ウクライナ危機:1分間に55人の子どもが難民に~第二次世界大戦以降最大の難民危機【プレスリリース】

パランカ国境近くに到着した2歳のウクライナ難民のマリナちゃん(中央)と友達のパリナちゃん(左)。(モルドバ、2022年3月12日撮影) © UNICEF_UN0607414_Modolaパランカ国境近くに到着した2歳のウクライナ難民のマリナちゃん(中央)と友達のパリナちゃん(左)。(モルドバ、2022年3月12日撮影) © UNICEF_UN0607414_Modola

【2022年3月15日  ニューヨーク 発】

紛争下にあるウクライナから帰国したユニセフ(国連児童基金)広報官のジェームズ・エルダーが、ジュネーブで行われた国連の定例記者会見で報告した要旨を、以下の通りお知らせします。

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2月24日以降、ウクライナでは本当に多くの子どもたちが殺されています。負傷した子どもたちの数は、さらに多くなっています。そして、150万人以上の子どもが国外への避難を余儀なくされています。

平均すると、ウクライナにおける紛争が激化してから、毎日7万5,000人以上の子どもが難民になっているということです。毎日です。さらに平均すると、衝撃的な数字が出ました。1分あたり、55人の子どもがウクライナから避難しています。つまり、1秒あたりほぼ1人のペースで、ウクライナの子どもたちが難民になっているのです。
 

ウクライナと国境を接するポーランドのメディカにたどり着いた家族。ボランティアからの支援で衣類、毛布、温かい食べ物や飲み物、衛生用品などの必要な物資が配布されている。(ポーランド、2022年3月11日撮影) © UNICEF_UN0607443_Englisウクライナと国境を接するポーランドのメディカにたどり着いた家族。ボランティアからの支援で衣類、毛布、温かい食べ物や飲み物、衛生用品などの必要な物資が配布されている。(ポーランド、2022年3月11日撮影) © UNICEF_UN0607443_Englis

この難民危機は、第二次世界大戦以降、類を見ないスピードと規模で広がっており、その勢いが衰える気配はありません。

紛争によって故郷を追われたすべての子どもたちと同様に、近隣諸国への避難を余儀なくされたウクライナの子どもたちも、家族と離ればなれになったり、暴力、性的搾取、人身売買などの大きなリスクにさらされたりしています。特に、おとなの同伴者がいない子どもや家族と離ればなれになった子どもは、安全、安心、子どもの保護サービスを切実に必要としているのです。

この大惨事から最も安全かつ迅速に抜け出す方法は、一つしかありません。それは、この紛争を今すぐにでも終わらせることです。それまでは、民間人が暮らす地域や民間インフラへの攻撃は止めなければなりません。

人の命が奪われています。
膨大なニーズがあるにもかかわらず、人々は重要な保健・医療サービスを利用できません。
子どもたちは学校に通うことができません。 
数百万人の子どもがウクライナの紛争地域に取り残されています。
 

がんの治療を受けるため、ハリコフからリヴィウの小児科病院に向かうバスに乗る9歳のダニロさん。(ウクライナ、2022年3月12日撮影) © UNICEF_UN0607183_Moskaliukがんの治療を受けるため、ハリコフからリヴィウの小児科病院に向かうバスに乗る9歳のダニロさん。(ウクライナ、2022年3月12日撮影) © UNICEF_UN0607183_Moskaliuk

私はこの2週間、ウクライナ西部のリヴィウで、命からがら逃げてきた母親、父親、子どもたち、そして彼らを助けようと最前線にいる人々に話を聞きました。

キエフの病院から一晩で60人もの子どもを受け入れたリヴィウの小児科医に、どのような準備をしていたのかと尋ねると、優先順位のつけ方を訓練していたと説明されました。紛争で傷ついた子どもたちが大勢運ばれてきたら、医師たちはシールを使って治療の優先順位を決めるのです。緑のシールはとりあえず様子を見る、黄のシールは今すぐ医療支援が必要、赤のシールは重症、黒のシールはもう助からない、というように。

ユニセフは、ウクライナの現地にチームを派遣し、必要な支援物資を送り続けています。先週末には、追加の支援物資がウクライナに到着しました。今回はトラック22台に168トンの物資が積まれ、この物資には、助産キット、外科キット、産科キット、酸素濃縮器、保冷ボックス、毛布、冬服、水、衛生キット、尊厳キット、幼児教育キット、思春期キットなどが含まれています。
 

リヴィウに届いたユニセフの支援物資。(ウクライナ、2022年3月12日撮影) © UNICEF_UN0607222_Moskaliukリヴィウに届いたユニセフの支援物資。(ウクライナ、2022年3月12日撮影) © UNICEF_UN0607222_Moskaliuk

また、移動式子ども保護チームは、ウクライナ全域の子どもたちの保護と心理社会的サービスを拡大するため、9チームから47チームへと人員を増やしています。

私たちは、ウクライナにいる子どもたちだけでなく、国境を越え、150万人の難民の子どもたちにも支援を提供しています。人道支援パートナーや地元当局と協力し、子どもやその家族に重要な支援と保護サービスを提供するために、「ブルー・ドット」という支援拠点を次々と設置しています。チャットボットからFacebookまであらゆる手段を利用し、安全やおとなの同伴者がいない子どもたちに関してメッセージを発信し、難民センターに衛生用品を届けました。

しかし、これだけははっきりさせておかなければなりません。ボランティアのおばあさんたちからウクライナ政府、最前線で活動している人々から国連機関まで、あらゆる人々が不断の努力をしたとしても、この紛争が続く限り、ウクライナの子どもたちの状況は悪くなる一方だということです。

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ユニセフ「ウクライナ緊急募金」ご協力のお願い
8年にわたる東部地域の紛争や、昨今の武力行為の激化の影響を受けるウクライナの子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「ウクライナ緊急募金」を受け付けております。水や電気を絶たれたり教育の機会を奪われたり、避難を余儀なくされるなど、紛争による直接的・間接的な影響を受ける子どもたちをはじめ、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。

1. ホームページから
https://www.unicef.or.jp/kinkyu/ukraine/
※ クレジットカード/インターネットバンキング/Amazon Pay/携帯キャリア決済/コンビニ支払がご利用いただけます。

2. 郵便局(ゆうちょ銀行)から
振替口座:00190-5-31000/口座名義:公益財団法人 日本ユニセフ協会
*通信欄に「ウクライナ」と明記願います。
*窓口での振り込みの場合は、送金手数料が免除されます。

※公益財団法人 日本ユニセフ協会への寄付金には、特定公益増進法人への寄付として、所得税、相続税、法人税の税制上の優遇措置があります。また一部の自治体では、個人住民税の寄付金控除の対象となります。

* * *

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について 
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

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URL
http://www.unicef.or.jp
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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