ダリエン地峡を渡る子ども、年初来40%増加-5年連続最多更新の見込み、ユニセフ分析【プレスリリース】

ダリエン地峡を横断し、バホ・チキートに到着した家族と話すチャイバン・ユニセフ事務局次長(右)。(パナマ、2024年4月24日撮影) © UNICEF_UNI573170_Luダリエン地峡を横断し、バホ・チキートに到着した家族と話すチャイバン・ユニセフ事務局次長(右)。(パナマ、2024年4月24日撮影) © UNICEF_UNI573170_Lu

【2024年5月15日 パナマシティ】


ユニセフ(国連児童基金)の分析によると、コロンビアとパナマの国境にまたがる危険なダリエン地峡を移動する子どもの数が年初以来増加しており、この経路を通る子どもの数は5年連続で最多の記録更新となる見込みです。


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2024年の最初の4カ月間で、ダリエン地峡を横断した子どもの数は3万人を超え、前年同期比で40%増加しました。

 

ダリエン地峡の密林地帯を通過する子どもを取り巻く状況は、長期的な危機となっています。年初来の4カ月で見られた傾向および地域の状況に基づけば、2024年の1年間で、子どもと若者16万人を含む80万人がこの密林地帯を横断することが予想され、その多くが極めて重要な人道支援を必要とする可能性があります。

 

ユニセフのテッド・チャイバン事務局次長は、次のように述べています。「ダリエン地峡は子どもが通るような場所ではありません。多くの子どもが、この過酷かつ危険な旅で命を落としています。旅の途中で出産となり、最も困難な環境下で新しい命を産んだ女性たちもいます。どうにか旅を生き延びた人々の大半は、病気や飢え、脱水症を患い、多くの場合、外傷を負ったり感染症にかかったりしていて、支援を切実に必要としています。しかし、この旅をする人々の5人に1人は子どもであり、ユニセフが現地で支援活動を行うことが、かつてないほど重要となっています。子どもたちの出身国や目的国がどこであるかにかかわらず、私たちが彼らのために活動するには、十分な資金を確保することが不可欠です」

 

ユニセフの子どもにやさしい空間で遊ぶ移民の子どもたち。(パナマ、2024年4月24日撮影) © UNICEF_UNI573175_Luユニセフの子どもにやさしい空間で遊ぶ移民の子どもたち。(パナマ、2024年4月24日撮影) © UNICEF_UNI573175_Lu

今年これまでに移動してきた3万人の子どものうち、2,000人近くがおとなの同伴者がいない、あるいは家族と離ればなれになった子どもでした。2023年の同時期と比較すると、おとなの同伴者がいない、あるいは家族と離ればなれになった子どもの数は3倍に増えています。また、通過する子どもの数は、おとなの数と比べて5倍の速さで増加しています。

 

「ダリエン地峡を渡ってきた子どもや親から聞く話は、信じられないほど悲惨なものです。先月、私がバホ・チキートのコミュニティを訪れた際、密林地帯を横断中に母親とはぐれたベネズエラ出身の11歳の女の子、エスメイラさんに会いました。エスメイラさんは涙を流しながら、ジャングルの中で独りきりになることがどんなに辛いことだったかを話してくれました。彼女は、水かさの増した川を渡らなければならず、道すがら怪我をした人や飢えた人を通り越さなければなりませんでした。夜には、闇の中、恐ろしい音を耳にしました。2日間も何も食べておらず、空腹でした。学校にも通えず、何カ月も学習機会を逃していました。はぐれた母親が後から同じ道をたどって、近いうちに到着することを切に願っていました。このような出来事を経験したり、恐ろしい光景を目撃したりする子どもがいてはなりません」(チャイバン事務局次長)

 

ダリエン地峡を横断し、一時移民受け入れセンターにたどり着いた親子。ユニセフは、身元確認や治療、カウンセリングなどの支援を提供している。(パナマ、2023年12月撮影) © UNICEF_UNI544136_Lepageダリエン地峡を横断し、一時移民受け入れセンターにたどり着いた親子。ユニセフは、身元確認や治療、カウンセリングなどの支援を提供している。(パナマ、2023年12月撮影) © UNICEF_UNI544136_Lepage

ユニセフのスタッフは、522人の子どもと若者が熱帯雨林地帯を横断した2018 年以来、ダリエンとパナマにおいて移動する子どもたちを支援しています。ユニセフは、米国政府と欧州連合からの財政援助と独自の資金により、移動ルート沿いの複数の要所で、水と衛生(WASH)、子どもの保護、ケースマネジメント、子どもと妊産婦の健康、ジェンダーに基づく暴力に関する支援サービスを提供しています。また、移民が通過する10のホストコミュニティに対する支援も行っています。

 

2024年、ユニセフは、パナマで増え続ける移動中の子どもと家族の緊急ニーズに対応するため、764万米ドルの資金を国際社会に要請しました。現時点でこの新たな資金の10%しか集まっていません。

 

「移動中の子どもとその家族に必要不可欠なサービスを提供し、子どもたちが見捨てられることのないよう支援しているホストコミュニティや支援の方々、そしてパナマ政府の行動に深く感謝をしています。しかし、子どもたちが直面している危険性と、満たされていない彼らのニーズは、こうしている間にも高まっています。誰ひとり取り残されることのないよう、引き続き取り組む必要があります。資金不足のままでは、支援の範囲も限られてしまいます」と、チャイバン事務局次長は訴えました。


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注記

ラテンアメリカとカリブ海諸国は、子どもの移動に関する極めて複雑な状況を抱えています。移動の流れは多方向で相互に関連し合っており、多くの国々がそれぞれ同時に「出身国」であり「通過国」であり「目的国」であるのです。ダリエン地峡は、移動の流れが多方向かつ相互に結びついている主要な地域の一例です。

 

2018年に522人の子どもと若者がこのルートを横断してきた際、ユニセフは、パナマのダリエン県で支援を提供した最初で唯一の人道支援機関でした。2019年にはそうした移動がさらに活発になり、3,956人の子どもが登録されました。新型コロナウイルス感染症のパンデミック開始の翌年2021年には2万9,645人に上り、2022年には4万438人に達しました。状況はさらに悪化の一途をたどっています。パナマ移民局によると、2023年には100を超える国籍の計52万85人が登録され、そのうち子どもは、11万3,180人でした。


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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

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URL
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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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