資生堂、世界初 ノネナールが肌ダメージを引き起こすことを発見 ― ノネナールに対するマスキング香料でダメージを抑制することに成功 ―
資生堂は、加齢に伴い発生する特有の香り(加齢臭)の原因物質であるノネナールが肌ダメージを引き起こすことを発見し、ノネナールに対するマスキング香料※1 が肌ダメージを抑制することを見出しました※2。ノネナールが直接的に肌に影響を与えることを科学的に証明したのは、これが世界で初めてです。
1999年に、資生堂は40代を過ぎたころから男女問わず発生する体臭の主な原因物質がノネナールであることを発見し、そのメカニズムや、香りを目立たなくするマスキング香料の開発なども合わせて行ってきました。今回は新たに、鼻だけではなく肌もノネナールを感知し、表皮細胞(ケラチノサイト)がダメージを受けて肌が薄くなることを明らかにしました。さらに、ノネナールに対するマスキング効果のある6種の香り成分を調合した新規複合アロマ香料が、ノネナールによる肌ダメージを抑制することを見出しました。
今後も、企業使命である「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(ビューティーイノベーションでよりよい世界を)」の実現を目指し、肌が日々感じている様々な外部刺激から肌を守り、肌本来の健やかな美しさを引き出すサポートを続けていきます。
※1:不要不快な香りに対して用いることで、香りを目立たなくすることのできる香料のこと。
※2:Nakanishi et al. Effects of trans-2-nonenal and olfactory masking odorants on proliferation of human keratinocytes. Biochem Biophys Res Commun. 9;548:1-6 (2021).
《研究背景》
資生堂は、1980年代から香りに関する基礎的な研究に本格的に取り組み、1999年には加齢に伴い発生する特有の香り(加齢臭)の原因物質がノネナールであることを発見し、香りを目立たなくするマスキング香料の探索なども行ってきました。これまでの研究で、香りは全身の生理機能や皮膚の状態などに作用することがわかってきていますが、香りの肌に対する直接的な作用については明らかにされていないことが多くありました。肌の最も外側に存在する表皮は、様々な外部刺激との最初の接点であり、光や音など多くの刺激を感知しています。今回は、ノネナールが肌に直接的にどのような作用を及ぼしているのか、研究を進めました。
《ノネナールによる肌への影響》
ノネナールによる肌への影響を調べるために、表皮細胞(ケラチノサイト)にノネナールを加えて実験を行いました。その結果、ノネナールは表皮細胞にダメージを与えることが明らかになりました。ノネナールは細胞が機能しなくなる状態であるアポトーシス(細胞死)を引き起こし(図2)、表皮細胞の生存率を低下させることがわかりました。
《マスキング香料による肌ダメージ抑制効果》
ノネナールによる肌ダメージを抑制するために、これまでの知見を活用し、ノネナールの香りをマスキングする香料に着目しました。ノネナールに対するマスキング効果がある香り成分とマスキング効果のない香り成分をそれぞれノネナールと共に表皮細胞へ与えたところ、マスキング効果のある香り成分は香りを目立たなくするだけではなく、ノネナールによる表皮細胞ダメージを抑制する効果があることが確認されました。一方、マスキング効果のない香り成分は、ノネナールによる表皮細胞ダメージの抑制効果は見られませんでした(図3)。
《3次元表皮モデルを用いたノネナールによる肌への影響とマスキング香料の効果》
表皮細胞での結果に加えて、3次元表皮モデルを用いて、ノネナールによる肌への影響について検討を行いました。通常の3次元表皮モデル(図4;左)は、表皮がある一定の厚みをもって形成されますが、ノネナールを加えて培養すると(図4;中央)、表皮の厚みが明らかに薄くなることがわかりました。皮膚が非常に薄くなった状態では、皮膚が本来持つ生理機能が十分に発揮できなくなる可能性があります。そこで今回、3次元表皮モデルにノネナールと共にノネナールに対するマスキング効果のある6種の香り成分を配合した新規複合アロマ香料を加えて培養したところ、表皮は薄くなりませんでした(図4;右)。つまり、複合アロマ香料には、ノネナールの香りを目立たなくするだけでなく、ノネナールによる肌ダメージを抑制する効果があるといえます。
先行研究により、皮膚は加齢とともに薄くなることがわかっています。今回の研究結果により、その一因にノネナールが関係する可能性が示唆されました。そして、マスキング香料には、ノネナールが肌に及ぼす影響に対して抑制効果があることが示されました。このことは、香りによって肌を健やかで美しく保つという、全く新しいアプローチへの展開が期待されます。
今回、肌が香りを直接的に感知して影響を受けること、そして鼻で感じる香りをケアするマスキング香料によってその影響を抑えることができることを明らかにしました。これは、皮膚科学と香りの科学を融合させた、新しい発見です。
今後も、お客さま一人一人の肌や外部環境による影響の研究を深め、健やかで美しい肌を実現するこれまでにない新たなアプローチを提案していきます。
▼ ニュースリリース
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003114&rt_pr=tri43
▼ 資生堂 企業情報
https://corp.shiseido.com/?rt_pr=tri43
1999年に、資生堂は40代を過ぎたころから男女問わず発生する体臭の主な原因物質がノネナールであることを発見し、そのメカニズムや、香りを目立たなくするマスキング香料の開発なども合わせて行ってきました。今回は新たに、鼻だけではなく肌もノネナールを感知し、表皮細胞(ケラチノサイト)がダメージを受けて肌が薄くなることを明らかにしました。さらに、ノネナールに対するマスキング効果のある6種の香り成分を調合した新規複合アロマ香料が、ノネナールによる肌ダメージを抑制することを見出しました。
今後も、企業使命である「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(ビューティーイノベーションでよりよい世界を)」の実現を目指し、肌が日々感じている様々な外部刺激から肌を守り、肌本来の健やかな美しさを引き出すサポートを続けていきます。
※1:不要不快な香りに対して用いることで、香りを目立たなくすることのできる香料のこと。
※2:Nakanishi et al. Effects of trans-2-nonenal and olfactory masking odorants on proliferation of human keratinocytes. Biochem Biophys Res Commun. 9;548:1-6 (2021).
