第24回『このミス』大賞受賞作!中国・紫禁城が舞台の連作ミステリー『最後の皇帝と謎解きを』1/9発売

40ヵ国を旅した経験から描いた、2つの民族の友情と歴史をテーマにしたミステリー

株式会社 宝島社

株式会社宝島社が主催する、第24回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作『最後の皇帝と謎解きを』を2026年1月9日(金)に発売します。

 本書は、中国・紫禁城で起こる事件に元皇帝と日本人絵師が挑む友情と歴史をテーマにした連作短編ミステリーです。著者は40ヵ国を旅した際に感じたことや経験から民族間の友情をテーマにしたいと考え、執筆しました。選考委員からは、「この時代のこの場所をピンポイントで選んだ着眼はすばらしく、たいへんユニークな歴史ミステリーに仕上がっている」「過酷な運命を強いられた少年皇帝と異郷で孤立しがちな若き日本人画家の絆が育まれていくありさまが素晴らしい」「当時の紫禁城を知らない読者とほぼ同じ目線の主人公のため、物語世界に入りやすい」と高い評価を得て大賞に選ばれました。

 著者のインタビューも可能ですので、ぜひ取材をご検討いただけますと幸いです。『このミステリーがすごい!』大賞は、これからも新しい作家・作品を発掘・育成し、業界の活性化に寄与してまいります。

【あらすじ】

1920年、中華民国。北京在住で水墨画を描いて収入を得る日本人・一条剛は、紫禁城に住む元皇帝に水墨画の先生として雇われる。しかし実際は、城に眠る水墨画を贋作にすり替えて真作を秘密裏に売却し、清朝復興のための資金を調達する目的で雇われたのだった。一条は元皇帝と、側近の翁斎とともに、贋作作りを開始。身勝手な元皇帝に辟易する一条だったが、側近の一人、宝斎が密室で腹の肉を削がれ死亡していた事件を皮切りに、一条は元皇帝とさまざまな謎を解き明かし、ふたりは友情を育むが……⁉

【『このミステリーがすごい!』編集部より】

 バラエティ豊かな謎と、エモーショナルな読み心地の一冊! 中国最後の皇帝・溥儀(ふぎ)は3歳弱にして即位するも、6歳の時に辛亥革命により皇帝の座を追われることに。元皇帝となった溥儀は紫禁城に住み続け、君主として復位することを虎視眈々と狙いながら過ごします。この物語は、15歳の溥儀が日本人絵師と出会い、さまざまな事件を解き明かす物語。城の外に出ることは許されず、溥儀の言葉は絶対ゆえ友と呼べる人物も皆無。そんな元皇帝の前に現れた日本人絵師の一条が、元皇帝にどんな影響を与えるのか――。

時代に翻弄されながらも目の前の謎に取り組む彼らの姿を、ぜひご堪能ください!

『最後の皇帝と謎解きを』

発売日:2026年1月9日/定価:1760 円(税込)

【著者コメント】

締切2ヵ月前、浅田次郎先生の『蒼穹の昴』を読み、胸が熱くなった。私も清朝を舞台にした小説に挑戦したいと思いました。いつもの自分なら時間や実力を言い訳にして諦めていたかもしれません。

しかし春児(『蒼穹の昴』の主人公)が、何度も助けてくれた。彼が自分の未来をその手で切り開いたように、私も小説家になるという不確かな夢を自分の手で切り開きたかった。小説には人の心を

動かす力があると信じています。

著者プロフィール:犬丸幸平(いぬまる こうへい)

1994年5月、大阪府箕面市生まれ、神奈川県川崎市在住。京都産業大学英米語学科卒業。大学時代はバックパッカーで、中東、南米、アフリカなどを中心に約40ヵ国を訪問。現在は、パキスタンの絨毯の買い付けをしている。趣味は筋トレ。推理小説を読むきっかけになった漫画『名探偵コナン』の連載開始年に生まれ、誕生日は5月7日(コナン)。

40ヵ国を旅した著者が見つめる時代の外側 異文化のかなたに、人間の絆と希望を描く

取材・文 白石まみ

■勝者の歴史の外側を描く――語られなかった人々に光をあてる

『このミス』大賞締切の3ヵ月前から、満州国を舞台にしたミステリーにしたいと考えていたんですが、満州を舞台にするならその前の清朝を学ばなければと思い、映画『ラストエンペラー』を改めて観たり、資料を読み込むうちに視点が変わって清の存在が気になってきたんです。満州国は日本の手によって生まれた国だけど、清はもっと前から続く伝統的な王朝。日本が近代化していく一方で、清は衰退していく。同じ歴史でも、日本から見た歴史と、中国から見た歴史はまるで違って、それを「中国側から見る」と、同じ出来事でもまったく違う表情が見えてくるんです。だから、日本から見た歴史ではなく、清の人々の目線で描いてみたいと思うようになりました。歴史は勝者の記録でできていますが、僕が興味を持つのはその外側。権力の影で名も残さず生きた人たちにも、理想や誇り、時代を動かす力があるはずなんです。

