【岡山大学】岡山大学の宇宙戦略について(概要)
2023(令和5)年 12月 5日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)は、2023年11月29日に開催された定例記者会見において、那須保友学長から「岡山大学の宇宙戦略の概要」について紹介を行いましたので、下記の通りお知らせします。
岡山大学は法人経営におけるビションを明確にして、そのための活動を社会、地域とともに進めています。そのビジョンは、地域とともに歩む道であり、大学と地域が相互協働するなかで実現に向かっていくものと考えています。
また、ビジジョンの実現に向けての中で、知識によって社会を変革するナレッジワーカーの育成と輩出は重要な点であり、これがビジョンの基礎である3つのヘルス「地球と生態系の健康(Planetary Health)」、「Well-being・人の健康(Human Health)」、そして「安心・安全に暮らせる地域の健康(Community Health)」のいち早い実現に寄与するとも考えています。
この3つのヘルス(Health)は、いま私たちが生活している「地球上」という点だけではなく、「宇宙」という点でも言えます。これは、みなさんご存知のとおり、「フロンティアとしての宇宙」というのは日に日に身近になっており、もはやフロンティアではなく「日常」とも言える時代に私たちは生きています。これだけ日々、目まぐるしい技術の発見と進歩が進む中で、もしかすると私たち現役の世代が宇宙に飛び立つことも可能なぐらいの「日常」ともいえるかもしれません。
宇宙空間とわたしたちの日常・生活はとても密接です。その点からも「宇宙からみたヘルス」という点が「今後」ではなく「いま」の時点からとても重要だと考えます。例えば、宇宙からみての地球と生態系の健康は衛星技術などに関係しますし、宇宙からみてのWell-being・人の健康や、安心・安全に暮らせる地域の健康は、宇宙空間や月面での持続可能な人類の活動など、多岐に渡っていまの私たちに関連してきます。
そして、知識を生み出す岡山大学などの大学・研究機関は、宇宙から見たヘルスを支える技術や人材などに深く関与しています。
岡山大学のビジョンと宇宙の関係は、本学だけが考えていることではなく、国が策定している「宇宙基本計画」などにおいても、数多くの共感、共通する部分があります。
岡山大学では、自身のビションの実現において、宇宙という存在の重要性を改めて認識するとともに、わが国の宇宙基本計画など、さまざまな取り組みに呼応することで、社会変革を起こし、私たち人類の歩みに大きく貢献していきたいと強く思います。
実際に岡山大学の宇宙の取組の一部を紹介しますと、一番に最初に挙げられるのは鳥取県三朝町にある岡山大学惑星物質研究所です。本研究所は「岡山大学高等先鋭研究院」を成す研究所のひとつであり、地球を含む惑星の形成・進化や生命の起源を、分析化学及び実験科学アプローチを通じて最先端研究を推進すると同時に、共同利用・共同研究拠点「惑星物質科学研究拠点(令和4年度〜)」として認定されています。
本研究所の先進的実験・分析研究基盤を、幅広く国内外の研究者に提供し、積極的に共同研究教育を展開することをミッションとしており、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所とも連携協定を締結しています。
そして「ここにしかない分析装置」が揃っており、このシステムが大いに宇宙の研究を支えています。個々の装置はどこにでもある装置とも言えますが、これらが連動し、かつリモートでも扱えるという独自性を持ち、これに高度な技術と知識を有した人材がいてこそ「ここでしかない」という付加価値を生み出しています。
惑星物質研究所には、世界から集結した秀逸な研究者や支援人材などが在籍しています。そのため、研究所の公用語は英語で行わていることはもちろんのこと、世界各国と連携した研究活動を盛んに実施しています。「世界で唯一の」という冠を掲げても恥ずかしくない体制を本研究所では整備しています。
これらの体制の成果として挙げられる中で一番、有名なのが「はやぶさ1&2のサンプル・リターンの解析」です。さきほど紹介した機器を駆使し、世界が注目する成果を数多く輩出しています。
このサンプル・リターンの解析は、今後の宇宙計画でも予定されています。また先日はアメリカでも同様のサンプル・リターンが実施されており、国際的な取組の展開が進む中で、本学の惑星物質研究所の国際性が大いに役立ち、貢献できると考えています。
次に倉敷市の中心街にある岡山大学資源植物科学研究所の取組です。本研究所も岡山大学高等先鋭研究院の1つを成す研究機関です。
こちらでは、オオムギやイネなどの作物研究のわが国有数の研究拠点であり、100年以上の長い歴史を有しています。また、2010年度から全国共同利用・共同研究拠点として認定を受け、植物科学研究者コミュニティを支援する「植物遺伝資源・ストレス科学研究拠点」として活動を推進しています。
この作物という点は、食糧安全保障の分野でも極めて重要な点であり、本研究所に担う役割は大変重要かつ重責を担うこととなります。また、「地球上」の食糧安全保障などとともに、今回の宇宙に関しても数多くの研究をしています。宇宙で生育する植物のストレス応答・防御遺伝子の発現解析や宇宙船外に曝露した種子生存能力の解析、宇宙空間での紫外線で発現する遺伝子の機能解析などなど、国際共同研究を宇宙空間で行うことはもちろんのこと、地球上での植物ストレス研究が、宇宙で役立つという相互関係があります。
