TIS、金融業界向けモダナイゼーションを支援する生成AI仕様書作成オプションを提供開始
~「金融×モダナイゼーション」のラインアップとしてモダナイゼーション後の保守運用まで見据えた一気通貫支援を展開~
TISインテックグループのTIS株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:岡本 安史、以下:TIS)は、金融業界で稼働する基幹系システムのモダナイゼーション実施後のJavaプログラムに対して、生成AIを活用して仕様書を自動生成する生成AI仕様書作成オプションを2025年9月17日より提供開始することを発表します。
今回、生成AI仕様書作成オプションは、TISの複数のサービスを体系化した「金融×モダナイゼーション」のラインアップの一つとして展開します。「金融×モダナイゼーション」は、TISの金融業界向けモダナイゼーションの既存サービス群を体系化したカテゴリです。今回、この「金融×モダナイゼーション」の一環として提供を開始する生成AI仕様書作成オプションでは、モダナイゼーション後の仕様書がない場合や実態と乖離している場合でも、生成AIによってプログラムの意図や処理構造を自動的に把握・整理できるようになり、保守や追加開発時の不安を大幅に軽減します。

背景
レガシーシステムの老朽化や肥大化、複雑化が、データ活用の遅れやシステム保守費用の増加を招き、DX推進の阻害要因となることが課題視されています。特に金融業界では、COBOLやPL/I、アセンブラといった複数の旧言語で構築された大規模な基幹系システムが長期にわたり稼働しており、その刷新には段階的かつ中長期的な対応が求められています。
TISではこれまで、レガシー資産に対してコストを抑えながら中長期的な保守・運用を可能とする「Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」を提供してきました。「Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」は、プログラムソースレベルで品質を担保しながら変換を行うため、最新の業務仕様を把握するための仕様書が存在しない、あるいは実態と乖離している場合でもモダナイゼーションに対応できる点が大きな特長です。また、COBOL資産で現行の仕様書が整備されている場合には、モダナイゼーション後も既存の仕様書をそのまま活用できるケースもあり、変換後の工程の効率化に貢献しています。
しかし、実際の現場では「そもそも仕様書が存在しないため作成したい」「仕様書が長年更新されておらず実態と乖離しているため最新化したい」といったケースも多く、保守フェーズや追加開発における仕様書作成ニーズは根強く存在しています。特に金融業界では、制度改正に伴う頻繁な改修対応に加え、数十年単位で長期稼働しているシステムが多く、当初の設計・開発に関わった担当者の異動や退職、委託先の変更などにより、交代や引き継ぎが繰り返されてきた経緯があります。そのため、正確な仕様把握の重要性が高い一方で、仕様書が存在しない、更新されていないことが、保守・追加開発時の障害となっていました。これらの課題を解決するために仕様書をゼロから人手で作成することは、膨大な工数とコストを要し、現実的ではないことも少なくありません。これまではこのようなニーズに対し、モダナイゼーション後の既存の仕様書のアップデート対応や、仕様変更の多い領域に絞った仕様書の再作成など、企業ごとの投資対効果を見極めた柔軟な対応を行ってきました。それと同時に、生成AIの特性を正しく理解・活用し、業務における価値と安全性の両立を図るための実践的な取り組みとして、モダナイゼーション後のシステムに対し、仕様書を自動生成する仕組みの実装検証を進めました。今回、社内検証を通じて実用性と品質の両面で一定の成果が得られたことから、「金融×モダナイゼーション」サービスのラインアップの一つとして、生成AI仕様書作成オプションの提供開始に至りました。
概要
今回新たに追加した生成AI仕様書作成オプションでは、プログラム解析を通して、製造工程や単体テストにおいて特に重要となる6項目の情報を出力し、仕様書作成をサポートします。

