拘留されている子ども、26万1,000人~子どもたちに優しい司法制度の実現を【プレスリリース】

公益財団法人日本ユニセフ協会

拘置所内にユニセフ支援で設置された教室で、授業を受ける子どもたち。(カメルーン、2021年2月撮影) © UNICEF_UN0422726_Dejongh拘置所内にユニセフ支援で設置された教室で、授業を受ける子どもたち。(カメルーン、2021年2月撮影) © UNICEF_UN0422726_Dejongh

【2021年11月15日 ニューヨーク 発】

ユニセフ(国連児童基金)が本日発表した新たなデータによると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが始まって以来、4万5,000人以上の子どもたちが拘留から解放され、家族やそれに代わる養育者等の元へ安全に戻っていることがわかりました。

ユニセフは、2020年4月、コロナ禍の子どもたちの拘留について、制限された過密な空間ではCOVID-19に感染するリスクが高まることを注意喚起し、彼らの即時解放を求めました。調査分析『コロナ禍における子どもたちの拘留(原題:Detention of children in the time of COVID-19)』は、それ以降、少なくとも84カ国の政府および拘置機関が数千人の子どもたちを解放していることを明らかにしています。この調査は、毎年自由を奪われている何十万人もの子どもたちの状況を示す2つの分析のうちの1つで、両報告書は「子どもの司法に関する世界会議(World Congress on Justice with Children)」に先立って発表されました。

ユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは「私たちは以前から、司法制度が子どもたち特有のニーズに対応するためには十分でないことを知っていましたが、この状況はCOVID-19のパンデミックによってさらに悪化しています。私たちの呼びかけに応え、子どもたちを拘留から解放した国々を称賛します。こうした国々は、重篤な病気にかかる危険性のある状況から子どもたちを守ることで、国民の反対を乗り越え、年齢に応じた革新的な司法制度を促進することができました。この出来事は、私たちがすでに分かっていたこと、つまり子どもに優しい司法制度は実現可能であるということを証明しています」と述べました。
 

米国から強制送還され、再開した家族と抱き合う男の子。メキシコと米国の国境で拘束されている子どもの数は増加している。(グアテマラ、2020年9月撮影) © UNICEF_UN0446892_Mussapp米国から強制送還され、再開した家族と抱き合う男の子。メキシコと米国の国境で拘束されている子どもの数は増加している。(グアテマラ、2020年9月撮影) © UNICEF_UN0446892_Mussapp

拘留されている子どもたちは、裁判の前後や移民であったり、武力紛争や国家安全保障に関係していたり、拘留されている親と同居していたりと様々ですが、多くの場合、制限された過密な空間に閉じ込められています。彼らは、栄養や保健・医療、衛生サービスを十分に利用できず、育児放棄、身体的・心理的虐待、ジェンダーに基づく暴力を受けやすい状況にあります。多くは弁護士や家族との連絡を絶たれ、拘留の合法性に異議を唱えることもできません。

COVID-19によって、裁判所が閉鎖されたり、必要不可欠な社会・司法サービスへのアクセスが制限されるなど、子どもたちに関する司法に大きな影響を与えています。ストリートチルドレンを含む多くの子どもたちが、パンデミックによる外出禁止令や移動制限に違反して拘留されていることも明らかになっています。

ユニセフの2つ目の調査分析『司法の場で自由を奪われている子どもの推定数(原題: Estimating the number of children deprived of their liberty in the administration of justice)』によると、世界中で推定26万1,000人の子どもたちが、罪を犯したと訴えられたり、認定されたりするなど、法に触れたとして拘留されています。2007年ぶりの分析となるこの推定数については、多くの国で記録が不完全であり、データ管理システムが整備されていないことから、実際の数はもっと多い可能性があるとされています。

子どもたちに関する司法を再構築し、すべての子どもの拘留を安全に終わらせるために、ユニセフは各国政府や市民社会に対して、下記の通り呼びかけています。
  • 司法制度や社会福祉制度における子どもたち、その中でも特に最も疎外されている子どもたちの法的権利の啓発に投資する
  • すべての子どもたちに対する無料の法的支援、法定代理人、法律サービスを拡大する
  • 子どもの犯罪の予防と早期介入、および適切な代替手段への転換を優先する
  • 刑事責任年齢を引き上げる法改正などにより、子どもの拘留を終わらせる
  • 子どもとジェンダーに配慮した司法手続きへの投資を含め、性的暴力、虐待、搾取の被害に遭った子どもたちのための司法を確立する
  • 子どもにやさしい専門裁判所や、オンライン裁判所、移動式裁判所を設置する

「子どもが拘留されるということは、システムが上手く機能していない証拠ですが、このままでは状況はさらに悪化する可能性があります。子どもたちを保護し支えるはずの司法制度が、かえって子どもたちの苦しみを増大させることがあるのです。政策立案者、司法関係者、学術界、市民社会、そして子どもや若者が今週の世界会議に集う中で、私たちは子どもたちの拘留を終わらせるために協力し合わなければなりません」(フォア)

* * *

■ 本信にて言及したユニセフの調査分析は下記の通りです。
「コロナ禍における子どもたちの拘留」
https://www.unicef.org/documents/detention-children-time-covid
157カ国にあるユニセフ現地事務所のネットワークを通じた調査から得られたデータです。調査対象国(低・中所得国138カ国と高所得国19カ国を含む)には、世界の子どもの人口の90%が暮らしています。

「司法の場で自由を奪われている子どもの推定数」
https://data.unicef.org/resources/children-in-detention-report
2017年1月から2021年10月にかけて、ウェブ調査と国レベルの調査によって作成されました。データソースは、法務省、内務省、社会省など、司法制度の監督を義務付けられている政府省庁の行政記録、各国の統計局が管理しているウェブサイトや配布している国別統計報告書、ユーロスタット(EuroStat)やトランスモネ(TransMonEE)などの集約型データベースです。

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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会社概要

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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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