《研究背景》
資生堂は、1980年代から香りに関する基礎的な研究に本格的に取り組み、1999年には加齢に伴い発生する特有の香り(加齢臭)の原因物質がノネナールであることを発見し、香りを目立たなくするマスキング香料の探索なども行ってきました。これまでの研究で、香りは全身の生理機能や皮膚の状態などに作用することがわかってきていますが、香りの肌に対する直接的な作用については明らかにされていないことが多くありました。肌の最も外側に存在する表皮は、様々な外部刺激との最初の接点であり、光や音など多くの刺激を感知しています。今回は、ノネナールが肌に直接的にどのような作用を及ぼしているのか、研究を進めました。
《ノネナールによる肌への影響》
ノネナールによる肌への影響を調べるために、表皮細胞(ケラチノサイト)にノネナールを加えて実験を行いました。その結果、ノネナールは表皮細胞にダメージを与えることが明らかになりました。ノネナールは細胞が機能しなくなる状態であるアポトーシス(細胞死)を引き起こし(図2)、表皮細胞の生存率を低下させることがわかりました。
《マスキング香料による肌ダメージ抑制効果》
ノネナールによる肌ダメージを抑制するために、これまでの知見を活用し、ノネナールの香りをマスキングする香料に着目しました。ノネナールに対するマスキング効果がある香り成分とマスキング効果のない香り成分をそれぞれノネナールと共に表皮細胞へ与えたところ、マスキング効果のある香り成分は香りを目立たなくするだけではなく、ノネナールによる表皮細胞ダメージを抑制する効果があることが確認されました。一方、マスキング効果のない香り成分は、ノネナールによる表皮細胞ダメージの抑制効果は見られませんでした(図3)。
《3次元表皮モデルを用いたノネナールによる肌への影響とマスキング香料の効果》
表皮細胞での結果に加えて、3次元表皮モデルを用いて、ノネナールによる肌への影響について検討を行いました。通常の3次元表皮モデル(図4;左)は、表皮がある一定の厚みをもって形成されますが、ノネナールを加えて培養すると(図4;中央)、表皮の厚みが明らかに薄くなることがわかりました。皮膚が非常に薄くなった状態では、皮膚が本来持つ生理機能が十分に発揮できなくなる可能性があります。そこで今回、3次元表皮モデルにノネナールと共にノネナールに対するマスキング効果のある6種の香り成分を配合した新規複合アロマ香料を加えて培養したところ、表皮は薄くなりませんでした(図4;右)。つまり、複合アロマ香料には、ノネナールの香りを目立たなくするだけでなく、ノネナールによる肌ダメージを抑制する効果があるといえます。
先行研究により、皮膚は加齢とともに薄くなることがわかっています。今回の研究結果により、その一因にノネナールが関係する可能性が示唆されました。そして、マスキング香料には、ノネナールが肌に及ぼす影響に対して抑制効果があることが示されました。このことは、香りによって肌を健やかで美しく保つという、全く新しいアプローチへの展開が期待されます。
今回、肌が香りを直接的に感知して影響を受けること、そして鼻で感じる香りをケアするマスキング香料によってその影響を抑えることができることを明らかにしました。これは、皮膚科学と香りの科学を融合させた、新しい発見です。
今後も、お客さま一人一人の肌や外部環境による影響の研究を深め、健やかで美しい肌を実現するこれまでにない新たなアプローチを提案していきます。
▼ ニュースリリース
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003114&rt_pr=tri43
▼ 資生堂 企業情報
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