ユニセフ、安保理に対し行動呼びかけ~ガザ・スーダン・ミャンマー等、紛争下の子どもの窮状訴え【プレスリリース】

南部ハンユニスで、破壊された自宅跡のがれきから持ち物を運ぶ15歳のアスマさん。家財の多くが焼失する中、「弟のおもちゃの車だけは見つけられました」と話す。(ガザ地区、2024年3月22日撮影) © UNICEF_UNI544668_El Baba南部ハンユニスで、破壊された自宅跡のがれきから持ち物を運ぶ15歳のアスマさん。家財の多くが焼失する中、「弟のおもちゃの車だけは見つけられました」と話す。(ガザ地区、2024年3月22日撮影) © UNICEF_UNI544668_El Baba

【2024年4月3日 ニューヨーク発】


ユニセフ(国連児童基金)のテッド・チャイバン事務局次長は、国連安全保障理事会のブリーフィングにおいて、子どもと武力紛争に関し、以下の発言を行いました。


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世界中で紛争が多発する中、子どもに対する深刻な人権侵害が繰り返されています。人道的アクセスの拒否は、特に広範かつ多面的で複雑な重大侵害にあたります。

 

それは、当事者たちが恣意的にアクセスを制限することであり、これには、必要不可欠なサービスの中断、支援や保護を受けようとする民間人の移動の制限、官僚主義的な行政上の障壁などが含まれます。また、生命維持に必要なサービスを提供する水・衛生などに関する施設への徹底的な攻撃、人道支援従事者や医療従事者への攻撃、そして封鎖戦術などを意味することもあります。こうした行為は、子どもたちに壊滅的な人道上の影響を及ぼします。

 

私は今年1月にガザを訪れました。昨年10月以来2度目の訪問でしたが、子どもたちの状況が驚くほど悪化しているのを目の当たりにしました。物流インフラが広範囲に破壊され、ガザ北部は封鎖に近い状態にあり、支援物資輸送車両の入域拒否や入域許可の遅延が繰り返され、燃料は不足し、電力と通信は途絶され、子どもたちは壊滅的な打撃を受けています。支援従事者に対する攻撃も人道的アクセスに深刻な影響を及ぼしており、とりわけ国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)などの国連機関の職員の死者数は、国連史上最多となりました。また今週、NPOのワールド・セントラル・キッチンのスタッフが攻撃を受け、飢えに苦しむ人々に食べ物を提供しようとする人道支援従事者の命が奪われました。

 

リバーナイル州で5歳未満児を対象とした栄養検査を受ける2歳のアイーダちゃん。上腕計測メジャーを使った検査で重度の栄養不良の「赤」が示され、早急な治療を必要としている。(スーダン、2024年2月撮影) © UNICEF_UNI529849_Mohamdeenリバーナイル州で5歳未満児を対象とした栄養検査を受ける2歳のアイーダちゃん。上腕計測メジャーを使った検査で重度の栄養不良の「赤」が示され、早急な治療を必要としている。(スーダン、2024年2月撮影) © UNICEF_UNI529849_Mohamdeen

このような制約により、子どもたちは年齢に応じた栄養のある食べ物を摂取できず、医療サービスも受けることができません。また1日に手に入る水は2~3リットルもありません。その結果は明らかです。3月に私たちは、ガザ地区北部の2歳未満の子どもの3人に1人が急性栄養不良に陥っていると報告しました。ガザ地区北部では、ここ数週間で数十人の子どもが栄養不良と脱水症状で死亡したと報告されており、人口の半数が壊滅的な食料不安に直面しています。

 

世界最悪の子どもの避難民危機が起きているスーダンでは、暴力行為が続き、また紛争の影響から子どもたちを守るために不可欠な人道支援の提供の許可があからさまに無視されており、ダルフール、コルドファン、ハルツームをはじめとする地域で、子どもたちの苦しみはさらに深刻なものになっています。最も致命的な栄養不良の状態である重度急性栄養不良(SAM)の治療のために入院する患者数は記録的な水準に達していますが、治安が悪いため、患者や保健スタッフが病院やその他の保健医療施設にたどり着くことができません。設備やスタッフは今も攻撃を受け続けています。物資の供給が大幅に途絶え、救命用品を含む医薬品と医療物資の深刻な不足が起きているため、保健医療体制は立ちいかなくなっています。さらに悪いことに、私たちが脆弱な立場に置かれている子どもの元に常時行くことができないため、「存在することによる保護(protection by presence)」が行えていません。私たちがモニタリングや対応をできるようにならなければ、他の重大な人権侵害のリスクが高まる恐れがあります。

