ガザ地区:親や同伴者のいない子ども1万7千人以上【プレスリリース】

ユニセフ、暫定的な保護措置を訴える

紛争により家族を亡くし、隣の家が爆撃を受けた影響により左足を切断した11歳のラザンさん。(ガザ地区、2024年1月8日撮影) © UNICEF_UNI501895_El Baba紛争により家族を亡くし、隣の家が爆撃を受けた影響により左足を切断した11歳のラザンさん。(ガザ地区、2024年1月8日撮影) © UNICEF_UNI501895_El Baba

【2024年2月2日 ジュネーブ発】


ユニセフ(国連児童基金)パレスチナ事務所広報チーフのジョナサン・クリックスは、2月2日にジュネーブで行われた国連の定例記者会見において、ガザ地区の子どもが置かれている状況について、以下のとおり発言しました。


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ユニセフの推計によれば、ガザ地区では保護者などおとなの同伴者がいない、あるいは離ればなれになっている子どもが少なくとも1万7,000人います。その一人ひとりが、喪失と悲嘆で胸がはりさけそうな経験をしています。

 

現在の治安状況と人道的現状では正確な情報を収集し確認することは不可能に近いので、これは推定値でありますが、避難を余儀なくされているガザの住民170万人の1%に相当する人数です。

 

ラファの国内避難民キャップを訪れたユニセフのジョナサン・クリックス広報官。(ガザ地区、2024年1月28日撮影) © UNICEF_UNI514412_Baラファの国内避難民キャップを訪れたユニセフのジョナサン・クリックス広報官。(ガザ地区、2024年1月28日撮影) © UNICEF_UNI514412_Ba

私は今週ガザから戻りました。ガザで多くの子どもたちは、それぞれが皆、悲惨な体験をしていました。私が会った、あるいは話を聞いた12人の子どものうち、半数以上はこの戦争で家族の誰かを亡くしていました。親を亡くした子どもが3人いて、そのうち2人は両親共に失っていました。1万7,000人というのは単なる数字ではなく、その背後には、この恐ろしい新たな現実と、なんとか折り合いをつけようとしている一人ひとりの子どもがいるのです。

 

11歳のラザンさんは、戦闘開始から数週間後、家族と共に叔父の家にいた時に爆撃の被害に遭い、母親、父親、兄、2人の妹を亡くしました。家族のほぼ全員を失った上、彼女自身も足を損傷し、切断しなければなりませんでした。さらに手術の後、傷口が化膿しました。ラザンさんは現在、叔父と叔母の保護の下、ラファで避難生活を送っています。

 

保護者などの同伴者がいない子どもを保護する施設で、6歳と4歳の幼い子どもたちと会いました。二人はいとこ同士で、両家族の全員が昨年12月前半に命を落としました。特に4歳の女の子は、いまだに大きなショックを受けています。この子たちと会ったのはガザ地区南部のラファです。ガザの北部や中央部では、親を亡くした子どもの状況は、もっと悪いのだろう、と案じています。

 

戦闘の中で親を亡くした子どもたちの面倒は親戚が見るのが一般的です。しかし現在、食料も水も避難場所も圧倒的に不足しているため、親戚たちも困窮する中で何とか自分の子どもや家族を養っており、別の子どもの面倒をすぐに見ることが難しくなっています。

 

このような状況において、子どもたちを暫定的に保護する緊急措置を大規模に展開する必要があります。危機状況が安定した際には再会できるよう、家族や親戚の連絡先の把握や、消息の確認ができるようにする必要があります。

 

戦闘に怯えながら避難生活を送る11歳のカリームさん。「家族を失ってしまうのではないかといつも考えてしまう。夢で見ることもある」と話す。(ガザ地区、2024年1月4日撮影) © UNICEF_UNI501948_Zaqout戦闘に怯えながら避難生活を送る11歳のカリームさん。「家族を失ってしまうのではないかといつも考えてしまう。夢で見ることもある」と話す。(ガザ地区、2024年1月4日撮影) © UNICEF_UNI501948_Zaqout

ラザンさんは、このようなトラウマ的な経験をした多くの子どもと同じように、いまだにショックを受け続けています。思い出すたびに涙を流し、憔悴しきっています。また彼女は、身体を自由に動かせず、専門的な支援やリハビリテーションサービスも受けられないため、特に苦難を強いられています。

 

子どもたちのメンタルヘルスは深刻な影響を受けています。非常に強い不安感が続き、食欲がなくなり、眠れず、感情が爆発したり、爆撃の音を聞くたびにパニックに陥ったりしています。

 

この戦争が始まる前、ユニセフは、ガザ地区ですでに50万人以上の子どもが、メンタルヘルスと心理社会的な支援を必要としていると考えていました。今日、ほぼすべての子ども、100万人以上の子どもがこころのケアを必要としていると推定しています。

 

ユニセフとそのパートナーは、この戦闘が始まって以来、4万人以上の子どもと1万人以上の養育者にメンタルヘルスと心理社会的な支援を提供してきました。 私もその活動に参加したことがありますが、子どもたちが遊んだり、絵を描いたり、踊ったり、歌ったり、微笑んだりするのを見ると、本当に安堵します。こういった活動は、子どもたちが今経験しているひどい状況に対処するのに役立っています。しかし、もちろん、支援のニーズの規模を見れば、これだけでは到底不十分です。

 

ラファで避難生活を送る子どもたちのために、ユニセフなどは心のケアを提供している。(ガザ地区、2024年2月2日撮影) © UNICEF_UNI514667_Crickxラファで避難生活を送る子どもたちのために、ユニセフなどは心のケアを提供している。(ガザ地区、2024年2月2日撮影) © UNICEF_UNI514667_Crickx

メンタルヘルスと心理社会的な支援を大規模に提供できる唯一の方法は、停戦です。この戦争以前の2022年には、ユニセフが主導する子どもの保護クラスターが、10万人近い子どもにこの支援を提供していました。過去に私たちがそうしてきたように、支援規模の拡大は通常は可能です。しかし、現在のガザの深刻な治安状況と人道的状況下では、不可能なのです。

 

最後に、一つだけ付け加えたいと思います。ガザの子どもたちは、この戦闘とは何の関係もありません。しかし彼らは、どの子どもも決して経験してはならない苦しみを、味わっているのです。宗教、国籍、言語、人種が何であれ、昨年10月7日に起きたようなひどい暴力行為にさらされる子どもは一人たりともいてはならないのです。

 

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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

 

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会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

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URL
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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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