共有できるプラットフォーム型のサービスであったこと。

導入

千葉脳神経外科病院は、これまで紙で提供してきた薬剤情報提供書の価値ある情報を、クラウド経由で患者に届けることを目標に、「ヘルスケアパスポート」を用いた実証実験を2024年末から開始することを計画しました。薬剤情報提供書は既に存在するため、退院患者のスマートフォンに「ヘルスケアパスポート」のアプリをインストールしてもらうことが最初の取り組みテーマとなりました。

実証実験の開始当初、アプリのインストールは千葉脳神経外科病院の薬剤科が対面でサポートしていました。しかし、後に退院患者が家族の支援のもと、自宅でインストールを行う方式へと変更しました。これは、病院の人的リソースに制約があったことに加え、患者本人や家族が自らの意思による治療やケアに関する合意(コンセンサス)をデジタル情報としても得るためとなります。

こうして、「ヘルスケアパスポート」は、2025年5月時点で約40%(対象患者529名中212名)という非常に高いインストール率を達成しています。この高い導入率は、以下2つの要因により達成されたことがわかっています。

  • 具体的なメリット訴求が患者の関心をとらえた点

「かさばらず、紛失しない」という利便性に加え、災害時の有用性を評価。大規模災害などにより病院の電子カルテが参照できなくても、クラウド上の情報にアクセスできれば、被災地外から薬を調達することが可能。

  • 家族の理解が得られた点

離れて暮らす家族も「ヘルスケアパスポート」を利用して医療履歴を共有できることから、退院時に同席した家族が患者に導入を勧めてくれるケースが多い。

効果

今回の「ヘルスケアパスポート」導入による効果は以下の通りです。

  • 薬剤情報提供書の作成における先進モデルの構築

薬剤情報提供書の作成と「ヘルスケアパスポート」を組み合わせることで、先進的なモデルとしての完成度を大きく高めた。千葉脳神経外科病院が持つ価値ある情報(ソフト)を安全かつ分かりやすく届ける手段(ハード)が揃い、薬剤情報提供書の提供における価値向上に寄与。

現在は薬剤情報提供書をPDF化した資料を提供していますが、今後はさらに運用上の検討を重ね「ヘルスケアパスポート」上で、傷病名を項目名として紐づく薬剤情報を記述できるよう、入力フォームの検討を進めていきます。TISと東和薬品は共同で、医療施設へのさらなるサービスの拡充、機能強化を図り、千葉脳神経外科病院とともに、病院薬剤師と薬局薬剤師の薬薬連携により、患者のペイシェントジャーニーをブラッシュアップしていきます。

千葉脳神経外科病院コメント

国は現在、医療DXの一環として、医療機関で共有すべき標準情報「3文書6情報」の整備を進めています。医療機関から患者へ提供する情報はさらに多種多様なものとなると予想されますが、患者さんやご家族に対して情報を提供する手段(ハード)として「ヘルスケアパスポート」は今後ますます重要な役割を担っていくと確信しています。

現状、「チーム医療」という言葉の中には患者さんは基本的に含まれておらず、専門的な情報共有の輪からは外されがちでした。「ヘルスケアパスポート」は、自分から能動的にチーム医療に参加する意識変革を促す強力なツールとして大いに期待しています。

千葉脳神経外科病院 薬剤科 科長

堀口 大輔氏

本件の詳細は以下URLをご参照ください。

https://www.tis.jp/casestudy/casestudy_178.html

「ヘルスケアパスポート」について

地域の医療従事者と生活者が健康・医療情報を双方向に共有できるPHR 基盤サービスです。生活者自身が健康・医療情報を記録・管理するPHRとしての役割と、地域の医療施設が連携して医療情報を共有する地域医療連携システムとしての役割の両者を担います。生活者の同意のもと、地域の病院、診療所、調剤薬局、福祉施設等はそれらの情報を参照することで、日々の処置・対応に役立てることができます。また、健診結果や日々の記録などの健康情報を管理・活用することで健康増進を支えます。

本サービスの詳細は、以下URLをご参照ください。

https://www.tis.jp/service_solution/healthcare-passport/

千葉脳神経外科病院について(https://ssl.chiba-nougeka.or.jp/

千葉脳神経外科病院は、患者さんが命を託せる病院を基本理念とし、「患者さん本位の医療」、「急性期・回復期医療の推進」、「地域医療への貢献」、「向上心」を基本方針に掲げています。当院の薬剤科では、「Connecting With a Line」をコンセプトに、患者情報の可視化・分かる化による共有(DX)を進めています。点(情報)を集めて線(物語)にする患者情報であるペイシェントジャーニーを「退院時薬剤情報共有書」として具現化することで、地域医療連携に貢献しています。

TIS株式会社について(https://www.tis.co.jp/

TISインテックグループのTISは、金融、産業、公共、流通サービス分野など多様な業種3,000社以上のビジネスパートナーとして、お客さまのあらゆる経営課題に向き合い、「成長戦略を支えるためのIT」を提供しています。50年以上にわたり培ってきた業界知識やIT構築力で、日本・ASEAN地域の社会・お客さまと共創するITサービスを提供し、豊かな社会の実現を目指しています。

東和薬品について(https://www.towayakuhin.co.jp/

東和薬品は、「私達は人々の健康に貢献します 私達はこころの笑顔を大切にします」という企業理念のもと、コア事業であるジェネリック医薬品事業に加え、「健康の維持」や「病気になる前の状態(未病)を健康な状態に戻す・または悪化させない」といった健康関連事業に関する取り組みをおこない、「健康寿命の延伸」に貢献し、いつの時代も世の中や地域社会に必要とされる企業を目指しています。

※ 記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。

※ 記載されている情報は、発表日現在のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。

◆本サービスに関するお問い合わせ先

TIS株式会社 デジタルイノベーション事業本部 ヘルスケアサービス事業部

ヘルスケアプラットフォームサービス部 ヘルスケアパスポート担当

TEL:050-1702-4053 E-mail:healthcare-passport@ml.tis.co.jp

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会社概要

TIS株式会社

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URL
https://www.tis.co.jp/
業種
情報通信
本社所在地
東京都新宿区西新宿8-17-1 住友不動産新宿グランドタワー
電話番号
050-1702-4071
代表者名
岡本安史
上場
東証プライム
資本金
100億円
設立
1971年04月