 

ミャンマーでは、激化する紛争と強まる人道的アクセスの著しい制限により、きわめて重要な人道支援が妨げられています。ユニセフのパートナーは、一部の地域においてスタッフの安全を確保するために、予定していた命を守るための活動を他の場所で行ったり、延期したりしなければなりませんでした。乾季のピークを迎える中、人道支援を必要とする600万人の子どもを含め、すでに苦境に立たされている人々にとって、安全な水へのアクセスが大きな課題となっています。その多くは支援が届きにくい地域で暮らしています。

 

人権監視メカニズムの創設以来、国連が検証した人道的アクセス拒否の事例は2万3,000件近くに上り、そのうち1万5,000件近くが過去5年間に検証され、前回の事務総長報告でも3,931件と報告されており、きわめて高い数字となっています。

 

ハルキウのイジュームで、銃弾や砲撃により破壊された建物の前に立つ15歳のナスティアさん。1年前に地雷の爆発に巻き込まれ、手術により30個の破片が身体から取り除かれた。(ウクライナ、2024年3月16日撮影) © UNICEF_UNI549057_Filipハルキウのイジュームで、銃弾や砲撃により破壊された建物の前に立つ15歳のナスティアさん。1年前に地雷の爆発に巻き込まれ、手術により30個の破片が身体から取り除かれた。(ウクライナ、2024年3月16日撮影) © UNICEF_UNI549057_Filip

人道支援サービスが届かないということは、より大きな脆弱性を生み出し、別の子どもの権利の侵害を増加させます。子どもたちは真っ先に被害を受け、影響を最も長く受け続けます。当事者には、子どもたちが人道支援サービスを受けられるようにする法的・道義的責任があります。

 

世界各地で、ユニセフの現地チームは、ますます困難になっている状況において、子どもたちの元へ支援を届ける活動を行っています。ユニセフは、活動する中でも最もアクセスが困難な状況にある子どもたちに支援がより届くよう、ハイチ、エチオピア、スーダンなどで人道的アクセスの専門家への投資を増やしています。私たちは、すべての当事者と交渉し、子どもたちのためにとどまり、子どもたちのために支援を提供することを責務としています。

 

ユニセフは、人道的アクセスの拒否に関する国連の監視と報告を強化するためのツールの開発を全面的に支持し、子どもと武力紛争に関するガンバ国連事務総長特別代表の事務所と共に、そのためのガイダンス作りに携わります。この過程では、国連人道問題調整事務所(OCHA)や人道支援諸機関がこの分野で確立させ、利用しているシステムを含め、既存のシステムに基づきさらに強化することが重要です。

 

私たちが人道的アクセスを維持する力は、安全保障理事会によって大きく向上させることができます。

 

ユニセフが支援する仮設学習スペースで授業を受ける子どもたち。(コートジボワール、2024年2月撮影) © UNICEF_UNI525500_Dejonghユニセフが支援する仮設学習スペースで授業を受ける子どもたち。(コートジボワール、2024年2月撮影) © UNICEF_UNI525500_Dejongh

まず、国連安保理決議第2664号と同様に、私たちは人道的アクセスを守るためのカーブアウト措置を強化するよう求めます。人道支援機関は、被害を受けた人々への人道的アクセスを目的として、結果を恐れることなく、すべての武装勢力と話し合いをすることができる必要があります。

 

第二に、安保理がその影響力をもって、政府および非政府の武装組織に対し、子どもたちへの人道的アクセスの拒否を防止し終わらせるよう、また人道支援従事者を保護し、人道支援組織が前線や国境を越えて、最も支援を必要としている人々に安全かつ迅速に手を差し伸べられるよう働きかけることを求めます。これには、いずれかの紛争当事者に対する協力の提供は全て、それが人道的アクセスに及ぼす影響についてしっかりとした査定が伴うよう担保することも含まれます。

 

第三に、子どもと武力紛争の監視とアドボカシー活動を現地で実施するための国連の取り組みを、リソースの配分を通じて、また、子どもたちがどこにいようと、人道的アクセスを守るために私たちと協力するというコミットメントを通じて、安保理の皆さまが支援してくださることを期待します。


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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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会社概要

URL
http://www.unicef.or.jp
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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