資生堂、スポンジ相を活用した革新的なクレンジングウォーターを開発 ~ メイク落とし効果とさっぱりべたつかない感触を高いレベルで実現 ~
資生堂は「スポンジ相※1」と呼ばれる界面活性剤の特異な状態を水中で生成させ、メイク落としに活用することに成功しました。近年、”ミセラタイプ”と呼ばれる水をベースにしたクレンジングウォーターが多数上市されています。”ミセラタイプ”のクレンジングウォーターは、洗浄後にさっぱりとしてべたつかず、うるおった肌感触が得られる一方で、メイク落とし効果において重要な役割を果たす油性成分をほとんど含まないため、他のクレンジング剤形に比べて洗浄力に課題がありました。水をベースとするメイク落としにおいて「スポンジ相」を活用すると、スポンジ相特有の網目構造により、洗浄後のさっぱりとした肌感触だけでなく、高い洗浄力を発揮することが可能となります。本技術は21年6月に日本、7月に海外で発売する、「クレ・ド・ポー ボーテ オーミセラーデマキアントヴィサージュ」に活用するとともに、今後の当社のクレンジング製品に展開していきます。
なお、本技術は「第86回日本化粧品技術者会(SCCJ)研究討論会」(2021/7/15)で学会発表予定です。
※1 スポンジ相 : 界面活性剤がスポンジのようにネットワークを形成して広がった状態。油になじむ面が拡大してメイクとなじみやすい。
《ミセル相とスポンジ相》
一般的に、水をベースとするメイク落としには、「ミセル相」という界面活性剤が集合した会合体※2 が活用されています。ミセル相は界面活性剤の複数の分子が水中で集合して小さな粒として分散した状態で、メイク落としにおいては洗浄後の優れた肌感触が得られる一方で、メイクなどの油性成分になじむ部分はミセル相の内側に限定して存在しているため、洗浄力に課題がありました。今回当社が注目した「スポンジ相」は界面活性剤の分子が網目状に集合し、水を大量に含んだ会合体で、水のように低粘度で透明な外観を有しています。スポンジ相は界面張力※3 が極めて小さいため、洗浄に適した会合体であることは予想されていましたが、化粧品処方中でスポンジ相を生成させることのできる組成の範囲がとても狭く、これまで実用化は不可能であると考えられていました。今回当社はスポンジ相を活用した製剤化とメイク落としに求められる機能の検証を行い、革新的なクレンジングウォーターの製剤化に挑戦しました。
※2 会合体 : 界面活性剤や油分など、複数の同じ分子が弱い力によって集合して形成された構造。
※3 界面張力 : メイクなどの油性成分に対する混ざりにくさ。界面張力が小さいと油性成分がなじみやすくなる。
《スポンジ相を活用した製剤の機能評価》
1. スポンジ相を活用した製剤について、メイク落とし効果の評価を行いました。試験はスポンジ相を活用した製剤と従来技術を活用した製剤をコットンにそれぞれ同じ量をしみ込ませた後、白色の人工皮革に塗布したファンデーションを複数回拭き取り、メイクの落ちを観察しました。その結果、従来技術を活用した製剤では一部のメイクが残っているのに対し、スポンジ相を活用した製剤ではほぼ完全にメイクを除去することができました(図2)。
2. 次に、クレンジング後の肌の感触について、スポンジ相を活用した製剤を、従来技術を活用した製剤と比較しました。20代から30代の女性100名に対し、「従来技術活用製剤と比較した使用性」や「クレンジング後の肌の状態」について評価してもらった結果、いずれの項目においてもスポンジ相活用製剤は良好な評価が得られました(図3)。特に、「さっぱりとしてべたつきがない」というクレンジングウォーターにとって重要な使用性の項目だけでなく、「肌が明るくなった」「くすみが取れた」という点でも従来品を上回りました。これは製剤中のスポンジ相が油と混ざりやすいことや細かい部分への浸透性が高いこと(低界面張力)などの性質を持つことによって肌上の不要な角層も除去されたためと考えられます。
今回、これまで実現が不可能であると考えられていた「スポンジ相」をクレンジングウォーターに活用し、洗浄後の使用感触と洗浄力を高い次元で両立できるクレンジングウォーターを実現しました。今後も当社はお客さまの生活スタイルに寄り添い、健やかで美しい肌を実現するためのさまざまなアプローチを提案していきます。
《関連するニュースリリース》
資生堂、濡れた手でも使える新規クレンジングオイルを開発(2005年)
https://corp.shiseido.com/jp/newsimg/archive/00000000000538/538_n8x58_jp.pdf?rt_pr=tri68
【参考情報】 メイク落とし、クレンジング製品に活用されている剤形
