【報道用資料】COP28:ユニセフの動きまとめ-イベントや取材機会のご案内
【2023年11月28日 ニューヨーク発】
ユニセフ(国連児童基金)は、国連気候変動枠組条約第 28 回締約国会議(COP28)へ代表団を派遣し、子どもたち、特に最も脆弱な立場にある子どもたちを、気候変動と環境悪化がもたらす最悪の影響から確実に守るよう訴えていきます。代表団の一員として開催地アラブ首長国連邦を訪れるユニセフの事務局次長、キティ・ファン・デル・ハイデンは、COP28開幕を前に次のように述べました。
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気候危機への取り組みの成否は、2つの数字によって判断されるでしょう。平均気温の上昇を1.5度に抑える約束を守ること、そしてこの危機によって危険にさらされている10億人の子どもの命を守ることです。
気候危機は単に地球を変えているだけではありません。子どもたちをも変えているのです。子どもたちの身体と心は、気候の影響に対して極めて脆弱です。子どもたちは、自分たちが作り出したのではないこの危機によって、不釣り合いに大きな影響を受けています。
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の署名から30年が経過した今日であっても、子どもたちのニーズ、権利、そして彼ら自身の意見は、あらゆるレベルの気候変動政策、行動、投資からほとんど抜け落ちています。
COP28は、これを正すことができます。世界のリーダーたちは、COP28の成果物の中心に子どもを置き、子ども特有の脆弱性、ニーズ、権利を重視しなければなりません。
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課題
パリ協定の締約国は、気候変動対策を講じる際、世代間の公平性とともに、子どもの権利を尊重、促進、かつ考慮すべきであることに合意しました。また、国連子どもの権利委員会の「気候変動に焦点をあてた子どもの権利と環境に関する一般的意見26(※)」にも、清潔で健康的かつ持続可能な地球に対する子どもの権利を守るために、国家は行動を起こさなければならないという明確な指針が示されています。こうした合意にもかかわらず、子どもに配慮した重要な気候政策への取り組みや投資には、まだ結び付いていません。以下がその例です。
自国が決定する貢献(Nationally Determined Contributions、NDCs=国別削減目標)のうち、子どもに配慮したものは半数を満たしません。NDCの決定プロセスが参加型であり、若者を関与させたと言及しているものは、わずか23%にすぎません。また、NDCのプロセスに子どもを参加させたものは、さらに少ない、2%でした。
主要な多国間気候基金から資金融資されたプロジェクトのうち、子ども対応型のものはほんの2.4%で、また、2006年から2023年までの17年間に承認された591件のプロジェクトのうち、教育を主目的としたプロジェクトはわずか1件でした。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書の2023年統合報告書には、「子ども(children)」という単語は2カ所しか出てきません。2023年9月に発表された第1回グローバル・ストックテイクの技術対話に関する国連の統合報告書では、「子ども」にはまったく言及しておらず、「若者(youth)」には4回しか言及していません。
※日本ユニセフ協会は「一般的意見26」の子ども版の日本語訳を公表しました。
詳細はこちら: https://www.unicef.or.jp/news/2023/0204.html
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ユニセフは世界のリーダーたちに、以下のことを求めます。
COP28を総括・包括するような意見や方向性をまとめた最終的なカバー決定に、子どもをもっと取り上げるとともに、子どもと気候変動に関する専門家対話を開催すること。
カバー決定に子どもを含めることは、子どもの権利を取り入れるための極めて重要なプロセスとなります。また、専門家との対話プロセスは、子どもへの不釣り合いな影響および締約国の行動の選択肢に対する理解を広範に確保することになります。
グローバル・ストックテイクに子どもと世代間の公平性を組み込むこと。
グローバル・ストックテイクが示す進捗状況が次回のNDCの提出に反映され、また子どもに重点を置くことは、将来のすべてのNDCを含め、子どもをさらに取り込み、さらに重視するための先例となります。
適応に関する世界全体の目標(Global Goal on Adaptation、GGA)の最終決定に、子どもと、気候変動にレジリエントである必要不可欠なサービスを含めること。
