ウクライナのインフラへの攻撃:700万人、ほぼすべての子どもが厳冬下で危険に【プレスリリース】

公益財団法人日本ユニセフ協会

ドネツク州リマンの検問所で、水や食べ物などの支援物資を受け取った6歳のナディヤさん。(ウクライナ、2022年11月27日撮影) © UNICEF_UN0749029_Bundzyloドネツク州リマンの検問所で、水や食べ物などの支援物資を受け取った6歳のナディヤさん。(ウクライナ、2022年11月27日撮影) © UNICEF_UN0749029_Bundzylo

【2022年12月14日 ニューヨーク/キーウ(ウクライナ)発】

ウクライナの重要なエネルギーインフラへの攻撃が続いているため、同国のほぼすべての700万人近くの子どもが電気、暖房、水を持続的に利用することができず、気温が下がり続け、冬が進む中でリスクが高まっている、とユニセフは本日警鐘を鳴らしました。

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電気がなければ、子どもたちは、氷点下20度に届かないこともある極寒にさらされるだけではなく、多くの学校が一部損壊または全壊している中で子どもたちの唯一の教育手段であるオンライン学習を続けることもできなくなります。さらに、医療施設は極めて重要なサービスを提供できなくなるかもしれず、また水道システムが機能しないことから、ただでさえ極めて高い肺炎、季節性インフルエンザ、水系感染症、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスクがさらに高まっています。 

ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、「何百万人もの子どもたちが、いつどのように救いの手が差し伸べられるかわからないまま、寒さと暗闇に震えて厳しい冬を迎えています。凍てつくような寒さがもたらす直接的な脅威だけではなく、子どもたちは学習手段や友人・家族とのつながりを奪われ、身体的・精神的な健康が絶望的なリスクにさらされているのです」と述べています。 
 

ウクライナ国内にユニセフが設置した「スピルノ・チャイルド・スポット」で遊ぶ子どもたち。(ウクライナ、2022年11月16日撮影) © UNICEF_UN0741530_Filippovウクライナ国内にユニセフが設置した「スピルノ・チャイルド・スポット」で遊ぶ子どもたち。(ウクライナ、2022年11月16日撮影) © UNICEF_UN0741530_Filippov

10月に攻撃が激化し、ウクライナの発電能力の40%が破壊されました。人々はさらに厳しい冬に直面し、生活に影響を受け、大規模な人口移動の可能性が高まりました。OCHA(国連人道問題調整事務所)によると、現在も修復が行われているものの、11月28日には、ウクライナのエネルギーシステムは、ピーク時の発電需要の70%しか出力することができませんでした。 

厳冬に加え、収入の損失および戦闘によって引き起こされたエネルギーと社会経済の危機は、子どもたちと家族の生活に壊滅的な打撃を与えています。紛争が悪化して以降ほぼ10カ月の間にインフラが破壊され、家庭の収入やサービスへのアクセスは大打撃を受けています。特に、120万人の子どもを含む、ウクライナ国内で避難生活を送っている650万人にとって、事態は深刻です。

これまで激しい戦闘下にあった地域がアクセス可能になったため、ユニセフはハリキウ州、ヘルソン州、ドネツク州の前線地域と新たにアクセス可能になった地域で、冬服キット、湯沸かし器、発電機の配布を開始しました。冬支度のためにこれまで2,000万米ドル以上の支援物資が調達されています。 

また天候の悪い冬は、迫り来るメンタルヘルスの危機にすでに直面している子どもたちの心理社会的状況を悪化させ、推定150万人がうつ病、不安障害、心的外傷後ストレス障害などの精神疾患の危険にさらされる可能性があるとみられています。子どもたちの教育へのアクセスへの影響は、前学年度の早期終了やCOVID-19パンデミックに関連した中断に続く最新の混乱にすぎません。ユニセフは、子ども、若者、養育者のための統合的なサービスを提供する安全で暖かい空間である「SPILNO Child Spots」の55カ所以上に冬への備えを施しました。 

ラッセル事務局長はまた、「戦争のルールは明白です。子どもたちと、彼らが生き延びるために不可欠な民間インフラは守られなければなりません。支援を必要とする子どもたちや家族がどこにいようと、ユニセフとその人道支援活動を届ける仲間たちが、迅速にかつ妨げられることなくアクセスできることも極めて重要です」と述べました。 
 

イルピンの繊維工場で製造・準備された、ユニセフの支援物資の子ども用冬服セット。(ウクライナ、2022年11月16日撮影) © UNICEF_UN0747312_Bobrovイルピンの繊維工場で製造・準備された、ユニセフの支援物資の子ども用冬服セット。(ウクライナ、2022年11月16日撮影) © UNICEF_UN0747312_Bobrov

これまでにユニセフは、ウクライナの490万人近くの子どもと女性に、ユニセフが支援する施設や移動チームを通じてプライマリ・ヘルスケアへのアクセスを提供することができました。420万人以上が安全な飲料水を利用できるようになり、新たにアクセス可能になった地域を含め、100万人以上が必要不可欠な水と衛生に関わる支援物資を受け取ることができました。ユニセフがサポートするするメンタルヘルス支援活動は250万人以上の子どもたちに行き届き、90万人近くの子どもたちが公式・非公式教育に参加し、50万人近くの子どもたちが学習支援を受けることができました。ユニセフが資金提供した多目的現金給付により、約20万世帯が支援を受けました。

先週、ユニセフは、毎年恒例の「子どもたちのための人道支援2023(HAC)」のための資金要請を開始しました。ユニセフは、ウクライナの紛争により大打撃を受けた、400万人の子どもを含む940万人の緊急および長期的なニーズに対応するために、11億米ドルを必要としています。この資金により、ユニセフは政府の救援・復興活動と並行して、保健、栄養、子どもの保護、ジェンダーに基づく暴力、水と衛生、および社会的保護の分野における必要不可欠なサービスを提供、維持、拡大することができます。また、さらなる国内避難民や難民が生じた時への備えを適時に行うことができます。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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