メイク落としやクレンジング製品に活用されている剤形を以下の表にまとめています。
当社は従来のクレンジングオイルやクレンジングウォーターの課題を解決し、メイク落とし効果と洗浄後の肌感触の向上を両立するための技術開発を実施しています。
▼ ニュースリリース
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003135&rt_pr=tri68
▼ 資生堂 企業情報
https://corp.shiseido.com/?rt_pr=tri68
なお、本技術は「第86回日本化粧品技術者会(SCCJ)研究討論会」(2021/7/15)で学会発表予定です。
※1 スポンジ相 : 界面活性剤がスポンジのようにネットワークを形成して広がった状態。油になじむ面が拡大してメイクとなじみやすい。
《ミセル相とスポンジ相》
一般的に、水をベースとするメイク落としには、「ミセル相」という界面活性剤が集合した会合体※2 が活用されています。ミセル相は界面活性剤の複数の分子が水中で集合して小さな粒として分散した状態で、メイク落としにおいては洗浄後の優れた肌感触が得られる一方で、メイクなどの油性成分になじむ部分はミセル相の内側に限定して存在しているため、洗浄力に課題がありました。今回当社が注目した「スポンジ相」は界面活性剤の分子が網目状に集合し、水を大量に含んだ会合体で、水のように低粘度で透明な外観を有しています。スポンジ相は界面張力※3 が極めて小さいため、洗浄に適した会合体であることは予想されていましたが、化粧品処方中でスポンジ相を生成させることのできる組成の範囲がとても狭く、これまで実用化は不可能であると考えられていました。今回当社はスポンジ相を活用した製剤化とメイク落としに求められる機能の検証を行い、革新的なクレンジングウォーターの製剤化に挑戦しました。
※2 会合体 : 界面活性剤や油分など、複数の同じ分子が弱い力によって集合して形成された構造。
※3 界面張力 : メイクなどの油性成分に対する混ざりにくさ。界面張力が小さいと油性成分がなじみやすくなる。
《スポンジ相を活用した製剤の機能評価》
1. スポンジ相を活用した製剤について、メイク落とし効果の評価を行いました。試験はスポンジ相を活用した製剤と従来技術を活用した製剤をコットンにそれぞれ同じ量をしみ込ませた後、白色の人工皮革に塗布したファンデーションを複数回拭き取り、メイクの落ちを観察しました。その結果、従来技術を活用した製剤では一部のメイクが残っているのに対し、スポンジ相を活用した製剤ではほぼ完全にメイクを除去することができました(図2)。
2. 次に、クレンジング後の肌の感触について、スポンジ相を活用した製剤を、従来技術を活用した製剤と比較しました。20代から30代の女性100名に対し、「従来技術活用製剤と比較した使用性」や「クレンジング後の肌の状態」について評価してもらった結果、いずれの項目においてもスポンジ相活用製剤は良好な評価が得られました(図3)。特に、「さっぱりとしてべたつきがない」というクレンジングウォーターにとって重要な使用性の項目だけでなく、「肌が明るくなった」「くすみが取れた」という点でも従来品を上回りました。これは製剤中のスポンジ相が油と混ざりやすいことや細かい部分への浸透性が高いこと(低界面張力)などの性質を持つことによって肌上の不要な角層も除去されたためと考えられます。
今回、これまで実現が不可能であると考えられていた「スポンジ相」をクレンジングウォーターに活用し、洗浄後の使用感触と洗浄力を高い次元で両立できるクレンジングウォーターを実現しました。今後も当社はお客さまの生活スタイルに寄り添い、健やかで美しい肌を実現するためのさまざまなアプローチを提案していきます。
《関連するニュースリリース》
資生堂、濡れた手でも使える新規クレンジングオイルを開発(2005年)
https://corp.shiseido.com/jp/newsimg/archive/00000000000538/538_n8x58_jp.pdf?rt_pr=tri68
【参考情報】 メイク落とし、クレンジング製品に活用されている剤形
メイク落としやクレンジング製品に活用されている剤形を以下の表にまとめています。
当社は従来のクレンジングオイルやクレンジングウォーターの課題を解決し、メイク落とし効果と洗浄後の肌感触の向上を両立するための技術開発を実施しています。
▼ ニュースリリース
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003135&rt_pr=tri68
▼ 資生堂 企業情報
https://corp.shiseido.com/?rt_pr=tri68
すべての画像