シリア危機13年、750万人の子ども支援必要 紛争・経済危機・災害等により過去最多に 【プレスリリース】
長期的影響が心身に壊滅的な打撃とユニセフ警鐘
【2024年3月15日 ダマスカス/アンマン(ヨルダン)発】
シリアで13年間紛争が続く中、紛争勃発以来もっとも多い数となる約750万人の子どもが、同国内で人道支援を必要としています。度重なる暴力と避難、破滅的な経済危機と極度の貧困、疾病の集団発生、昨年の壊滅的な地震により、何十万人もの子どもが長期にわたる身体的・心理社会的影響にさらされています。
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5歳未満の子どものうち65万人以上が慢性的な栄養不良状態にあり、その数は2019年からの4年間で約15万人増加しています。慢性的な栄養不良すなわち発育阻害は、子どもの身体的・認知的発達に不可逆的な影響を与え、学習能力や学習生産性、おとなになってからの収入に影響を及ぼします。
シリア北部で最近実施された世帯調査によると、女の子の34%、男の子の31%が心理社会的苦痛を訴えています。同様に、地震の被災地で実施されたラピッドアセスメントによると、重度の行動上の心理的苦痛を示す子どもの割合がさらに高いことが報告されています(回答者の83%)。
ユニセフ(国連児童基金)中東・北アフリカ地域事務所代表のアデル・ホドルは次のように述べています。「今日、そしてこれからも多くのシリアの子どもが13歳の誕生日を迎え、“ティーンエイジャー”となります。そして彼らの子ども時代は全て、紛争と避難と困窮にさらされてきた、という悲しい現実があります。詰まるところ、子どもたちにチャンスを与えることが必要なのです。彼らには長期的な平和的解決策が必要です。しかし、私たちはそれをただ待っているわけにはいきません。その間に、子どもや家族たちが基礎的サービスを受けられるようにするだけでなく、子どもたちが自らの未来を築くためのスキルを身につけられるようにすることが極めて重要です」
シリアが日常的に世界のトップニュースとして取り上げられることがなくなった中、紛争は子どもたちの未来と生活に壊滅的な打撃を変わらずに与え続けています。過去6カ月間にいくつかの地域で始まった最近の暴力行為の波は、シリアがこの4年間で経験した最悪のものです。 紛争前の人口のおよそ半分にあたる1,300万人以上のシリア人が、国内外に逃れ、故郷に戻ることができません。人口の3分の2以上が人道支援を必要としています。シリア国内と周辺国の双方のための人道支援資金は、史上最低水準に落ち込んでいます。学齢期の子ども550万人の半数近く、つまり5歳から17歳の子ども約240万人が学校に通っていません。
「シリアの子どもの世代は、すでにこの紛争のために耐え難い代償を払ってきました。教育、水と衛生、保健、栄養、子どもの保護と社会的保護など、必要不可欠な基礎的社会サービスを提供するシステムを再建し、シリアの子どもが誰ひとり取り残されないようにするためには、国際社会からの継続的な支援が不可欠です」とホドル代表は述べています。
2023年、ユニセフはシリア全土で、1,000万人の子どもを含む1,580万人に必要不可欠なサービスや物資を提供しました。このうち320万人の子どもを含む560万人が地震の影響を受けていました。ユニセフとパートナーは、2023年に310万人以上に必要な栄養サービスを届けました。シリア全土で56万人近くの子どもに、メンタルヘルスと心理社会的な支援を行いました。
今年2024年にユニセフは、540万人の子どもを含む850万人に必要不可欠なライフラインを提供するために、4億170万米ドルの資金を必要としています。最も資金が必要なのは水と衛生・保健・教育分野であり、また子どもの保護は引き続き優先課題です。
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■ シリアに関するこれまでのユニセフの発信については、こちらをご覧ください。
https://www.unicef.or.jp/children/children_now/select.html?tag=syria
■ ユニセフ「シリア緊急募金」 ご協力のお願い
シリアの最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「シリア緊急募金」を受け付けています。詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.unicef.or.jp/kinkyu/syria/
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.org
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/
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