学校に通えない子ども、世界で2.5億人~教育を受ける権利の実現への手助けを【プレスリリース】

ユニセフ事務局長、G7教育相に訴え

ポートスーダンの国内避難民キャンプで、紛争により避難してきた15歳のルジャインさん(左)と14歳のボタイナさん(中央)と話すラッセル事務局長。(スーダン、2024年6月25日撮影) © UNICEF_UNI599909_Elfatih

【2024年6月28日 トリエステ(イタリア)発】

ユニセフ(国連児童基金)事務局長のキャサリン・ラッセルは、イタリア・トリエステで開催されたG7教育大臣会合で、以下の通り発言しました。

* * *

この会合には、訪問先のスーダンから参りました。スーダンでは、1年以上前に戦闘が始まって以来、学齢期の子ども約1,700万人のほぼ全員が、学校に通えていません。私が訪れたユニセフの施設は、暑くてほこりっぽく、紛争から逃れてきた子どもたちでいっぱいでした。そこで出会った何人かの女の子は、逃げる時に、服も家も友達も学校も、何もかも失ってしまったと言っていました。彼女たちの世界が崩壊していく中で、私へのメッセージははっきりとしていました。「家に帰りたい、学校に戻りたい」と。

 

なぜこの話をしたかというと、彼女たちはひどい苦難に耐えてきたにもかかわらず、まだ希望を持っていたからです。将来への希望、そして復学への希望を。彼女たちは今でも、弁護士や医者、建築家になることを夢見ています。

しかし、私たちは国際社会として、このような女の子たちや、世界中にいる何億人もの同じような子どもたちの期待に応えられていません。私たちが集っているこの時にも、学校に通っていない子どもは昨年より600万人増え、2億5,000万人います。そのうちの1億人はアフリカの子どもです。これは、一人の子どもにとっては悲劇であり、一国にとっては世代的な大惨事です。

苦難を味わっているのはスーダンの子どもたちだけではありません。コンゴ民主共和国やガザ、ハイチおよびその他の紛争地域では、何百万人もの子どもが教育を受ける権利を奪われています。ここ欧州でも、新型コロナウイルス感染症によって、そしてウクライナでの長年の戦争によって、子どもたちの学習が妨げられています。世界中で起きているこの学習危機は、私たち全員に影響を及ぼしています。

北キブ州のゴマ近くにある国内避難民キャンプ内の仮設学習スペースで、授業を受ける子どもたち。避難民の子どもたちが学習を続けられるよう、ユニセフが設置した。(コンゴ民主共和国、2024年6月24日撮影) © UNICEF_UNI604231_Benekire

教育大臣である皆さまは、教育が重要であることを誰よりもよくご存知でしょう。一人ひとりの子どもにとってはもちろんのこと、地域社会および生産性や創意工夫、安定を目指す国々にとっても重要です。

 

「誰一人取り残さない」という原則を共同声明に反映していただき、つまり、災害や貧困の影響を受けた子ども、障がいのある子ども、そしてもちろん女の子など、最も弱い立場にある子どもたちに手を差し伸べることの重要性を強調していただき、ありがとうございます。

 

紛争や気候災害のような混乱の後、中途退学する可能性が高い一方、学校に戻る可能性が低いという、女の子にとっての特別な課題に注目していただきたいと思います。ひとたび結婚や仕事、その他の形態の搾取に取られてしまうと、女の子を再び学校に通わせることは、不可能ではないにせよ、非常に困難です。ユニセフは、こうした女の子たち、そしてすべての子どものために、教育を受ける権利を実現させることに全力を尽くします。女の子たちが置き去りにされるようなことがあってはなりません。

 

では、何をすればよいのでしょうか? いくつかの優先事項を提案させてください。

まず、教育の質と効果を向上させなければなりません。子どもたちを学校に入れるだけでは十分ではなく、彼らが実際に学習するようにしなければなりません。

 

第2 に、イノベーションとテクノロジーを活用して、より多くの子ども、特に女の子に質の高い学習を提供しなければなりません。そして、この取り組みに人工知能(AI)をどのように役立てるのかについて知恵を絞らなければなりません。

世界中の子どもを教育することは野心的な課題であり、大規模かつ協調的な取り組みが必要です。G7参加国として、皆さまには欠かせない役割があります。

12歳で結婚を強いられ学校を退学し、3人の娘がいる16歳のユスラさん。今はユニセフの支援を受けて、読み書きと計算を学んでいる。(イエメン、2024年1月撮影) © UNICEF_UNI530019_Gabreez

ユニセフを含め、教育に携わる関係者は、何をなすべきかを理解しており、皆さま方の政府およびアフリカ連合などの先導的なパートナーからの支援を得て、それを実行する方法を知っています。効果的な学習教材で教員を支援しなければなりません。子どもたちが暮らしている場所に赴かなければなりません。そして、私どもの活動の効果を厳正に評価しなければなりません。

 

この取り組みのために、皆さま方の貴重な声を上げていただきたいのです。教育は権利であり、自国の子どもたちと同様、世界中の子どもたちにとっても重要であることを、財務大臣や開発担当大臣、および議員の方々にあらためてお伝えください。

 

私たちは何をすべきかわかっています。どうか私たちがなすべきことをなせるよう、お力添えをお願いします。子どもたちの期待を裏切るわけにはいかないのです。

* * *

■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

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URL
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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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