ヘム代謝産物ビリルビンの植物内分布の可視化に成功 〜蛍光タンパク質を利用したライブイメージングによる解明〜〔岡山大学、宇都宮大学〕
2024(令和6)年 3月 31日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
<発表のポイント>
ヘムの代謝産物ビリルビンと結合して光るタンパク質UnaGを利用して、植物生体内におけるビリルビン分布の可視化に初めて成功した。
ビリルビンは、葉と根の表皮細胞で、細胞内では葉緑体のストロマで顕著な局在が確認された。
葉緑体とペルオキシソームの間には、ヘム代謝産物の輸送経路が存在する可能性がある。
ビリルビンの生産には、光合成による酸化ストレスの暖和以外の新たな生理機能が存在する可能性がある。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)学術研究院医歯薬学域の石川一也助教(研究当時:宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センター特任助教)と宇都宮大学同センターの児玉豊教授は、生きた植物細胞内におけるヘム代謝産物ビリルビンの詳細な分布を蛍光イメージングにより明らかにし、生合成や輸送経路に関する示唆を与えました。
本研究成果は生細胞内の代謝産物を細胞小器官レベルで正確に可視化した数少ない例の一つであり、植物では光合成や呼吸に必須なことで知られるヘムの代謝産物に関する新たな生理機能の存在を提唱するものです。
本研究成果は2024年2月27日付で国際誌Plant and Cell Physiologyに掲載されました。
なお本情報は、20204年3月28日に岡山大学と宇都宮大学から公開されました。
図1 a 動物と植物の間で異なるヘムからビリルビンが生じる代謝経路。 b 葉緑体の中でも、特にビリルビンのUnaG蛍光シグナルが強かったストロマの顕微鏡写真。自家蛍光(中央)で見える顆粒状の構造体がチラコイドであり、UnaG蛍光(左)は、それとは重ならないストロマで強く見える(右)。
図2 葉緑体のビリルビンレベルの増加に伴う他の細胞小器官への影響。葉緑体のビリルビンレベルの上昇に伴い(赤矢印)ペルオキシソームのビリルビンレベルは減少したが(青矢印)、他の細胞小器官では変化が見られなかった。
◆論文情報
論文名:Bilirubin distribution in plants at the subcellular and tissue levels
(植物におけるビリルビンの細胞内および組織レベルでの分布)
著 者:Kazuya Ishikawa, Yutaka Kodama
掲載誌:Plant Cell Physiology
URL:https://doi.org/10.1093/pcp/pcae017
◆研究支援
本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO)「沼田オルガネラ反応クラスタープロジェクト(沼田 圭司、児玉 豊、課題番号:JPMJER1602」、文部科学省 科学研究費助成 学術変革領域研究(A)「不均一環境変動に対する植物のレジリエンスを支える多層的情報統御の分子機構」(児玉 豊、課題番号:20H05905)の支援により実施されました。
◆詳しい研究内容について
ヘム代謝産物ビリルビンの植物内分布の可視化に成功〜蛍光タンパク質を利用したライブイメージングによる解明〜
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20240328-1.pdf
◆本件お問い合わせ先
<研究内容について>
国立大学法人宇都宮大学 バイオサイエンス教育研究センター 教授 児玉 豊
TEL:028-649-5527
FAX:028-649-8651
国立大学法人岡山大学 学術研究院 医歯薬学域 助教 石川一也
TEL: 086-251-7954
https://www.pharm.okayama-u.ac.jp/lab/bunsei/member/ishikawa/
<報道対応>
国立大学法人宇都宮大学 広報室
TEL:028-649-5201
FAX:028-649-5026
国立大学法人岡山大学 総務・企画部 広報課
TEL: 086-251-7292
FAX: 086-251-7294
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
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