■登場人物になりきる――感情のスイッチが入ると、物語が動く

僕は、キャラクターの気持ちがわからないと書き進められないんです。彼らがどんな顔をして何を思っているのか、それが自分の腑に落ちないと書けません。その感情がかみ合った瞬間に、次の1行が自然に出てくる気がします。だから、あまり性格や設定はガチガチに作り込みません。感情移入して書いているうちに、この人はこう動くんだと気づかされるんです。その瞬間が一番嬉しいですね。

今回の作品で思い入れがあるのは宦官(かんがん)の姿です。歴史のなかで軽んじられてきたかもしれないけど、彼らには誇りがあり、生きる理由がある。そういう弱い立場の人ほど時代のなかで強く生きている気がして、そういう人たちを描きたかった。他民族がぶつかり合う時代に、「人が人を思う気持ちに民族の壁が存在するのか」「他民族間に友情は芽生えるのか」「誰かの繁栄のために別の民族が犠牲になるのは許されるのか」――そういった問いが、僕の中にずっとありました。だからこそ、名もなき人々の目線から歴史を描いてみたいと思ったんです。特に宦官のところは、普段とは違う視点を意識して書いたので、そこは楽しんでもらえたらいいなと思っています。

40ヵ国を歩いて気づいた――人の数だけ“常識”がある

海外には学生時代に行ったのが最初で一番多く訪れたのがアルゼンチンです。現地の人のお家にお邪魔させてもらって、ご飯をご馳走になったり、困っているときに車に乗せてもらったり、思い返すととても助けられてきた実感があります。パキスタンにも行きましたが、あそこは本当に全然違う世界。ここではこっちが正義、あっちではあっちが正義で、「立っている場所で常識が変わるんだ」と思いました。僕らは日本の中での常識で考えがちですが、外に出るとそれは全然通用しない。たとえば、道を

歩いているだけで「友達か?」って声をかけられる地域もあるし、人との距離感も違うし「当たり前だと思っていたものが当たり前じゃない」と気づく瞬間があります。旅して気づいたのは、人の数だけ常識があるということ。日本の正しさだけが正解ではなく、国が違えば、常識や正しさの基準も違う。だから、歴史を書くときも、どの民族の、どの人の視点ならどう見えるかを考えるようになりました。もしかしたら、他民族や他文化というテーマは無意識に作品に出てきてるかもしれません。自分と違う立場の人をどう理解するか、それを考えることが小説を書く意味でもある気がします。

日課の早朝4時からの筋トレが支えた集中力

執筆中は朝4時に起きて4時10分にはジムに行って、筋トレをしてました。頭がクリアになり、午前中、集中できるんです。午後に仕事をして、夜は早めに眠るというのがルーティンです。無理に時間を変えようとするとどこかでバランスが崩れてしまうので。筋トレと執筆はどちらも、毎日の積み重ねが大事だと思っています。すぐに結果は出ないけれど、やめずに続ければ確実に変わるし、形になるんですよね。だから、「辞めない」ことでしか自分の芯はできない。筋トレで培った忍耐力が創作にも生きているかもしれません(笑)。書くことが決まってない時が一番辛いですけど、粘って机に向かい続けると、少しずつ霧が晴れていきます。

次回作について

歴史のなかでも異質な存在に惹かれるので、今後はまだ描かれていない時代を書いていきたいですね。それを通して、今の人間を照らすような作品というか。青崎有吾先生のように論理と感情を両立させる作品が理想です。自分が書くのを楽しむよりも、読んでくださる方が楽しめるかどうかを常に考えています。気軽に楽しめるコンテンツが増えているなかで1000円以上払って読んでくださるんだから、「読んでよかった」と思ってもらえる作品をお届けしたい。今回の作品は苦しみや痛みのなかにも希望があると感じてもらえたら嬉しい。そして、読んでくれた方が、誰かを理解したいと思ってくれたら――それが、僕が小説を書く理由かもしれません。

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会社概要

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業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区一番町25番地
電話番号
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代表者名
関川誠
上場
未上場
資本金
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設立
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