生成AI技術を活用した画像解析ソリューション「mitococa SUU(ミトコカ スー)」
~鉄道やホテル、異業種で実証を進め、2027年初旬の製品版リリースを目指す~
JR西日本グループは、2026年4月に公表した「JR西日本グループ中期経営計画2030」において、当社グループで培った技術を社会に展開する「インフラソリューション」を重点分野の一つに掲げ、鉄道という枠を超えて社会課題の解決に取り組んでいます。当社グループの画像認識技術を中核とする「mitococa(ミトコカ)」シリーズは、当該分野の取り組みを牽引する重要なソリューションの一つです。
当社は2025年8月、生成AIを活用した新たな画像解析ソリューションの開発に着手したことを発表し、社内外の現場で実証を進めてまいりました。このたび、本ソリューションの名称を「mitococa SUU(ミトコカ スー)」※1とし、2027年初旬の製品版リリースを目指すこととしました。あわせて、この1年の取り組みをご紹介いたします。
1.「mitococa SUU」の概要
「mitococa SUU」は、「mitococa」シリーズの新たなラインアップです。当社が鉄道事業で培った現場の知見を活かし、生成AI(VLM)※2による画像解析を、現場の判断・対応につながるソリューションとして開発しました。生成AIを“現場でそのまま使える形”にするため、次の二つの特長を備えています。
①解析するのは、必要な瞬間の画像だけ
一定の時間間隔、画像認識AI「mitococa」による検知、センサー(光電・温度等)の反応を“きっかけ”に、必要な場面だけを切り出して生成AIで解析します。映像をすべて解析する場合に比べ、コストと誤検知を抑えた高精度な解析を実現します。
②判定で終わらせず、現場のアクションにつなぐ
解析結果はパトランプ・メール・制御設備などへ連携でき、現場の対応に直結します。また、専門知識がなくても使えるアプリケーションにより、現場での運用を支えます。

※1 製品名は「See(自然と目に入ったモノを)」「Understand(人のように理解し)」「Unlimited(限りない可能性へ)」の頭文字に由来
※2 VLM(大規模視覚言語モデル):画像と言語を同時に理解する生成AI。事前に学習させていない対象や状況でも「何が起きているか」を理解できる
2.見えてきた活用領域
2025年8月の発表以降、社内・グループ・社外のさまざまな現場で対話・提案を重ね、「技術として判定できるか」の検証から、「業務として使えるか(精度・運用・費用対効果)」を確かめる実証へと段階を進めてまいりました。その中で、映像から状況を読み取り、現場の判断や改善につなげられる領域として、「安全性向上」「品質向上」「生産性向上」「マーケティング」の四つの分野が見えてきました。

3.主な実証事例
(1) 営業線沿線における近接工事の検知
社員が列車に添乗して目視で行っている沿線の近接工事の確認について、当社開発の「レールモニター」※2で取得した列車前方の映像から、「クレーン」「足場」といった言葉で指定して工事らしき箇所を自動抽出し、当社の「デジタルレールマップ」※3上に表示する実証を進めています。
ある線区の映像を用いた検証では、目視で確認できる近接工事11箇所をすべて検知しました。今後は本番環境での検証を経て、本導入を目指します。
※3 レールモニター:スマートフォンを列車に設置し、加速度・前頭映像・位置情報を同時に取得して線路状態を判定する当社開発のスマート動揺判定アプリ(https://media.jrw-ip.jp/solution-product/products/5500/)
※4 デジタルレールマップ:キロ程とGIS(地理情報)を融合し、鉄道設備を地図上で検索・共有できる当社の空間データ基盤(https://media.jrw-ip.jp/solution-product/products/6399/)

(2) ホテルビュッフェにおける食材廃棄量の自動データ化
THE OSAKA STATION HOTEL, Autograph Collectionにて、ビュッフェから引き上げた料理を撮影するだけで、料理名と残量を推定し自動でデータ化する実証を実施しました。
計測対象79品目のうち約80%を目視と同等の精度で判定でき、これまで負担が大きく継続が難しかった料理ごとの計測・記録を、続けられる形で実現できる見通しを得ました。今後は、調理オペレーションの改善と食材廃棄ロスの最適化につなげてまいります。

(3) 社外の異業種での実証
社内・グループでの実証に加え、社外の異業種でも実証が進んでいます。建設業の株式会社大林組とは建設現場での安全確認等について、また製造業の企業とは作業や設備の状態を映像から確認し、巡視・見回りの負担を軽減する取り組みについて、実証を進めています。
4.今後の展望
今後は、技術的な精度や運用のしやすさに磨きをかけ、2027年初旬の製品版リリースを目指してまいります。当社グループは引き続き、鉄道事業で培ってきた知見・技術・ノウハウを活かし、鉄道の枠を超えて社会課題の解決に貢献してまいります。

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