将来、宇宙空間や月面などにおける作物の栽培などに役立つ基礎的知見を数多く輩出しており、これは「遠い未来」ではなく、すぐ、まじかに実装していくことなるかと思います。作物・植物科学から宇宙を支える取組を推進していきます。
岡山大学高等先鋭研究院は、前述した惑星物質研究所と資源植物科学研究所を含めた本学の4つの研究所から組成されていますが、岡山大学のビジョンを支えるPlanetary Health、Human Health、Community Healthを核とした研究を推進しています。
紹介した2つの研究所の取組以外にも今後の研究所同士のコラボレーションによる新結合を生み出すことができます。例えば、惑星物質研究所で解析した小惑星などの組成から、人工的に土壌を作り出し、資源植物科学研究所において、人工土壌に作物を植えるとどうなるのかなど、人類が宇宙で持続的な生活圏を形成する際の重要な研究・技術開発などを推進することができますし、実際に研究を実装段階まで進めています。
また、本学津島キャンパスに所在する異分野基礎科学研究所での光合成研究や革新的材料研究などを宇宙に応用することで、エネルギー生産や宇宙開発の素材・材料を提供、さらに基礎科学的な知見を宇宙に応用による従来にはない新しい新結合を生み出すことなどができます。
さらに岡山大学の唯一の人文社会科学系の研究所である文明動態学研究所の視点から宇宙開発や技術、人類の歩みなどに関して、知見を提供することで、技術開発を社会実装する際、特に「宇宙空間での人類の活動への実装」という新しい領域をいち早く開拓・整備できるように貢献できます。また、将来的に「地球での人類史」と「宇宙(月)での人類史」という、人類の歩みが大きく分かれる起点ともなる時代をいま迎えており、人文社会科学のアプローチは重要な点と言えます。
これらの高等先鋭研究院を成す4つの研究所の宇宙での活動の可能性を考慮し、本年度「岡山大学の宇宙戦略」の取組みの具体化や基礎調査を推進するための活動費を配分することを11月27日に決定しました。
岡山大学が最重点で研究を進める7つの分野「岡山大学最重点研究分野」の①農作物・植物科学分野、④惑星科学・宇宙物理分野の2つが主に該当しますが、今後「岡山大学の宇宙戦略」をより明確にするとともに、学内連携や他の大学・研究機関とのさらなる連携のみならず、宇宙開発・技術におけるスタートアップ・ベンチャーの有望なシーズなどとも協働し、わが国の宇宙基本計画の推進、そして基礎研究や産業の活性化、人材の育成などに積極的に関与していきます。どうぞ、地域と地球の未来を共創し、社会変革を実現させる研究大学:岡山大学の絶え間ない変化と挑戦にご期待ください。
「岡山大学の宇宙戦略について(概要)」岡山大学 学長定例記者会見発表(2023年11月)
那須保友 岡山大学長
佐藤法仁 副理事(研究・産学共創総括)・副学長(学事)・URAhttps://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20231129-1.pdf
◆参考資料:岡山大学高等先鋭研究院のシステム
・岡山大学高等先鋭研究院を創設~世界と伍す研究・イノベーションの卓越と厚みを育成するシステムを構築~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001681.000072793.html
・岡山大学4研究所が「高等先鋭研究院」として始動 ~組織としての「箱」ではなく、卓越、イノベーション創出、流動、育成を兼ね揃えた「システム」として運用を開始~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001835.000072793.html
◆参 考
・岡山大学ビジョン3.0・岡山大学長期ビジョン2050
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/profile/ou-vision.html
・岡山大学資源植物科学研究所
https://www.rib.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学惑星物質研究所
https://www.misasa.okayama-u.ac.jp/jp/
・岡山大学異分野基礎科学研究所
http://www.riis.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学文明動態学研究所
◆参考情報
・【岡山大学】「岡山大学最重点研究分野」を制定~地域と地球の未来を共創し、世界の革新に寄与する研究大学を実現するために~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001601.000072793.html
・研究大学の舵取りを担う高度研究系専門人材~岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)のこれまでとこれから~
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20230831-1-1.pdf
・岡山大学における研究インテグリティ体制強化促進について
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20230728-2.pdf