GGAの決定文書に子どものための重要な提言が盛り込まれるようにすることで、子どもたちのための適応したサービスの実施が何年にもわたってあらゆる国で強化されます。
「損失と損害」に対応する基金(Loss and Damage Fund)と資金拠出の取り決めにつき、基金のガバナンスと意思決定過程に子どもの権利を組み込むことによって、子どもに対応したものとなるようにすること。
気候危機による損失と損害は、世代間に大きな不公平をもたらすものであるため、「損失と損害」基金のガバナンスと意思決定に子どもの権利を組み込むことで、子どもに配慮し、対応することができるようになります。
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ユニセフが重点的に取り組むテーマ
保健
最新報告書「気候変動が変えた子どもたち」(11月13日発表)は、気候変動によって子どもの健康がどのような影響を受けるかについて詳述し、子どもがどこでどのように、健康とウェルビーイングを損ねる水関連の脅威にさらされているかについての新たなデータを掲載しています。2022年には、7億3,900万人の子どもが、深刻な、あるいは極めて深刻な水不足に直面していることがわかっています。
ユニセフ「子どもの健康のための健全な環境」担当リード、アビート・ソロモンがインタビューに応じます。12月2日~4日、ドバイ滞在。
詳細はこちら: https://www.unicef.or.jp/news/2023/0193.html
貧困
新報告書を発表予定(グリニッジ標準時12月4日00:01情報解禁)。
ユニセフが共同議長を務める「子どもの貧困を根絶する世界連合(Global Coalition to End Child Poverty)」は、初めて、各国国内の地方ごとの子どもの多次元貧困と気候リスクとの間の関連性について、具体的に調査しました。分析によると、多次元貧困の中で暮らす子どもが集中している地方は、気候リスクがわずかに高く、すでに多次元貧困の中で暮らしている子どもの10人中6人は、年に少なくとも1回は気候リスクを経験すると予測されています。また、10人中3人の子どもは、気候リスクが非常に高く、多次元貧困の中で暮らす子どもが集中している地方に住んでいます。
損失と損害
新報告書を発表予定(グリニッジ標準時12月4日00:01情報解禁)。
子どもたちは、気候変動の影響への加担は誰よりも少ないにもかかわらず、多くの場合、他の誰よりも不釣り合いに大きな打撃を受けています。このような損害の一部は、決して元に戻すことはできません。だからこそ、新しい「損失と損害」基金は、子どもたちのウェルビーイングをその中心に据えることが重要なのです。本報告書では、子どもの権利とウェルビーイングに直接関係する損失と損害について調査し、「損失と損害」基金およびその他の損失と損害の資金調達の取り決めが、現在および将来の世代の子どもたちに及ぼす損失と損害の負の影響に取り組む機会を明らかにします。
ケニアのトゥルカナで、若者たちがどのように損失と損害に耐えているかを示すマルチメディア素材は、11月30日より利用可能。
また、ユニセフ・イノチェンティ研究所の環境政策専門家で報告書執筆者のクリスティーナ・コロンがインタビューに応じます。12月2日~9日、ドバイ滞在。
若者の参加
子どもたちによるプレスブリーフィングを実施。ユニセフ親善大使のヴァネッサ・ナカテが、世界から集まった4人の子ども気候活動家を紹介します。
日時:湾岸標準時12月6日10:00~10:30
場所:Press Conference Room 1, Zone B8
彼らは公式記者会見場で、COP28での経験、世界のリーダーたちに向けた行動への呼びかけ、気候変動に関する世界の若者を対象としたユニセフとギャラップ社による新しい世論調査(下記参照)について発言します。COP28期間中、子どもたちはインタビューに応じることができます。
そのほかにCOP28でユニセフは、気候危機の影響を最も受けている国々から参加する100人以上の子どもや若者の気候活動家と連携しています。その多くは、主に英語、アラビア語、フランス語、スペイン語でメディアのインタビューに応じます。
教育
ユニセフとギャラップ社による新しい世論調査を発表予定(グリニッジ標準時12月7日00:01情報解禁)。
本調査では55カ国の15~24歳の若者に、子どもと若者の生活を形作る3つの長期的課題(気候変動、情報への信頼、グローバル化した世界における政治的変化の制約)について尋ねました。
調査結果、報告書および10カ国語のインタラクティブ・ウェブサイトあり。報告書著者のモイラ・ハーブストはオンラインでのインタビューに応じます。
