『何が教師を壊すのか――追い詰められる先生たちのリアル』話題の朝日新聞連載「いま先生は」が書籍化! 東京都の新任教諭5%が1年以内に離職、その理由に迫る
朝日新聞取材班著『何が教師を壊すのか――追いつめられる先生たちのリアル』が、2024年4月12日(金)朝日新聞出版より発売されました。朝日新聞で話題を集めた連載「いま先生は」を再編集し、書籍化したものです。
学校の先生は忙しすぎる――。その大きな理由のひとつが、「定額働かせ放題」といわれる「給特法」の存在です。今月(2024年4月)、中央教育審議会が見直し案を答申しましたが、現場からは「これでは問題の解決にはならない」という声が多数上がっています。一方で、東京都の新任の先生のうち4.9%が1年以内に退職するという衝撃的なニュースも……。なぜ先生たちは忙しすぎるのか? 本書はその現状と原因、そして解決策を、現場の教師への徹底的な取材を通してあぶり出します。
●「定額働かせ放題」と言われる「給特法」。どこが問題なのか?
教師の長時間労働の背景には、公立学校教員の特異な、そしてあまり知られていない給与制度があります。1971年に成立し翌年に施行された「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)です。一言で言えば、「基本給に教職調整額4%を上乗せする代わりに、残業代が出ない」というもの。いくら残業しても給与額が変わらないので、「定額働かせ放題」と批判されている制度です。
2023年6月から、中央教育審議会(中教審)の特別部会で給特法についての議論が始まり、今年2024年4月に見直し案が出されました。残業代が出るようになるのか、注目されていましたが、教員調整額を「4%から10%に引き上げる」というものでした。文科省は2025年度の通常国会での制度改正を視野に入れています。
しかし、現場からは「残業代が支払われない現状のままでは、問題の根本的な解決にならない」という声が多数出ています。
これは単なる一業種の労働問題ではありません。子どもの学習や育ちの質にかかわる問題なのです。
本書では、給特法の実態と問題点を、詳しく解説しています。
●残業だけじゃない! 学校の先生たちの想像を絶する職場環境
学校の先生は忙しすぎると言われます。現場を取材すると、先生たちの職場環境は、想像を絶する状態であることがわかります。
例えば、
欠員が出て、教頭が管理職としての業務をしながら担任を受け持つケースや、病気で休む教員の穴埋めができず、授業の一部が自習になってしまった小学校もあった。年度途中に教員が何人も来られなくなり、1人の教員が2クラス同時に授業を受け持った中学校もあった。(本書p40)
管理職に不妊治療をしていることを打ち明けて数日後、呼び出され、こう告げられた。「妊娠は夏以降に。年度途中で産休に入るのは、保護者の心証が悪いので避けて」(関東地方の私立小・30代女性)(p140)
部活指導が忙しいからといって、授業や定期テストづくりで手を抜くことだけはしたくない。一方で、顧問を務める部が試合で勝ち進むと、練習や引率の機会が増える。「負けてくれてもいいのに」ついそんな考えが浮かび、自分が嫌になった。(西日本の公立中・20代男性)(112P)
2学期が始まった9月。朝起きると、強い不安が襲ってきた。絶望的な気持ちで、何もしたくない。無理やり出勤したが、立っているのもしんどかった。10月ごろに心療内科に行くと「鬱状態」という診断書が出た。校長に持って行くと「そこまで悪いと思わなかった」と言った。(関西の公立中・30代男性)(124P)
「何十年前の働き方なのか」ある光景を目にして驚いた。職員室の机の上に資料がきれいにまとめて置いてあった。聞くと、教頭が教育委員会から来る大量のメールの添付ファイルをプリントアウトし、先生の人数分コピーして机に置くのだという。(東北の公立校・40代女性)(188P)
……激減する教員志望者、過酷な部活指導、定額働かせ放題の実態。現場はここまで疲弊している!
『何が教師を壊すのか』目次
まえがき
第1章 崩壊する教員採用
第2章 「定額働かせ放題」の制度と実態
第3章 変わらない部活指導
第4章 ぼやける公私の境
第5章 いま、教員は
あとがき
『何が教師を壊すのか――追いつめられる先生たちのリアル』
著者:朝日新聞取材班
予価:924円(本体840円+税10%)
発売日:2024年4月19日(火曜日)
体裁:216ページ、新書判
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