「わし、もう死にたい」と言われたとき、どう答えるか――「野の花診療所」院長・徳永進さん最後のエッセイ『いのちのそばで 野の花診療所からの最終便』2月20日発売!
内科医として40年、在宅ホスピスも行う19床の有床診療所「野の花診療所」を始めて23年の著者が、診療所での看取りの日々を描く。読む人の死生観を静かに揺り動かす、著者最後のエッセイ
徳永進・著『いのちのそばで 野の花診療所からの最終便』が、2024年2月20日(火)朝日新聞出版より発売されました。著者が院長をつとめるホスピス「野の花診療所」は、鳥取市内にある、死と向き合う人のために開かれた診療所です。在宅死を希望する人の往診も行っています。お酒も、タバコも、お菓子もほどほどならOKです。本書の中ではさまざまな人が、身寄りのない人も愛する家族のいる人も、年老いた人も若い人も、亡くなっていき、著者は、ご本人とその家族の印象的な風景や言葉を書き留めていきます。その様子はまさに千差万別。よりよい看取りとは何なのか? 正解はないのかもしれない、けれどそれでも、人は死に向きあう力を持っている――日本人の看取る力を確かに感じさせてくれるエッセイです。
著者の徳永進さんは、内科医として40年、緩和ケアをするホスピスの院長として23年、終末期にある患者さんとその家族を支え、死に向き合う人々の様子を数多くのエッセイに綴ってきました。
へき地医療、超高齢社会、多死社会、誰も看取る人がいない方の死など、現代の地方医療が抱えるさまざまな問題を、野の花診療所もまた抱えています。しかしそんな中でも、著者が見つめる生と死には、いつも必ずどこかに人間の持つ温かみがあります。多くの患者さんに接してきた著者が思う「死」とは、「看取り」とは――。診療所の様子はこれまでにもハートネットTV(NHK)「豊かな終わりを見つめて 医師・徳永進さんの思い」などさまざまなメディアで報道されてきました。
野の花診療所は、一般的に思い浮かべる「病院」とは少し違っています。木の風合いを大切にした室内は、病院と家の間のような居心地のいい空間です。待合室や読書室、食堂にあるアンティークの家具や、あちこちに飾られている、ボランティアの方が活けた季節の野の花が優しい雰囲気を醸し出しています。
診療所の食堂は「ターラ(ネパール語で「星」)」と名がつけられており、危篤状態に陥った患者さんに夜通し付き添う家族の方に、ここで手作りの朝食を出す様子が、本書には描かれています。また、患者さんご本人やご家族の経済状況、家庭環境に合わせて、著者が馴染みの葬儀社に棺や葬儀の値段を相談する様子も描かれています。このようなエピソードからわかるように、患者さんご本人だけなく、ご家族が死を受け入れていく過程も丁寧に描かれています。
これまで多くの患者と、その家族を支え続けてきた著者も75歳になり、ホスピスを閉じるのか、誰かに引き継ぐのか、行く末を考える季節を迎え、長きにわたって綴ってきたエッセイも、本書で「最終便」とすることを決めます。今現在病を抱えている方はもちろん、患者さんを支えるご家族の方にも自信を持っておすすめすることができる作品です。
『いのちのそばで 野の花診療所からの最終便』
著者:徳永進
予価:1870円(本体1700円+税10%)
発売日:2024年2月20日(火曜日)
体裁:264ページ、四六判
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