ガザ:「安全地帯」設置に関する声明~一方的提案なら参加せず「すべての当事者の合意必要」【プレスリリース】

ユニセフ等18人道組織

公益財団法人日本ユニセフ協会

南部のハンユニスにある病院で、家族を亡くし涙を流す男の子。(ガザ地区、2023年11月16日撮影) © UNICEF_UNI472271_Zaqout南部のハンユニスにある病院で、家族を亡くし涙を流す男の子。(ガザ地区、2023年11月16日撮影) © UNICEF_UNI472271_Zaqout

【2023年11月16日 ニューヨーク/ジュネーブ/ローマ発】


ガザ地区に「安全地帯」を設置するという提案に関し、ユニセフ(国連児童基金)事務局長のキャサリン・ラッセルなど機関間常設委員会(IASC)に参加する18人の人道支援組織の長は、現状の一方的な提案では市民の安全は確保できないという理由で、参加しないという主旨の以下の声明を発表しました。


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避難民キャンプに届いたユニセフのペットボトルの水を受け取った7歳のヤーマンくんと、4歳のヤーザンくん兄弟。(ガザ地区、2023年11月16日撮影) © UNICEF_BUNI472261_Zaqout避難民キャンプに届いたユニセフのペットボトルの水を受け取った7歳のヤーマンくんと、4歳のヤーザンくん兄弟。(ガザ地区、2023年11月16日撮影) © UNICEF_BUNI472261_Zaqout

人道支援活動を先導する者として、私たちの立場は明確です。私たちは、すべての当事者の合意なしに、また、安全とその他の必要不可欠なニーズが満たされることを確保するための基本的な条件が整い、その実施を監督する体制が整備されない限り、ガザにおけるいかなる「安全地帯」の設置に参加はしません。

 

現状のもとでは、ガザに「安全地帯」を一方的に設置する提案は、多数の死者を出すなど、民間人に被害を生む危険があり、拒否されなければなりません。しかるべき条件がなければ、激しい敵対行為の中で、そのような地帯に民間人を集めることは、攻撃やさらなる被害のリスクを高めることになりかねません。一方的に宣言されたり、武力によって強制されたりする「安全地帯」は、真に安全な場所ではありません。

 

どこであろうと民間人を守るよう、また、支援を必要とするすべての民間人への迅速かつ安全で妨げのない人道的アクセスを可能にすることをはじめ彼らの最低限必要なニーズを満たすよう、常に配慮する――「安全地帯」をめぐるいかなる議論も、当事者のこれらの義務から逸脱するものであってはなりません。

 

避難所となった学校で生活している家族。(ガザ地区、2023年11月16日撮影) © UNICEF_UNI472277_Zaqout避難所となった学校で生活している家族。(ガザ地区、2023年11月16日撮影) © UNICEF_UNI472277_Zaqout

激しい敵対行為と民間インフラの大規模な破壊によって、多くの市民が避難を余儀なくされています。現在、ガザでは160万人近くが避難しています。ガザの市民は、食料、水、シェルター、衛生、保健、安全など、生きるために欠かせないものを手に入れなければなりません。人道支援組織は、救援物資を届け、基本的なサービスを提供するために、必要な量の燃料を入手することができなければなりません。私たちは、民間人や他の被保護者がどこにいようと、その支援と保護に引き続き全力を尽くします。人道支援従事者は、国際人道法の定めに従い、その任務を遂行するために不可欠な移動の自由が担保されなければなりません。

 

私たちが代表するどの人道支援組織も、ガザで想定される「安全地帯」、あるいは「人道地帯」と表現される場所に、避難者が到着する準備に関与していません。

 

「安全地帯」とは、市民を安全に保護し、敵対行為から守ることを目的とした一時的な場所のことです。すべての避難者にとって、「安全地帯」とは以下の条件を備えていなければなりません。

  • 当事者が、当該地帯およびその周辺での敵対行為を自制し、かつ当該地帯の文民的性質を尊重することに合意する。

  • 食料、水、シェルター、衛生、保健、安全など、生存に必要な支援を提供する。

  • 避難者が自由に移動し、自主的に可能な限り早く居住地に戻ることを認める。


部屋の窓から外を見る女の子。(ガザ地区、2023年11月2日撮影) © UNICEF_UNI463119_El Baba部屋の窓から外を見る女の子。(ガザ地区、2023年11月2日撮影) © UNICEF_UNI463119_El Baba

これらの基本的条件を満たさない場合、国際人道法および国際人権法の違反となる可能性があります。

 

私たちはまた、苦しみを和らげ、人道支援活動を円滑に進めるための人道的停戦と、すべての人質の解放をあらためて求めます。

 

本声明の要点は、国連緊急援助調整官が2023年11月15日に発表した声明でも明確にされています。


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またユニセフ・パレスチナ事務所は、子どもたちのための人道支援計画を改訂し、以下のとおり発表しました。

 

ユニセフ・パレスチナ事務所人道支援計画(2023年11月改訂)ハイライト

  • 10月7日以来、武力衝突の激化により、何千人もの子どもや女性が犠牲になったと報告されているほか、人道的ニーズが急増し、危険な状況下で毎日推定160人の子どもが生まれているなど、深刻な人道上の影響に繋がっています。

  • ガザの人口の60%以上にあたる150万人の国内避難民は、水、電力、保健サービスといった基本的ニーズへのアクセスが制限され、ますます悲惨な人道的状況に直面しています。

  • ユニセフはガザ地区で、紛争の影響を受けた人々や避難を余儀なくされた人々を支えるため、命を守る緊急人道支援を続けています。支援業務はパートナーを通じ、また物資の搬送や遠隔サービスの提供を通じて行われています。東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区では、ユニセフは支援の準備態勢を拡充し、緊急のニーズに対応しています。

  • ユニセフはパレスチナの人道的状況に対応するため、1億5,440万米ドルの資金を必要としています。この資金は、ガザ地区とヨルダン川西岸地区における、ジェンダーに配慮した水と衛生サービス・保健・子どもの保護・教育サービスの継続、および多目的現金給付の提供を支援するものです。



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ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」 ご協力のお願い

(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」を受け付けています。最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。

 

1.  クレジットカード/ネットバンク/Amazon Pay/携帯キャリア決済/コンビニ払いから

https://www.unicef.or.jp/kinkyu/gaza/

 

2.  郵便局(ゆうちょ銀行)から

振替口座:00190-5-31000/口座名義:公益財団法人 日本ユニセフ協会

*通信欄に「ガザ」と明記願います。

*窓口での振り込みの場合は、送金手数料が免除されます。


※公益財団法人 日本ユニセフ協会への寄付金には、特定公益増進法人への寄付として、所得税、相続税、法人税の税制上の優遇措置があります。また一部の自治体では、個人住民税の寄付金控除の対象となります。


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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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会社概要

URL
http://www.unicef.or.jp
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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