ウクライナ危機:ウクライナ東部でインフラ被害~140万人が水道を使用できず【プレスリリース】

キーウで爆撃被害があった跡の様子。民間インフラが被害を受け、数百万人の人々が安全な水や電気を利用できていない。(ウクライナ、2022年2月撮影) © UNICEF_UN0597995_Skyba for The Globe and Mailキーウで爆撃被害があった跡の様子。民間インフラが被害を受け、数百万人の人々が安全な水や電気を利用できていない。(ウクライナ、2022年2月撮影) © UNICEF_UN0597995_Skyba for The Globe and Mail

【2022年4月13日 リヴィウ(ウクライナ) 発】

ウクライナで紛争が激化して6週間以上経ち、水道網と電力網の両方が破壊されたことで同国東部に住む140万人が水道水を利用できない状況になっています。さらに、ウクライナ全土で460万人が、水を入手できなくなる可能性があります。

水インフラへの被害は、ウクライナ東部だけで、20件以上発生していると記録されています。東部での戦闘激化と、人口密集地での爆発性兵器の使用が拡大したことで、8年間にわたる紛争ですでに打撃を受けていた水システムは、完全に崩壊するリスクにさらされています。
 

ウクライナに向けて輸送するため、衛生用品などが入ったユニセフ支援物資が、コペンハーゲンにあるユニセフの物資供給センターで梱包される様子。(デンマーク、2022年3月10日撮影) © UNICEF_UN0605680_Asamoahウクライナに向けて輸送するため、衛生用品などが入ったユニセフ支援物資が、コペンハーゲンにあるユニセフの物資供給センターで梱包される様子。(デンマーク、2022年3月10日撮影) © UNICEF_UN0605680_Asamoah

停電によって、給水ポンプが停止しています。また、爆発により水道管が損傷したため、水の流れが断絶しています。

マリウポリでは、何千人もの人々が、やむを得ず汚れた水源を使用しています。ドネツク州とルハンスク州の主要都市でも、水の供給が断たれており、ホルリフカ(ドネツク州の都市)の貯水池が涸れることになれば、さらに34万人が水を入手できなくなります。

3月上旬には、同国北部のスーミとチェルニヒウで深刻な断水が発生し、北東部のハルキウの給水システムも深刻な影響を受けています。これらの都市を含め、戦闘の激しい地域における水へのアクセス回復と、緊急支援物資の供給が急務となっています。

2014年の紛争開始以来、ドネツク州とルハンスク州では、少なくとも35人の水道技術者が死傷していました。加えて、紛争が激化して以来、チェルニヒウで4人、ハルキウで1人、水道技術者が新たに負傷したと、WASH(水と衛生)クラスター*が確認しています。
 

長期間にわたり紛争の影響下にあるウクライナ東部のドネツク州の村に暮らす住人。週に一度安全な水を汲みに来る必要がある。(2020年7月撮影) © UNICEF_UNI356695_Filippov長期間にわたり紛争の影響下にあるウクライナ東部のドネツク州の村に暮らす住人。週に一度安全な水を汲みに来る必要がある。(2020年7月撮影) © UNICEF_UNI356695_Filippov

1年前、国連安全保障理事会は決議第2573号を全会一致で採択し、すべての紛争当事者が、民間人、及び水道施設を含む民間インフラを保護する義務を持つという、国際人道法(IHL)の義務を再確認しました。しかし、ウクライナの紛争では、水、衛生、電力網などの民間インフラが破壊され、重要なサービスが利用できなくなっています。

WASHクラスターは、すべての当事者に対し、人口密集地での爆発性兵器の使用を止めるよう、かつ、民間インフラがある地域から、軍の装備と人員を遠ざけるよう要請しています。

ユニセフ・ウクライナ事務所代表のムラート・シャヒンは、「紛争地域に住む幼い子どもは、直接的な暴力よりも、安全ではない水に起因する下痢性疾患で死亡する可能性が20倍以上高くなります。どこに住んでいようと、紛争によって水へのアクセスが脅かされてはなりません。子どもにとって、それは命を左右する問題なのです」と述べました。

ユニセフが主導するWASHクラスターの活動は、以下の通りです。
  • 水ポンプに電力を供給し、スーミとチェルニヒウの水システムを稼動させるため、発電機や、修繕に必要な機器を提供しました。
  • ハルキウ・ヴォドカナル水システム用に57.4トンの液化塩素を調達しました(3週間分の水を浄化可能)。また、ウジホロド・ヴォドカナル水システムを稼働させるため、液化塩素ガス4.5トンを調達しました。これにより、避難民流入しているハルキウとウジホロドで、それぞれ140万人と14万人に安全な水を確保することができます。
  • ドネツク州、ハルキウ州、ルハンスク州、スーミ州、ザカルパチア州を含む、安全な水が極めて入手しづらい場所で、給水車やボトル入り飲料水を活用し、18万4,500人以上に安全な飲料水を供給しました。

※ 注記
WASHクラスターについて
グローバルWASHクラスターは、水と衛生分野の調整と、人道支援活動を改善することを目的とする、32のパートナーからなるパートナーシップで、ユニセフがリード機関を務めています

* * *

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

 

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会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

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URL
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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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