高校教育改革に関する調査2022「オープンキャンパス編」
94.2%の高校教員が生徒のオープンキャンパスへの参加を推奨。「比較検討する場」から「出願意欲を高める場」へ
株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村 吉弘)が運営する『リクルート進学総研』は、高校の教育改革に関する現状を明らかにするため、全国の全日制高校に対して、高校教育改革調査を実施いたしましたので、結果を一部ご報告いたします。※本調査は 『キャリアガイダンス』編集部と『リクルート進学総研』が隔年で実施しており、今回で第22回目を迎えます。
コロナウイルス感染拡大の影響を受け対面での活動が制限される中、オープンキャンパスも内容・開催様式が大きく変化した。そのような中において、今回は高校教員の「オープンキャンパスへの意識」に注目しどのように指導しているのかについてご報告します。
※「新学習指導要領・ICT活用」編、「進路指導・キャリア教育」編はこちらから確認いただけます
https://souken.shingakunet.com/research/2019/02/post-9b3b.html
<オープンキャンパス参加推奨度・推奨理由>
■オープンキャンパス参加を「推奨している」と回答した高校教員は9割を超え、“アタリマエ”に推奨。
・「推奨している」と回答したうち、「強く推奨している」と回答した高校教員は約6割で半数を超える。
・大短進学率別に見ても、70%未満層・70%以上層共に「推奨している・計」は9割を超えており、進学率にかかわらず推奨されている。
<図1>進路検討における「オープンキャンパス」参加の推奨度(単一回答)
■推奨理由の1位は「雰囲気を知り具体的なイメージを形成するため」23.3%、続いて「志望校への意欲・モチベーション維持・向上のため」21.7%、「入学後のミスマッチの防止・齟齬の解消」19.9%。
・大短進学率別に見ると、70%以上層の1位は「志望校への意欲・モチベーション維持・向上のため」28.7%で、70%未満層の同項目16.3%より10ポイント以上高い。一方、70%未満層は1位「雰囲気を知り具体的なイメージを形成するため」24.6%、2位「入学後のミスマッチの防止・齟齬の解消」21.0%で、共に70%以上層よりポイントが高い。進学率によって推奨理由に違いが見られる結果となった(図2)。
<図2>オープンキャンパスの推奨理由(オープンキャンパス参加を推奨している高校のうち、自由回答に回答のあった高校/自由回答を類型化しランキング化)
<フリーコメント>
・実際に訪問してこそわかる学校の施設の充実度や雰囲気を感じてほしいから。
また、学校関係者や学生に直接話を聞くことで理解できることを大切にしてほしいから。[兵庫県/県立/普通科]
・近隣に上級学校がないので、周囲の環境も含めて、見学に行くことで、学問へのモチベーションを上げたり、志望校を絞り込む一助となる。[熊本県/県立/普通科]
・個々の生徒にフィットした進学先の保証(内容面、学力面等々)のためにも、志望校となりうる学校には、できる限りオープンキャンパス等に出向くことを推奨している。やはり、進学後のミスマッチ感から、大学進学後にモチベーションが低下し、退学(放学)となる生徒が存在するため。[熊本県/私立/普通科]
[リクルート進学総研 研究員コメント]
◆「比較検討する場」よりも「出願意欲を高める場」としてのオープンキャンパスに期待
高校生に“進路選択において最も役立った情報源は何か”と問うと、「オープンキャンパス・学校見学会」(以下OC)は「高校の先生からの情報やアドバイス」や「学校案内やパンフレット」を抑え、唯一20%を超え1位である(図3)。“雰囲気”をつかむのはOCの役割として高校生・高校教員ともに期待しているようだ。
<図3>最も役に立った進路情報源トップ10(単一回答) ※進学センサス2022より
高校教員の推奨理由上位には“雰囲気”に加えて、 “志望校への意欲を高める”“ミスマッチを防ぐ”“生徒自身が進路を決定”といった、主体的な進路検討を望む項目が並ぶ。一方、下位項目は“比較検討・選択肢拡大”“面接対策”が並ぶ結果となった。このことから、進路指導においてOCは「比較検討する場」ではなく、参加前に志望校についての情報収集した上で「志望校への出願意欲を高める場」としての期待が高いことが分かる。
◆「受験に向かうモチベーションを高めたい」進学校、「ミスマッチを防ぎたい」多様校。大短進学率によってオープンキャンパスに期待することは異なる。
一般入試メインの進学校は「受験へのモチベーションアップ向上」、年内入試(総合型・学校推薦型)メインの多様校は「進学後のミスマッチ防止」への期待がそれぞれ高いことがわかった。18歳人口減少・年内入試へのシフト等の影響を受け、出願校数は減少する一方、第1志望校への進学者は68.3%と年々増加しており、志望校への意欲を高める場としてのOCへの期待はコロナ禍を経ても変わらず高い(リクルート進学総研「進学センサス2022」)。
「志望校への出願意欲を高める場」としてのオープンキャンパスは、募集をする学校の視点からみると「志望校として絞り込まれる場」ということになるのではないだろうか。このことからも、オープンキャンパス評価も従来の参加人数だけではなく、「第1志望者参加率」「志望度合いの上昇」など新しい指標を設計し、コンテンツ全体を見直していく必要があるだろう。
リクルート進学総研 研究員 池内 摩耶
【アンケート概要】
■ 調査目的:全日制高校で行われている教育改革(新学習指導要領、ICT活用、キャリア教育、進路指導、学校改革に関する取り組みなど)の実態を明らかにする。
■ 調査期間:2022年8月4日(木)~9月9日(金)投函・インターネット回答締め切り
■ 調査方法:郵送調査+インターネット調査
※校長・進路指導宛てに調査票を郵送、回答を記入の上郵送または記載のURLからインターネット回答
■ 調査対象:全国の全日制高等学校4721校
■ 集計対象数:943件(回収率20.0%)
■参考URL:調査全体報告書URL
https://souken.shingakunet.com/research/pdf/2022_kaikaku_houkoku.pdf
▼リクルートについて
https://www.recruit.co.jp/
▼本件に関するお問い合わせ先
https://www.recruit.co.jp/support/form/
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像