6月12日は「児童労働反対世界デー」:世界の10人に1人が児童労働に従事~社会的保護プログラムの重要性を訴え【プレスリリース】
【2022年6月3日 ニューヨーク発】
6月12日の児童労働反対世界デーに先駆けて行われた国連ハイレベルサイドイベントにおいて、ユニセフ(国連児童基金)事務局長のキャサリン・ラッセルが発言した内容を抜粋してお知らせします。
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現在、児童労働は憂慮すべき状況となっています。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による社会経済的影響を最も受けているのは子どもたちです。パンデミックが始まってから、1億人以上の子どもが貧困に陥ったと推定されています。子どもの貧困率が上昇すると、同時に児童労働のリスクも高まります。
2000年以降で初めて、児童労働に従事する子どもの数が増加し、世界中の子どものおよそ10人に1人が該当すると言われています。こうした子どもたちの約半数は、心身ともに悪影響を及ぼしかねない危険な仕事に就いています。
児童労働に従事している子どもの中には、非常に幼い子どもが多くいることも憂慮しています。2016年と比較して、2020年には児童労働に従事している5歳から11歳の子どもの数が1,680万人も増加していました。
児童労働が子どもたちに与える影響は壊滅的であり、それは生涯にわたって続く可能性があります。児童労働はすべての子どもが子どもとして生きる権利、搾取や虐待、暴力を受けずに成長する権利を侵害します。また、子どもたちの教育を奪い、将来の可能性を制限し、深刻な貧困の連鎖を生みます。
児童労働を回避する最も良い方法は、家族が危機を乗り切れるようにするための社会的保護プログラムに投資することです。
経済危機に直面し、不安定な状況にあるほとんどの家族にとって、子どもを働かせることは最終手段であり、生き残るための方法が他にない場合の選択肢です。こうした家族は、子どもを働かせることなく危機を乗り切るための直接的な支援を必要としています。社会的保護プログラムは、児童労働を唯一の選択肢とするような不安定な状況を改善するための鍵です。
COVID-19に対する世界の対応は、家族手当や児童手当がいかに効果的であるか、そして、それをいかに迅速に拡大できるかを浮き彫りにしました。
3,000を超える社会的保護プログラムが世界中のほぼすべての国で拡大されています。しかし、いまだに難しい課題が残っています。たった4人に1人の子どもしか、児童手当や家族手当を受けられていません。そしてそれらは必要不可欠ではありますが、解決策の一部でしかありません。子どもや家族を支援するためには、統合的支援が必要です。
例えば、家族への現金給付支援と同時に、子どもたちが働くことなく学校へ通い続けることの重要性を伝えることができれば、すでに働いている子どもたちは学校に戻ることができるかもしれません。また、子どもや家族に直接的な支援を提供し、保護するための労働力を強化する必要があります。
最後に、資金不足を埋める必要があります。それは、社会的保護に対して国内資源を優先的に充て、あらゆる形態の児童労働をなくすための開発支援を拡大することを意味します。
児童労働をなくすことを諦めてはいけません。すべての子どもたちが、どこにいても、児童労働に従事することなく子ども時代を過ごせるよう、共に努力していきましょう。
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/
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