低所得国の15~24歳の女性、9割ネット利用できず~4月27日「国際ICTガールズ・デー」に際しユニセフ 新報告書発表【プレスリリース】

ビハール州のパトナにある学校で、タブレット端末を活用して学習するソナムさんとカージャルさん。(インド、2023年3月17日撮影) © UNICEF_UN0825675_Dasビハール州のパトナにある学校で、タブレット端末を活用して学習するソナムさんとカージャルさん。(インド、2023年3月17日撮影) © UNICEF_UN0825675_Das

【2023年4月27日 ニューヨーク発】


低所得国では、15~24歳の女性の約90%がインターネットを利用していない一方、同世代の男性がインターネットを利用している割合は2倍であることが、「国際ICTガールズ・デー」(4月27日)に発表のユニセフ(国連児童基金)の新しい分析で明らかになりました。


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ユニセフ教育部門長のロバート・ジェンキンスは、「女の子*と男の子*の間のデジタル・ディバイド(情報格差)を解消するとは、単にインターネットや科学技術を利用できるようにすることを指すのではありません。女の子たちが革新者、創造者、そしてリーダーになれるよう、本来持っている能力を発揮できるようにすることです。労働市場、特に科学・技術・工学・数学分野におけるジェンダー格差に取り組みたいのであれば、若者、特に女の子がデジタルスキルを身につけるよう支援することから今すぐ始めなければなりません」と述べています。

 

アジュマニ県の女子中学校で、パソコンを使い生物のオンライン授業を受ける女の子たち。(ウガンダ、2023年3月20日撮影) © UNICEF_UN0822882_Wamalaアジュマニ県の女子中学校で、パソコンを使い生物のオンライン授業を受ける女の子たち。(ウガンダ、2023年3月20日撮影) © UNICEF_UN0822882_Wamala

報告書「Bridging the Digital Divide: Challenges and an Urgent Call for Action for Equitable Digital Skills Development(デジタル・ディバイドの解消――デジタル技能の公平な育成における課題と緊急行動の必要性)」は、主に低所得国、下位中所得国、一部の中所得国のインターネット利用や携帯電話の保有、デジタル技能に関するデータを分析し、15~24歳の若年層におけるジェンダー間のデジタル・ディバイドを詳細に考察しています。デジタル・インクルージョン(誰もがデジタル技術を活用できるようにすること)についてモニターし、理解し、取り組むためには、ジェンダーに基づいて細分類されたより多くのデータが必要ですが、本報告書は、ますますデジタル化が進み、インターネットでつながっている世界において、女の子が取り残されていることを明らかにしました。

 

インターネットの利用を進めることは重要ですが、それだけではデジタル技能の習得には不十分です。例えば、分析対象のほとんどの国で、自宅でインターネットにアクセスできる若者の割合は、デジタル技能を身に付けている若者の割合よりもはるかに大きいのです。

 

報告書によると、女の子は、21世紀における学習や雇用に必要な技能を身につける機会が極めて少ないのです。32の国と地域の平均で、ファイルやフォルダのコピーや貼り付け、電子メールの送信、ファイルの転送といった簡単な作業を含むデジタル技能を持つ可能性が、女の子は男の子よりも35%低いことがわかりました。

 

女子中等教育が禁止され、学校に通えなくなった18歳のアレソさん(仮名)。家庭が貧しく、自宅にインターネットもないためオンライン学習を受けることもできない。(アフガニスタン、2023年3月12日撮影) © UNICEF_UN0805596_Madina Qa女子中等教育が禁止され、学校に通えなくなった18歳のアレソさん(仮名)。家庭が貧しく、自宅にインターネットもないためオンライン学習を受けることもできない。(アフガニスタン、2023年3月12日撮影) © UNICEF_UN0805596_Madina Qa

報告書によれば、根本的な障壁はインターネットにアクセスできないことよりもはるかに深いのです。調査結果は、教育環境と家庭環境がジェンダーによるデジタル・ディバイドに決定的な影響を与えると示唆しています。例えば、同じ家庭内であっても、女の子がインターネットやデジタル技術に触れ、十分に活用できる可能性は、男の子よりもはるかに低いのです。分析対象の41の国と地域では、携帯電話を男の子に持たせる世帯の割合は、女の子に持たせる世帯をはるかに上回っています。

 

より高度な教育や労働市場へのアクセスを阻む障壁、広く浸透している差別的なジェンダー規範や固定観念、インターネット上の安全に対する懸念は、女の子のデジタル・インクルージョンとデジタル技能習得をさらに制限する可能性があります。

 

報告書はまた、基礎的な読解・計算力を身につけるための機会を女の子が同世代の男の子と公平に得て、男の子と同等かそれ以上の成績を収めたとしても、それが必ずしもデジタル技能に結びつくとは限らないと論じています。女の子の足枷となっている障壁を取り除くには、早期に技術やデジタル技能と生活技能の訓練に接し利用することや、特に家庭における弊害的なジェンダーの固定観念やインターネット上の暴力に対処する取り組みが必要です。

 

ユニセフは、ジェンダー間のデジタル・ディバイドを解消し、女の子たちがデジタル世界で活躍する機会を担保するよう、各国政府やパートナーに呼びかけ、以下のような提言をします。

  • コミュニティにおける支援計画を含め、学校内外を問わず女の子と男の子に平等にデジタル技能を教える。

  • 仮想安全空間、政策・法規および教育を通じて、女の子のインターネット上の安全を守る。

  • デジタルおよび科学・技術・工学・数学(STEM)分野におけるピア・ラーニング、メンタリング、インターンシップ、ジョブシャドウイングへの女の子の参画を促進する。


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■ 注記

*本報告書は、15~24歳の若者のジェンダーによるデジタル・ディバイドに焦点を当てています。本プレスリリースでは、便宜上、「10代の女の子と若い女性」および「10代の男の子と若い男性」という年齢区分をそれぞれ「女の子」「男の子」と省略しています。

 

本報告書に含まれる分析は、MICS(Multiple Indicator Cluster Surveys=複数指標クラスター調査)とDHS(Demographic and Health Surveys=人口保健調査)のデータを利用しており、特にデジタル技能に関する知見は、MICS6(MICSの第6ラウンド)のマスメディアとICTモジュールを通じて収集されたデータに依拠しています。


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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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会社概要

URL
http://www.unicef.or.jp
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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