18年ぶりの10万部突破!累計280万部突破! Z世代に大人気の 『マイブック』(新潮文庫)、流行のワケは「日記界隈」⁉
1999年の秋に初めて刊行され、手帳や日記として使用できる「白い文庫本」の先駆けとなった『マイブック』。25周年を迎えた本書が、いま若者を中心に一大ブームとなり、全国の書店から在庫蒸発!緊急増刷を重ね、18年ぶりの10万部(現在11万部)を突破しました!
『マイブック』とは何か、流行の秘密「日記界隈」や刊行秘話をご紹介します。
■『マイブック』とは……?
今年で25周年を迎え、累計280万部を突破しロングセラーとなっている『マイブック』。中面には、日付と曜日しか入っていません。手帳、日記、備忘録に――自由に使う世界に一冊だけの本です。書きやすいように、通常の文庫よりもしっかり開く方法で製本しています。鈴木おさむ・大島美幸夫婦、広末涼子、杏、さくらももこ各氏にも愛用されていた一冊です。
■ブームのきっかけはSNS! Z世代が関心を寄せる「日記界隈」とは……?
昨年9月末に発売した今年の『マイブック』ですが、例年に比べ異例のスピードで売れ続け、年末には全国の書店から在庫が蒸発する事態となりました。
流行のきっかけは、「日記界隈」の若者がSNSに掲載した『マイブック』の手書きページでした。
「日記界隈」とは、その名の通り、「日記」を書く人々のこと。この言葉は「SHIBUYA109 lab. トレンド予測2025」(SHIBUYA109 lab.調べ)の「モノ・コト部門」にもランクインした、本年大注目のキーワードです。
従来の日記は他人に見せず、自分だけの中で留めておくものですが、Z世代の日記はその逆。あえて
日々起きた出来事をSNSなどのネット上で共有するスタイルが主流で、これはライフログとも呼ばれています。この投稿に『マイブック』が活用され、話題となりました。
実際に、15~24歳の若年層の女性の読者は昨年比146%増加。
若い読者の増加傾向は直近5年顕著で、年々2割程度ずつ増加しています。本年版の20~24歳の購入者の数は、2021年版と比較して235%まで増えました。※発売日~1月第1週までの売上を比較
■刊行秘話 「“自分の本”が、文豪たちと同じ本棚に収まるところに価値がある」
――大貫卓也さん(『マイブック』企画・デザイン)
『マイブック』は1999年の初刊行以来、アートディレクター・大貫卓也さんの企画・デザインで制作を行っています。刊行当時のお話を大貫さんに伺いました。
「発端は、新潮社側から手帳を作りたいので(当時の)新潮文庫のキャラクター・Yonda?(大貫さんデザイン)を使わせてほしいという話でした。他によいアイデアがあるのではと熟考し、生まれたのがこの文庫のような白い本です。文庫と同じ見た目で中身は白く、自分で書くことで完成させる本があったら、どんな文学作品よりも思い出深いものになるのではないかと思いました」
こうして1999年に生まれた『マイブック』。初版3万部でスタートしましたが、1ヶ月も経たないうちに重版がかかり、増刷を重ねて翌年1月には9刷39万部に達しました。
「こだわったのは、手帳としてではなく「本」として売ること。自分が書いたものが、文豪やいま活躍している現代作家の文庫と同じように本棚に収まるところに価値があるのではないかと思いました。新潮文庫の特徴であるスピン(栞)をもちろん『マイブック』にもつけて。手書きというのはアナログでオールドな手法ですが、ワンクリックで消えてしまうデータとは違うところがよいのではないかと思います」(前同)
25年の時を経て愛され続ける一冊には、刊行時から変わらない魅力が詰まっていました。
■鈴木おさむ・大島美幸夫妻は「交換日記」に!
結婚23年目、お笑い芸人トリオ「森三中」の大島美幸さんと元放送作家の鈴木おさむさんは結婚3年目に『マイブック』を使用して交換日記をスタートしたそうです。どんなに仕事が忙しくとも、マイブックに書き込んでいる時間は「相手のことを強烈に思う3分間」で、「夫婦をくっつけてくれる糊」のような存在だといいます。
■書籍内容紹介文
マイブックには、日付と曜日しか入っていません。これは2025年のあなたがつくる、世界に一冊だけの本。どんなふうに使うかはあなたの自由です。日記をつづってもよし。手帳として持ち歩くのもよし。誰にも思いつかないオリジナルな使い方を試してみるのも、きっと楽しいでしょう。毎日使い続けて完成させたなら、他のどの本よりも記憶に残る、とっておきの「自分の本」になっているはずです。
■書籍データ
【タイトル】マイブック―2025年の記録―
【著者名】大貫卓也/企画・デザイン
【発売日】2024年9月30日
【造本】文庫
【定価】473円(税込)
【ISBN】978-4-10-120877-0
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