人口密集地における爆発性兵器に関わる政治宣言、11月18日にダブリンにて署名開始~ユニセフ事務局長ら、支持呼びかける【プレスリリース】

公益財団法人日本ユニセフ協会

リヴィウの小児科病院のベッドに横たわる12歳のミハイロさん。自宅の庭にロケット弾が落ち、父親は亡くなった。ミハイロさんも負傷し、頭には2つの破片が刺さった状態でいる。(ウクライナ、2022年9月撮影) © UNICEF_UN0726037_Ibarra Sリヴィウの小児科病院のベッドに横たわる12歳のミハイロさん。自宅の庭にロケット弾が落ち、父親は亡くなった。ミハイロさんも負傷し、頭には2つの破片が刺さった状態でいる。(ウクライナ、2022年9月撮影) © UNICEF_UN0726037_Ibarra S

【2022年11月14日 ニューヨーク/ジュネーブ発】

ユニセフ(国連児童基金)を含む3つの国連機関の長と赤十字国際委員会の総裁は本日、人口密集地における爆発性兵器(EWIPA)から市民を守るための新しい政治宣言を支持するよう、各国に促しました。

国連軍縮担当上級代表の中満泉氏やユニセフ事務局長キャサリン・ラッセルらは共同で「人口密集地における爆発性兵器使用から生じる人道上の被害からの、民間人の保護強化(“Strengthening the Protection of Civilians from the Humanitarian Consequences Arising from the Use of Explosive Weapons in Populated Areas”)」に関する宣言への賛同を各国に呼びかけています。
 

ファルージャで、友達と遊んでいる時に不発弾の破片が爆発し、足を負傷したため松葉杖を使う8歳のディアブさん。爆発により耳が聞こえにくくなり、今も耳が痛む。(イラク、2022年2月撮影) © UNICEF_UN0612065_Ibarra Sánchezファルージャで、友達と遊んでいる時に不発弾の破片が爆発し、足を負傷したため松葉杖を使う8歳のディアブさん。爆発により耳が聞こえにくくなり、今も耳が痛む。(イラク、2022年2月撮影) © UNICEF_UN0612065_Ibarra Sánchez

世界各地の紛争において、人口密集地における爆発性兵器の使用がもたらす壊滅的な結果に、民間人は耐え続けています。都市や町、村などで使用された場合、これらの兵器は標的を超えた範囲まで影響を及ぼすことが頻繁にあります。爆発物は無数の生命や手足を奪い、広範囲に破壊をもたらし、水や衛生、電気、医療、教育といった市民生活に不可欠なサービスを人々から奪っているのです。

この新しい政治宣言は、武力紛争の都市化進行から市民を保護するうえで、大きな布石となるものです。民間人に危害を加え都市を破壊することは受け入れるべき現実ではない、という強いメッセージを世界中に届けます。この宣言は国際人道法の尊重を強化するものであり、特に署名国に対し、人口密集地における爆発性兵器の使用が市民に危害を与える可能性がある場合は、その使用を制限または控えることを約束させるものです。

宣言は3年間の協議を経て、2022年11月18日にアイルランドのダブリンで開催される会合で発表される予定です。この10年間、地域主導の取り組みや市民社会による働きかけなどを通じて、政治宣言への関心がとても高まっています。
 

モスクで、破壊された学校の近くを歩く子どもたち。(アフガニスタン、2022年1月撮影) © UNICEF_UN0649512_Sicuroモスクで、破壊された学校の近くを歩く子どもたち。(アフガニスタン、2022年1月撮影) © UNICEF_UN0649512_Sicuro

無差別かつ不均衡な被害が生じる可能性が高いことから、国連と赤十字国際委員会は、すべての国と武力紛争当事者に対し、人口密集地における爆発性兵器の使用を避け、都市中心部から完全に紛争を排除するよう努力していくことを一貫して呼びかけてきました。

これらの兵器の使用による被害や破壊は、障がいや心理的トラウマなど、長期にわたる苦痛をもたらすことがあまりにも多く、女性、男性、少女、少年はそれぞれ異なる形で影響を受けますが、すべての一般市民が苦しむことになります。この苦痛は軽減すべきであり、防止することもできるはずです。

人口密集地における爆発性兵器の使用によって人々が受ける被害は、直後の影響の後にも長く続くことが多く、必要不可欠な市民サービスの長期にわたる混乱や大規模な人の移動という結果をもたらします。
 

ユニセフの支援を受けた青年ボランティアから、爆発物のリスクについて教わった11歳のラガドさん。「外で見つけた知らない物を持ったり、遊んだりしてはいけない」と話す。(シリア、2022年3月撮影) © UNICEF_UN0617371_ユニセフの支援を受けた青年ボランティアから、爆発物のリスクについて教わった11歳のラガドさん。「外で見つけた知らない物を持ったり、遊んだりしてはいけない」と話す。(シリア、2022年3月撮影) © UNICEF_UN0617371_

ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、「家、学校、病院など、子どもたちが暮らし、学び、頼りにしているあらゆる場所を爆撃することは、決して許されることではありません。私たちは各国に対し、都市化した紛争の害から子どもたちを守り、安全を確保するよう呼びかけています。子どもたちの命と未来は、それにかかっているのです」と述べています。

極めて重要なのは、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の達成が危機に瀕していることです。爆発性兵器が民間人やその家、重要な施設やインフラに及ぼす破壊的な影響は、食料安全保障の達成、貧困の終結、平和で包括的な社会の構築など、多くの目標を危うくするものなのです。

さらに、人口密集地でのこうした兵器の使用に起因する高レベルの汚染は、敵対行為の終了後も長期にわたって人々の生活を破壊し、復興努力を妨げています。大規模な、もしくは度重なる、または長期化する避難生活は人々の健康、安全、幸福を重大な危険にさらします。人口密集地での爆発性兵器、特に広範囲に影響を及ぼす兵器の使用は、人々の基本的人権を否定し、最終的にあらゆる世代の将来を脅かすことになるのです。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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業種
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本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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