・文部科学省「研究大学強化促進事業」(最終事業評価:S)
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/news/20231019news.pdf
・【岡山大学】文部科学省「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」に採択~わが国の研究力・イノベーション創出を牽引する地域中核・特色ある研究大学へ~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001395.000072793.html
・【岡山大学】文部科学省「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」採択と今後の取組概要について
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001451.000072793.html
・【岡山大学】「岡山大学研究力・イノベーション創出強化実現会議」を設置・始動~矜持とスピード感を持って社会変革を実現する研究大学を目指し、司令塔機能を一本化~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001788.000072793.html
・【岡山大学】岡山大学長期ビジョン2050をより確実に実現させ、社会変革を起こす”力”がある研究大学:岡山大学を目指して「岡山大学研究ポリシー」を改正
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001798.000072793.html
<参考イベント>
7th Global Moon Village Workshop & Symposium連動アウトリーチイベント 「月に杜を創ろう」〔12/9,土 杜の街グレース〕
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)では、7th Global Moon Village Workshop & Symposiumに連動し、「月に杜を創ろう」というテーマで、一般の方を対象としたイベントを2023年12月9日(土)に杜の街グレースで開催します。
宇宙開発への取り組みが拡大している今、月面における人類活動の次のステップを岡山から発信します。未来の宇宙時代を生きる若い世代の方々にも夢とそれを現実にする方法を追い求める楽しさを感じてもらえる講演・展示プログラムを用意しました。
会場と鳥取県三朝町にある岡山大学惑星物質研究所をネットワークで結び、実際の小惑星リュウグウの試料を、電子顕微鏡を使って観察する催しや、実際の月の砂をはじめとした科学的展示を行います。
どなたでもご参加いただけますので、お気軽にご来場ください。参加費無料。【内 容】
・講 演
中村 栄三(岡山大学)基調講演「月面でサラダを食べよう」
土井 隆雄(京都大学・元宇宙飛行士)「月と火星の森」
吉川 真 (宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所)「小惑星を捕まえよう」
春山 純一(宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所)「月溶岩トンネルの特徴と活用」
庄司 研 (大成建設(株)技術センター都市基盤技術研究部)「溶岩トンネル内でのエコシステム概念とアーキテクチャー」
・公開フォーラム「フロンティア ~人は月の杜で夢を見る~」
・展示「見てみよう、リュウグウと月の砂」ほか
◆本件お問い合わせ先
岡山大学研究力・イノベーション創出強化実現会議(担当窓口:研究協力部 研究協力課)
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟
TEL:086-251-7115
E-mail:innovation◎adm.okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています
<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーに関するお問い合わせ先>
岡山大学イノベーション・マネジメント・コア(IMaC) ベンチャー支援フィールド
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-7112
E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
https://venture.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2023年12月期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001849.000072793.html
岡山大学「THEインパクトランキング2021」総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000072793.html
岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
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