グリーンスキルと起業家
ユニセフ、ジェネレーション・アンリミテッド(Generation Unlimited)およびパートナーが主導し、ボランティア、グリーンスキル、仕事、起業、アドボカシーなどを通じて、子どもと若者主体の草の根気候活動を支援するイニシアティブ「グリーン・ライジング(Green Rising)」を立ち上げます。
日時:湾岸標準時12月2日12:00~13:00
会場:YCC Pavilion, Blue Zone
グリーン・ライジングの立ち上げには、国家元首やCOP28ユース気候チャンピオン(Youth Climate Champion)を含む、ユニセフとジェネレーション・アンリミテッドの官民ユースのネットワークにおけるリーダーが集います。子どもや若者が主導する気候変動対策を世界各地で推進するためのコミットメントが共有され、他のリーダーたちも支援に加わるよう行動喚起が行われます。
ジェネレーション・アンリミテッドCEOのケビン・フレイがインタビューに応じます。12月1日~9日、ドバイ滞在。
未来を切り開く若き気候イノベーターたちが参加する、ユニセフとパートナーによる「イノベーション30」のイニシアティブでは、19カ国の30歳未満の若手気候イノベーター24人が科学的な検証を経て、投資家も納得する気候変動イノベーションを発表します。ソリューションには、大気汚染低減、再生可能エネルギー源、廃棄物管理システム、気候変動レジリエントな食料と水、水の保全、災害対策などが含まれます。これらのソリューションは、イノベーターたちがソリューションを売り込む様子を1分間の立体映像のシリーズで表示する、インタラクティブなホログラフィック展示で紹介されます。
詳細はこちら: https://uni.cf/innovation30
関連の画像・動画はこちら: https://weshare.unicef.org/Folder/2AM408L8A6K4
COP28の参加者も含め、若手イノベーターたちがインタビューに応じます。
また、ユニセフ・イノベーションオフィスの局長、トーマス・ダヴィンがインタビューに応じます。12月1日~4日、ドバイ滞在。
子どもの権利
COP28議長国のアラブ首長国連邦とユニセフは、国連子どもの権利委員会と協力し、COP28の「若者、子ども、教育、技能の日」に「最も脆弱な存在から最も価値ある存在へ~気候変動対策の中心に子どもの権利を据える~」と題した、専門家による世代間対話に焦点をあてたイベントを開催します。
日時:湾岸標準時12月8日10:00~11:00
会場:Presidency Roundtable - Al Saih, Blue Zone
登壇者:キティ・ファン・デル・ハイデン(ユニセフ事務局次長)、ヴァネッサ・ナカテ(ユニセフ親善大使)、フランシスコ・ヴェラ(ユニセフ・ユースアドボケイト)、ほか。
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取材可能なユニセフの代表者一覧
COP28期間中、事務局次長のファン・デル・ハイデンをはじめ、ユニセフの代表団はインタビューをお受けすることができます。各者の回答可能な分野や取材可能日については、こちらの一覧をご覧ください。
https://unicef.jp/cop28_spokespeople
■ 関連するBロールや画像・動画素材は下記URLからダウンロードしていただけます。
https://weshare.unicef.org/Package/2AM408LDCPL8
■ 気候変動に関するユニセフのこれまでの発信は、こちらからご覧いただけます。
https://www.unicef.or.jp/children/children_now/select.html?tag=climate
■ 本信はユニセフ本部が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が編集・翻訳したものです。原文はこちらのURLからご覧いただけます。
https://www.unicef.org/press-releases/media-advisory-unicef-cop28
■ 本件に関するお問い合わせ
日本ユニセフ協会 広報・アドボカシー推進室
TEL:03-5789-2016 Eメール:jcuinfo@unicef.or.jp
または、
Tess Ingram ユニセフ・ニューヨーク(COP28報道担当)
TEL:+1 934 867 7867 Eメール:tingram@unicef.org
■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/
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