楽天インサイト、40万人以上から得た大規模調査結果「アスキングビッグデータ」から、「生活意識」に関する3年間の変容を発表

- 1人旅行を満喫したい意識が増加するなど、「おひとり様消費」が進化 -

楽天グループ株式会社

URL: https://insight.rakuten.co.jp/news/20250415.html

 楽天インサイト株式会社(以下「楽天インサイト」)は、年に1度実施する、40万人以上から回答を得た大規模調査の結果である「アスキングビッグデータ」から、「生活意識」に関する3年間の意識変容について分析結果を発表しました。

 本調査は、2024年11月28日(木)から12月18日(水)の21日間、楽天インサイトに登録しているモニター(約220万人)の中から、全国の15~79歳の401,156人を対象に実施した2025年版と、552,160人を対象に実施した2023年版、485,370人を対象に実施した2024年版を比較しました。その中から3つのトピックについて、調査結果とともに楽天インサイトデータアナリスト末永 幸三が解説します。

 なお、経年比較による増減において1ポイントの差は4,000サンプル~5,000サンプル相当の変化を示す無視できないものです。また、40万人以上を対象とした本調査では、1ポイントの差は統計学的にも有意な差であり、有意水準1%検定です。調査結果の詳細レポートは、 楽天インサイトのアンケートシステム「RaQs2」へログインしてダウンロード、または、「RaQs2」アカウントがない場合は、楽天インサイトへ問い合わせすることで指定するページから無償でダウンロードすることが可能です(注)。これにより、企業が生活者ニーズの多様性を捉えた効果的なマーケティング活動を行うための一助となることを目指しています。

■□ 調査結果サマリー □■

トピック1: 1人旅行を満喫したい意識が増加 – 「おひとり様消費」が進化

 「旅行は他の人と一緒に行くより1人旅を満喫したい」が経年で1.0ポイント増加。さらに、旅行を1人で満喫したい人ほどSNSの情報発信は活発(満喫派36.0%、非満喫派20.3%)。これらの結果から、1人で楽しむ時間と、その体験を共有する喜びを両立する、1人向けの商品やサービスの利用といった新たな「おひとり様消費」の可能性が考えられる。

トピック2: 食生活の不安が増加 – 食品の値上がりで栄養バランスや鮮度を妥協

 「食生活に不安を感じている」が1.6ポイント増加。また「高くても鮮度・素材の良い食品を選ぶ」が2.2ポイント低下したほか、「栄養バランスに配慮した調理を心掛けている」が2.8ポイント低下。物価上昇で栄養バランスや食材に配慮する余裕がなくなり、食生活への不安を増大させている可能性が考えられる。

トピック3: デジタル化への不安が増加 – 急激なデジタル化で取り残される不安が拡大

 「世の中のサービスのデジタル化についていけるか不安だ」が1.3ポイント増加。性年代別にみると、特に女性40代以上が6割を超えて高い傾向。コロナ禍以降の急激なデジタル化で取り残される不安が拡大している可能性が考えられる。

■□ 調査結果 □■

■トピック1: 1人旅行を満喫したい意識が増加 – 「おひとり様消費」が進化

 旅行意識について「旅行は他の人と一緒に行くより1人旅を満喫したい」(2023年版: 36.9%/2025年版: 37.9%、 「非常にあてはまる」+「ややあてはまる」)が1.0ポイント増加しました。

 また、質問に対して「非常にあてはまる」もしくは「ややあてはまる」と回答した人を「旅行1人で満喫派」、「全くあてはまらない」もしくは「あまりあてはまらない」と回答した人を「旅行1人で非満喫派」と定義し、趣味は旅行と回答した人に絞って分析をしたところ、「趣味や旅行先の出来事や写真を、よくSNSで発信している」と答えた人は「旅行1人で満喫派」では36.0%(「非常にあてはまる」+「ややあてはまる」)、「旅行1人で非満喫派」では20.3%(「非常にあてはまる」+「ややあてはまる」)で15.7ポイントの違いがありました。つまり、1人旅行を満喫している人の方がSNSでの情報発信が活発だということがうかがえます。これは、SNSでの情報発信を通じて、1人旅の体験を共有したいというニーズが背景にあるとみられます。これらの結果から、1人で楽しむ時間と、その体験を共有する喜びを両立する、1人向けの商品やサービスの利用といった新たな「おひとり様消費」の可能性が考えられます。

