完全犯罪の条件は、2つしかない――。社会派推理小説の巨匠・松本清張の初期短編を収録した『捜査圏外の条件――初期ミステリ傑作集(三)』が5月28日に新潮文庫より発売!
『ゼロの焦点』『砂の器』『黒革の手帖』など、長編推理小説の傑作を発表した松本清張ですが、その真髄は短編にこそ表れているという方も数多くいます。本書には、たびたび映像化された「鬼畜」や「天城越え」や、研究者間の権力争いを描いた「カルネアデスの舟板」「真贋の森」など、初期の傑作短編8作を収録しました。

ミステリの世界には「清張以後」という言葉があります。清張作品はそれまでのミステリを変革した大きな存在でした。特異な状況下で奇抜なトリックを駆使した「探偵小説」から、実社会で生きる人々のリアルな動機や転落を描く「推理小説」へと、ミステリの新たなメインストリームを生み出したのが松本清張でした。
意外にも、清張のデビュー作は「西郷札」という時代小説。その後、1955年発表の「張込み」から本格的に推理小説を手掛けはじめました。「初期ミステリ傑作集」のシリーズはミステリ研究家の日下三蔵さんのセレクトにより、清張がミステリ作家として出発した初期の短編を集めたものです。主に1956年発表の短編を収録したのが『なぜ「星図」が開いていたか 初期ミステリ傑作集(一)』、1957~59年発表の短編を収録したのが『空白の意匠 初期ミステリ傑作集(二)』と本書『捜査圏外の条件 初期ミステリ傑作集(三)』です。短編集のため、どの本から読んでもお楽しみいただけます。


本書に収録したのは以下の8編です。
・鬼畜
・捜査圏外の条件
・カルネアデスの舟板
・発作
・上申書
・拐帯行
・真贋の森
・天城越え
表題作「捜査圏外の条件」では、完全犯罪の条件は2つしかない、と悟った主人公が、妹を見殺しにした相手に復讐を決意します。完全犯罪のための2つの条件とは――。
たびたび映像化された作品も多く、清張作品の魅力が詰まった一冊となっています。ぜひご一読ください。
■書籍内容紹介
山形へ行くと出発した光子が、なぜ北陸の温泉地で死んだのか──。銀行員の黒井は妹を見殺しにした不倫相手・笠岡に復讐するため仕事を辞め、縁のない土地に潜み、絶対に自分の犯行とわからぬように殺害を遂げようとする。7年間の執念の行方を描く表題作のほか、学究の世界で繰り広げられる陰湿な権力争いを扱った「カルネアデスの舟板」「真贋の森」など、清張初期の傑作ミステリ8編を収録。
■著者紹介:松本清張(マツモト・セイチョウ)
(1909-1992)福岡県小倉市(現・北九州市小倉北区)生れ。給仕、印刷工など種々の職を経て朝日新聞西部本社に入社。41歳で懸賞小説に応募、入選した『西郷札』が直木賞候補となり、1953(昭和28)年、『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞。1958年の『点と線』は推理小説界に“社会派”の新風を生む。生涯を通じて旺盛な創作活動を展開し、その守備範囲は古代から現代まで多岐に亘った。
■書籍データ
【タイトル】捜査圏外の条件 初期ミステリ傑作集(三)
【著者名】松本清張
【発売日】2025年5月28日
【造本】文庫版、電子版
【定価】825円(税込)
【ISBN】978-4-10-110979-4
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