「非正規雇用市場における採用・求職動向レポート(2023年9-10月)」を発表
非正規雇用における求職活動を行った人の割合は調査開始以来、過去最高に。勤務地や労働時間を限定する「限定正社員制度」があった場合、利用して正社員になりたい人は5割以上。
《TOPICS》
非正規雇用における求職活動を行った人の割合は18.7%となり調査開始以来、過去最高に【図1、2】
勤務地や労働時間を限定する「限定正社員制度」があった場合、制度を利用して正社員になりたい人は5割以上【図3、4】
限定正社員制度について必要性を感じている企業は59.1%と半数を超えたものの、導入割合は30.8%にとどまった。業種別では、[建設][ソフトウェア・通信]で導入率が高い【図5】
非正規社員から限定社員への転換実績がある割合は43.0%。非正規社員からの申し出を受けて限定正社員化した割合は58.8%【図6、7】
【調査概要】
企業の求人ニーズ(23年9-10月に非正規雇用者の採用活動を行った企業の割合)は24.9%(23年7-8月比:0.4pt増、22年9-10月比:1.2pt増)となり、個人の求職ニーズ(23年9-10月に非正規雇用の求職活動を行った個人の割合)は18.7%(23年7-8月比:3.4pt増、22年9-10月比:1.7pt増)で2020年7-8月の調査開始以来過去最高となった。【図1】【図2】
最低賃金が過去最高の上げ幅で改定され、非正規雇用の時給がベースアップされたことが求職活動の活発化の一因と考えられる。
非正規雇用の仕事探しにおいて、こだわる人が多い希望条件は「通いやすい勤務地の仕事」で89.3%と最も高く、次いで「時短勤務など、働く時間が柔軟な仕事」で82.3%となった。【図3】
そこで、勤務先において労働時間や勤務地、仕事の範囲が限定される「限定正社員制度」を設けている場合、その制度を利用して正社員になりたいと思うか聞いたところ、「そう思う(そう思う+ややそう思う)」が56.3%と半数を超えた。年代別にみると「30代」が71.0%と最も高く、次いで「20代」が63.3%となり、20代・30代を中心に限定正社員の意向が高くなった。【図4】
非正規雇用の仕事探しにおいては、働く時間や勤務地が限定されることを重要視していることから、そのような勤務形態を希望する求職者は特に、勤務地限定正社員・勤務時間限定正社員への意向が高いと推察される。
非正規雇用の採用を行っている企業で、限定正社員制度の必要性を感じている割合は59.1%と半数を超えたが、実際に制度を設けている割合は30.8%にとどまった。業種別で制度導入が一番多かったのは、[建設]で44.0%、次いで[ソフトウェア・通信]で32.6%となった。2024年問題やIT技術者不足が課題となっており新規採用が難しい中、幅広い人材を獲得すべく制度の導入が進んでいると推察される。一方で、制度の必要性を感じている業種で最も高かったのは[飲食・宿泊]で63.3%、次いで[小売]で62.9%となり、これらの業種では、慢性的な人手不足も影響し、今後制度導入の検討が進められていくとみられる。【図5】
限定正社員制度を導入する企業に、非正規社員から限定正社員への転換状況を聞いたところ、実績がある割合は43.0%となった。また、雇用形態転換のきっかけについては、「非正規社員に限定正社員転換の誘いをして、限定正社員化した」が47.0%と最も高くなった。一方で、非正規社員から申し出を受けた割合も11.4%と一定数あり、そのうち58.8%が限定正社員化したことがわかった。【図6、7】
【図1】企業の求人ニーズ/個人の求職ニーズ
【図2】個人の求職ニーズの推移
【図3】非正規雇用の仕事探しで、こだわった希望条件・妥協した希望条件(単一回答)
※回答ベース:23年9-10月に「非正規雇用の仕事を探した人」
【図4】勤務先で「限定正社員制度」を設けている場合、制度を利用したいと思うか
※回答ベース:23年9-10月に「非正規雇用の仕事を探した人」
【図5】限定正社員制度の必要性と実施状況(単一回答)
※回答数30以上の業種を抜粋
【図6】非正規社員から限定正社員への転換実績(単一回答)
※ベース:現在限定正社員制度を設けている企業、※回答数300
【図7】非正規社員の限定正社員化のきっかけ(単一回答)
※ベース:現在限定正社員制度を設けている企業、※回答数300
◆調査担当者からのコメント
非正規雇用の仕事探しでは、働く場所や時間を重視する人が多いことから、労働時間や勤務地が限定される「限定正社員」制度が利用できる場合に、正社員になりたいと考える人が多いことがわかりました。一方で、限定正社員制度を設けている企業は3割にとどまったものの、限定正社員制度の必要性を感じている企業は多いことから、人手不足を背景に、今後導入は広がると見込まれます。個人の生き方が多様化する中で、それぞれの状況やニーズに合わせて働けるように環境を整備することは、企業の人材確保や個人のライフキャリアの充実といった面で双方に良い影響があると考えられるでしょう。
キャリアリサーチラボ 研究員 三輪希実
【調査概要】「非正規雇用市場における採用・求職動向レポート(2023年9-10月)」
○調査期間/
企業:2023年11月1日(水)~11月3日(金)
個人:2023年11月1日(水)~11月6日(月)
○調査方法/
WEB上のアンケートフォームより入力
○調査対象/
<企業>
スクリーニング調査:従業員数10名以上の企業に所属している全国の経営者・役員または会社員で、自社の採用方針を把握している人
本調査対象:上記のうち、自社の非正規雇用労働者の採用方針について把握しており、直近2カ月以内に採用活動を行った又は新規採用を行った人
<個人>
スクリーニング調査:全国の15-69歳の男女(中学生を除く)
本調査:全国の15-69歳の男女(中学生を除く)のうち、直近2カ月以内に非正規雇用の仕事探しをした人
○調査機関/
自社調べ
○有効回答数/
企業…スクリーニング調査:17,000名 本調査:973名
個人…スクリーニング調査:16,475名 本調査:1,602名
※調査査結果の詳細は会社HPのニュースリリース(https://www.mynavi.jp/news/)からご確認いただけます
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