スーダン・ダルフール:危機に直面する子ども、500万人以上【プレスリリース】

公益財団法人日本ユニセフ協会

ジャジーラ州の8カ所にあるユニセフが支援する国内避難民キャンプで、上腕計測メジャーを使った栄養検査を受け、重度の栄養不良と診断された生後10カ月のアマニちゃん。(スーダン、2023年10月18日撮影) © UNICEF_UNI462528_Mohamdeeジャジーラ州の8カ所にあるユニセフが支援する国内避難民キャンプで、上腕計測メジャーを使った栄養検査を受け、重度の栄養不良と診断された生後10カ月のアマニちゃん。(スーダン、2023年10月18日撮影) © UNICEF_UNI462528_Mohamdee

【2023年11月20日 ニューヨーク発】


スーダンでこの7カ月間で深刻化した人道危機は、西部のダルフール地方で特に厳しい節目を迎えています。7カ月間で報告された子どもの死傷者数は、2022年の年間の数と比較して450パーセントも急増しました。現在少なくとも500万人の子どもたちが、継続する紛争によって深刻な権利の侵害と、保護に関するリスクに直面しています。


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4月15日に紛争が勃発して以来、スーダン国内では3,130件以上の深刻な子どもの権利侵害の申し立てが報告されており、その少なくとも半数は、ダルフール地方で報告されています。しかし通信網の遮断やアクセスの欠如により、報告されている件数は氷山の一角にすぎません。

 

「スーダン、とりわけダルフールは、何百万人もの子どもたちにとって生き地獄と化しています。何千人もの子どもたちがその民族的背景を理由に、意図的に標的にされ、殺され、傷つけられ、虐待され、搾取されています。この状況を止めなければなりません」と、ユニセフ(国連児童基金)事務局長のキャサリン・ラッセルは訴えています。「子どもたちが新たな暴力に苦しみ続ける一方で、彼ら彼女らの両親や祖父母は、過去の暴力の連鎖の傷跡をいまだに引きずっています。私たちは、このようなことが再び起こるのを許すわけにはいきません。すべての紛争当事者は、国際法を守り、子どもたちや民間人を保護しなければなりません。子どもたちには平和が必要なのです」

 

ユニセフの支援で設置された水道から、きれいな水を汲む4歳のラワンちゃん。(スーダン、2023年10月17日撮影) © UNICEF_UNI457149_Lok Ying Lauユニセフの支援で設置された水道から、きれいな水を汲む4歳のラワンちゃん。(スーダン、2023年10月17日撮影) © UNICEF_UNI457149_Lok Ying Lau

紛争開始以来の7カ月間で、ダルフール地方で報告された深刻な子どもの権利侵害の件数は、2022年全体で確認された件数の450パーセントにも達しています。スーダン全土で報告されている殺傷事件のうち、51パーセントがダルフールの子どもたちを巻き込んでいます。また、スーダンで報告されている性暴力事件の48パーセントがダルフールで起きています。子どもの徴兵や徴用に関する非常に懸念される報告も、ユニセフへ継続して届けられています。

 

さまざまな形の深刻な暴力に加え、ダルフールの5歳未満の子ども120万人以上が急性栄養不良に苦しんでいます。このうち21万8,000人は、最も致命的な重度急性栄養不良の状態にあり、緊急の治療と救命のための支援がなければ、すぐにでも命を失いかねない状況です。

 

ダルフールでは最近の戦闘の激化により家を追われる人々も大幅に増加しており、新たに国内避難民(IDP)となった人は170万人に達しました。これはスーダン全土の国内避難民の40%近くを占めています。国内避難民の半数近くは、虐待や暴力、搾取、養育者からの分離(生き別れ)などのリスクに直面している子どもたちです。

 

ダルフールでは、医療や保護を含む子どもたちを守る重要な社会サービスが、従事するスタッフの移動の自由が妨げられたり、また略奪や資金不足のために崩壊したり、スタッフ自身が攻撃されたりしているため、機能不全に陥っています。看護師や教師、医師、ソーシャルワーカーには何カ月も賃金が支払われておらず、水道や衛生設備、病院などの重要な社会インフラは損傷を受け、劣化しています。

 

戦闘が激化するハルツームからポートスーダンに避難した8歳のオムニアさん。国内避難民キャンプ内にあるユニセフの子どもにやさしい空間で、友達とダンスを楽しみ、将来は医者になりたいと話す。(スーダン、2023年10月11日撮影) © UNICEF_UNI4536戦闘が激化するハルツームからポートスーダンに避難した8歳のオムニアさん。国内避難民キャンプ内にあるユニセフの子どもにやさしい空間で、友達とダンスを楽しみ、将来は医者になりたいと話す。(スーダン、2023年10月11日撮影) © UNICEF_UNI4536

絶え間なく続く紛争の中で、ダルフールの子どもたちは、直接的な被害や人命の損失だけでなく、未来につながる教育を受ける権利を失う危険にもさらされています。この地域にある4,000の正規の学校のほとんどが、閉鎖しています。

 

ユニセフは他の支援団体などとも協力し、ダルフールに命を繋ぐ支援物資を届け、最前線で働く人々を支援し、子どもたちを守る基本的な社会インフラの維持を支援してきました。こうした活動を通じ、これまでに、220万人の子どもたちとその家族に、保健、栄養、水、衛生、教育、保護に関する分野における重要な社会サービスを提供してきました。しかし、さらなる支援が必要とされていることは明らかです。ユニセフは、人道支援活動の継続と拡大に必要な資金提供を加速させること、また人道支援を必要としている子どもたちに届けるため、支援従事者の活動が妨げられないよう、国際社会に訴えています。

 

即時の人道的停戦が必要です。ユニセフは、紛争に関与するすべての当事者に対し、国際人道法および国際人権法を尊重し、子どもたちの権利に対する重大な侵害を停止し、スーダン全土にいる何百万人もの脆弱な状況に置かれている子どもたちとその家族に手を差し伸べるために、必要なスピードと規模を制限する障害を取り除くよう、あらためて要請します。


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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。( www.unicef.org )

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(www.unicef.or.jp)

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業種
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本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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