空爆続くレバノン、子どもへの影響深刻化-ユニセフ新報告書が指摘、広報官「全面戦争の危険回避し、恒久的停戦を」
【2024年4月30日 ジュネーブ発】
ユニセフ(国連児童基金)広報官のジェームズ・エルダーは、4月30日にジュネーブで行われた国連の定例記者会見において、レバノンの子どもたちに関する新しい報告書について、以下のように発言しました。
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ユニセフ・レバノン事務所が発表した新たな報告書は、レバノンが戦闘により悪化する危機の連鎖と闘う中で、子どもたちの苦しみが深まっていることを浮き彫りにしています。
報告書「戦火に捕らわれて:6カ月間の戦闘がレバノンの子どもたちに及ぼした影響(原題:Caught in the Crossfire: The Impact of Six Months of Conflict on Children in Lebanon)」によると、 すでに経済的・政治的危機が長期化しているレバノンで空爆の被害が次第に深刻化していることを背景に、国の全土で人道支援のニーズが高まっています。
ユニセフは以前から、レバノンの絶え間なく重なりあう緊急事態と、それが子どもと教育に及ぼす影響について訴えてきました。今日、このような事態は、ほぼ連日の空爆によってさらに深刻化しています。3万人の子どもが家を追われており、犠牲となった子どもや怪我をした多数の子どももいます。子どもたちに必要なインフラは破壊され、給水所も大きな損害を受け、10万人が安全な飲み水を手に入れることができなくなっています。約4,000人が利用していた23カ所ほどの保健医療施設も、続く敵対行為のために閉鎖されています。戦闘が激化し続ければ、子どもたちへの影響は壊滅的なものになるとユニセフは警鐘を鳴らしています。
この戦闘は、レバノンにすでにあった教育危機を悪化させています。戦闘前でさえ、70万人以上の子どもが学校に行かず、学んでいませんでした。そして今日、レバノン南部では、このたびの暴力行為によって70以上の学校が閉鎖されています。
進行中の経済危機の結果、レバノン国民の半数以上が貧困ライン以下の生活を送っていると推定され、また同国にいるシリア難民世帯の推定90%が極度の貧困状態にあります。
この多重の危機的状況は、子どもやその家族のメンタルヘルスや身体的なウェルビーイングにも深刻な打撃を与えており、心理的苦痛は憂慮すべきレベルにあると報告されています。不安やトラウマの報告が激増しているのは、避難だけではなく、執拗な砲撃や空爆に対する反応が原因ともなっています。レバノン全土のパレスチナ人の親や養育者によれば、子どものほぼ2人に1人(47%)が不安感を訴えています。
この報告書では、現在の危機の中で子どもたちのためにユニセフが行ってきた支援の概要も紹介しています。しかし、私たちの最大限の努力をもってしても、恒久的な停戦は不可欠です。停戦が実現しない以上、レバノンは全面的な戦争の危険下にあります。そして戦争が起きた場合、同国に住む130万人の子どもだけでなく、周辺地域に住むすべての子どもに壊滅的な被害を及ぼしてしまうのです。
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/
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