『老人と海』へつづく幻の名作が初の文庫化!世界文学の巨匠・ヘミングウェイによる『河を渡って木立の中へ』(新潮文庫)は、3月28日発売です。
『日はまた昇る』『武器よさらば』など数々の名作を残したヘミングウェイ。彼にノーベル文学賞やピューリッツァー賞をもたらすこととなる『老人と海』を書きあげた前年、自身の戦争体験を反映させた長編『河を渡って木立の中へ』を発表していました。本作は、邦訳されたものの長い間文庫化されることがありませんでしたが、3月28日ついに新潮文庫に登場します。

1948年冬、ヘミングウェイはヴェネツィアで運命的な出会いをしました。
12月初旬、雨もよいのある日のこと。ヴェネツィアの礁湖に浮かぶトルチェッロ島で鴨猟を楽しんだヘミングウェイは、知人から18歳の女性アドリアーナ・イヴァンチッチを紹介されました。彼女に初めて会ったとき、ヘミングウェイは“大木が倒れるように”ぐらりときてしまったといいます。32歳も年下の彼女に一目惚れしてしまったのです。
そして、ヴェネツィアの美しい風景の中で、アドリア―ナとの仲を深めていったヘミングウェイは『河を渡って木立の中へ』というタイトルのもと、自身が抱える死への恐怖や戦争のトラウマ、そしてアドリア―ナに対する思いを投影した作品を発表しました。
■書籍内容紹介
第二次大戦から数年がたったヴェネツィア。末期の心臓病を抱えた50歳のアメリカ陸軍大佐キャントウェルは、若い貴族の娘レナータと刹那の逢瀬を重ねていました。レナータは、キャントウェルが抱える心の傷や戦争のトラウマを癒そうと、戦争の話をせがみますが、彼が重い口を開いて語ったのは、凄惨な戦いの全貌と自らの判断ミスで多くの部下を殺してしまった悔恨の情でした……。年の離れた愛しい人、戦争の不条理、迫りくる終焉の時。著者自身を投影して描く愛と死の物語。美しいヴェネツィアの街並みとともに、お楽しみください。
■著者紹介:アーネスト・ヘミングウェイ
(1899-1961)シカゴ近郊生れ。1918年第1次大戦に赤十字要員として参加、負傷する。1921年より1928年までパリに住み、『われらの時代』『日はまた昇る』『男だけの世界』などを刊行。その後『武器よさらば』、短編「キリマンジャロの雪」などを発表。スペイン内戦、第2次大戦にも従軍記者として参加。1952年『老人と海』を発表、ピューリッツァー賞を受賞。1954年、ノーベル文学賞を受賞。1961年、猟銃で自裁。
■訳者紹介:高見浩(たかみ ひろし)
東京生れ。出版社勤務を経て翻訳家に。主な訳書に『ヘミングウェイ全短編』『日はまた昇る』『老人と海』『羊たちの沈黙』『ハンニバル』『ホット・ゾーン』『北氷洋』『闇の奥』など。著書に『ヘミングウェイの源流を求めて』がある。
■書籍データ
【タイトル】河を渡って木立の中へ
【著者名】ヘミングウェイ
【訳者】高見浩
【発売日】2025年3月28日
【造本】文庫
【定価】1045円(税込)
【ISBN】978-4-10-210020-2
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