大佛次郎賞に木内昇さん『雪夢往来』、大佛次郎論壇賞に熊本史雄さん『外務官僚たちの大東亜共栄圏』
朝日新聞社主催 優れた散文作品、優れた論考に贈る
株式会社朝日新聞社(代表取締役社長CEO:角田克)が主催する、2025年度の大佛(おさらぎ)次郎賞、大佛次郎論壇賞は、選考委員による審議の結果、下記の通りに決定しました。
■ 第52回 大佛次郎賞 (優れた散文作品を顕彰)
木内昇 著 『雪夢往来(せつむおうらい)』 (新潮社)

江戸後期、越後の縮仲買商・鈴木牧之が雪国の風物や暮らしを記した『北越雪譜』が世に出るまでの40年に及ぶ紆余曲折を追いかけた歴史小説。関わりのあった山東京伝、その弟の京山、曲亭馬琴ら当代随一の戯作者の仕事ぶりや人間模様を活写し、日和見な出版人たちの思惑も絡ませた。中央の彼らに翻弄されながらも、夢をあきらめなかった地方人の胆力を描くとともに、人は何をよりどころに生きるのかという不変のテーマを問いかけた。
きうち・のぼり 1967年生まれ。出版社勤務を経て、フリーの編集者やライターとして活動していた2004年、『新選組 幕末の青嵐』で小説家デビュー。11年に『漂砂のうたう』で直木賞。14年に『櫛挽道守』で中央公論文芸賞、柴田錬三郎賞など。25年に『奇のくに風土記』で泉鏡花文学賞。本書で中山義秀文学賞。ほかに『茗荷谷の猫』『かたばみ』など。
■ 第25回 大佛次郎論壇賞 (優れた論考を顕彰)
熊本史雄 著 『外務官僚たちの大東亜共栄圏』 (新潮選書)

軍部の誇張主義や対外強硬論が推し進めたとされる「大東亜共栄圏」構想は、実は外務省のエリート外交官が主導していたことを明らかにした。日露戦争で獲得した満蒙権益の維持と、英米協調という二つの矛盾する方針を抱えきれず、外務省は無謀な秩序構想へと舵を切っていく。外交の失敗を膨大な史料をもとに丹念に検証した本書は、激動する国際政治の中で日本が生き抜くための重要な示唆を与えてくれる。
くまもと・ふみお 1970年山口県生まれ。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科中退。博士(文学)。外務省外交史料館を経て、駒沢大学文学部教授。専門は日本政治外交史や史料学。著書に『近代日本の外交史料を読む』や『幣原喜重郎』など。
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「第52回大佛次郎賞 「雪夢往来」 木内昇さん」(2025年12月23日朝日新聞)
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「第25回大佛次郎論壇賞 「外務官僚たちの大東亜共栄圏」 熊本史雄さん」(2025年12月24日朝日新聞)
■贈呈式
2026年1月29日(木)、東京都内で「朝日賞」「朝日スポーツ賞」「大岡信賞」とともに贈呈式を行います。後日、取材のご案内をいたします。
■大佛次郎賞・大佛次郎論壇賞
小説、ノンフィクション、歴史記述など幅広い分野で活躍した作家・大佛次郎氏は、朝日新聞紙上に「天皇の世紀」を連載中に死去。その業績をたたえて、1973年に創設された「大佛次郎賞」は、形式を問わず優れた散文作品に贈られます。
さらに、日本の政治・経済・社会・文化・国際関係などをめぐる優れた論考を顕彰するため、2001年に「大佛次郎論壇賞」が新設されました。
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