作成結果は、テキスト形式に加えて、フローチャートや表形式などを用いて表され、直感的に処理の流れや構造を把握できる設計となっています。これにより、既存のシステムに仕様書が存在しない場合でも、仕様を可視化することが可能となり、プログラムの理解や保守対応の確実性が向上します。さらに、エンタープライズ領域での活用にも耐えうるよう、セキュリティ面にも十分配慮し、大規模言語モデル(LLM)に機密情報が保管・学習されることがないようサービスを提供します。
<提供価格>
個別見積もり
※当面は「Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」利用企業が対象
詳細は以下よりお問い合わせください。
https://www.tis.jp/service_solution/finance_modernization/genai_spec/
特長
生成AI仕様書作成オプションの主な特長は以下の通りです。
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人手による仕様書作成に比べ、工数を最大約60%削減
社内検証の結果、従来の人手による作業と比較し最大約60%の工数削減効果を確認。実用性と品質を両立したドキュメントを提供し、運用の安定性や生産性の向上に寄与。
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処理構造や業務ロジックの可視化により、仕様理解のスピードと精度が向上
フローチャートや自然言語による処理説明を併用することで、処理の流れや全体像を直感的に把握できるほか、処理の意図や前提条件も明示されるため、誤解のない正確な理解が可能。また、開発経験が浅いメンバーや非エンジニアの関係者でも把握しやすく、プログラム理解に要する学習コストを軽減。属人化を防止し、誰もが同じスピードと精度で仕様を理解・レビューできる環境を整備。
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記述の一貫性により、仕様の共有・レビューがしやすい
文体や表現形式の統一により、読み手によって理解のブレが生じることを防ぎ、関係者間でスムーズな意図の共有が可能。属人化の防止やレビュー時の確認漏れの抑制、後続工程(テスト・改修)における品質確保を実現。

今後の展開
当面は、「Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」でリライトされたJavaプログラムに対して、オプションとして適用する形で展開していきます。今後は、2026年度内の実用化を目標に、「Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」による変換の有無やプログラム言語を問わず、稼働中のさまざまなシステム資産に対して、仕様の把握や保守対応を支援する仕組みとしての活用を想定し、対象言語の拡大やツールの汎用化に向けた技術検証を継続します。
将来的には、生成AIの解析精度をさらに高めるとともに、仕様書にとどまらず、業務要件整理資料や外部接続仕様書、画面遷移図など、開発初期フェーズで用いられる設計文書への応用にも積極的に取り組み、質・量の両面から仕様書の充実を図ります。さらに、企業ごとの仕様書フォーマットやドキュメント管理基準に応じた柔軟な出力レイアウト機能の実装にも取り組み、さまざまな業界・業種にも展開を広げていきます。
「金融×モダナイゼーション」について
「金融×モダナイゼーション」は、TISがこれまで提供してきたモダナイゼーション関連サービスを、金融業界特有の課題に対応できるよう体系化したカテゴリです。本カテゴリでは、金融業界における資産の大規模さや複雑性に対応する、旧言語・旧処理形式を対象としたモダナイゼーションに加え、業務継続性や安全性を前提とする、フロントエンドシステムの刷新、クラウド環境を活用した段階的なシステム移行支援など、金融業界に見られる多様なニーズに寄り添ったサービスを組み合わせて提供しています。
詳細は以下をご参照ください。
https://www.tis.jp/service_solution/finance_modernization/
「Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」について
TIS独自のリライト技術「Xenlon~神龍 Migrator」を活用して、レガシーな言語(COBOL、PL/Iなど)からJavaへのリライトを実現しオープン環境へ移行することで技術的負債を解消できるサービスです。すでに多くの企業で採用され、企業のレガシーシステムを短期間で安全・確実にモダナイゼーションしています。
詳細は以下をご参照ください。
https://www.tis.jp/service_solution/xenlon/
TIS株式会社について(https://www.tis.co.jp/)
TISインテックグループのTISは、金融、産業、公共、流通サービス分野など多様な業種3,000社以上のビジネスパートナーとして、お客さまのあらゆる経営課題に向き合い、「成長戦略を支えるためのIT」を提供しています。50年以上にわたり培ってきた業界知識やIT構築力で、日本・ASEAN地域の社会・お客さまと共創するITサービスを提供し、豊かな社会の実現を目指しています。
TISインテックグループについて
TISインテックグループは、国内外グループ2万人を超える社員が『ITで、社会の願い叶えよう。』を合言葉に、「金融包摂」「都市集中・地方衰退」「低・脱炭素化」「健康問題」を中心としたさまざまな社会課題の解決に向けてITサービスを提供しています。デジタル技術を駆使したムーバーとして新たな価値を創造し、人々の幸せと持続可能な豊かな社会の実現に貢献します。
※ 記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。
※ 記載されている情報は、発表日現在のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。
◆本サービスに関するお問い合わせ先
TIS株式会社 金融事業本部 金融ネクスト事業部 金融モダナイゼーションビジネス推進室
E-mail:tis-finance-xms@tis.co.jp
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