【解説: 楽天インサイトデータアナリスト末永 幸三】

 1人旅を後押ししているのは、シングルライフの増加やコロナ禍で1人の時間が増えたこと、物価高騰で旅行代金が値上がりし友人を誘いにくくなっていること、また、1人で楽しむことと共有する楽しさの両立などではないかと考えられます。特に1人旅で旅行の出来事や写真をSNSで情報発信していることには注目です。2005年前後に「おひとり様消費」が話題になり、1人映画や1人焼肉など、当時は「寂しい」「ちょっと変わっている」といったややネガティブなイメージもありましたが、2010年以降では「おひとり様」向けのサービスが拡大し、例えば複合ネットカフェや1人カラオケ、エステなど、1人でのんびり過ごす人が増え1人行動が一般化しました。コロナ禍が過ぎ、1人での行動とSNSやオンラインを通じた「つながり」を両立する、「おひとり様3.0」とも言える新たな消費行動が広がりつつあります。今後、例えばおひとり様グルメやDIYクラフトキット、オンライン学習プラットフォームなど「おひとり様3.0」のニーズに応える商品・サービスが、新たな市場を創造し、経済を活性化させる原動力となるのではないでしょうか。

■トピック2: 食生活の不安が増加 – 相次ぐ食品の値上がりで栄養バランスや鮮度を妥協

 食に関する意識項目では、「食生活に不安を感じている」と答えた人が2年間で1.6ポイント増加しました(2023年版: 42.5%/2025年版: 44.1%、「非常にあてはまる」+「ややあてはまる」)。一方、「高くても鮮度・素材の良い食品を選ぶ」と答えた人も2.2ポイント低下する結果となりました(2023年版: 49.2%/2025年版: 47.0% 「非常にあてはまる」+「ややあてはまる」)。また、「栄養バランスに配慮した調理を心掛けている」は2.8ポイント低下しました(2023年版: 61.0%/2025年版: 58.2% 「非常にあてはまる」+「ややあてはまる」)。物価上昇により、栄養バランスや食材に配慮する余裕がなくなり、食生活への不安を増大させている可能性が考えられます。

【解説: 楽天インサイトデータアナリスト末永 幸三】

 輸入コストや原材料費の高騰により物価が上昇し、特に食品価格の高騰が家計を圧迫しています。総務省の調査によれば、2021年の食品全体の価格指数を100とすると、2025年1月には124.7に達しています(総務省消費者物価指数全国2025年1月分)。食品価格の高騰は食品選定にも影響を与え、栄養バランスや鮮度の妥協を生み、その結果食生活への不安を増大させている可能性が考えられます。

 このような状況は、新たなインフレを源とした「令和の食生活不安」ともいえるのではないでしょうか。消費者は栄養バランスや鮮度を重視した食品を選びにくい状況にあり、企業には消費者のニーズに応える取り組みが求められます。例えば、手頃な価格で栄養バランスの良い商品を提供し消費者の健康的な食生活をサポートしたり、時間や手間をかけずに調理できる冷凍・レトルト食品を活用した手軽で栄養価の高い商品を開発したりして、忙しい現代人のニーズにも応えることなどが挙げられます。企業は、栄養バランスの良い商品やレシピを提案することで社会的な信頼性を高めるとともに、消費者の健康向上という社会課題への貢献にもつなげることができるといえます。

■トピック3: デジタル化への不安が増加 – 急激なデジタル化で取り残される不安拡大

「世の中のサービスのデジタル化についていけるか不安だ」(2023年版: 53.4%/2025年版: 54.7%、「非常にあてはまる」+「ややあてはまる」)と回答した人は1.3ポイント増加しました。年齢別にみると、10代・20代の男性・女性が40%台であるのに対して、女性40代以上で特に割合が高く、女性40代で65.9%、女性50代で70.0%、女性60代で69.3%、女性70代で65.9%と、いずれの年代でも6割を超える結果となりました。また、男性では50代で50.2%が最も高く、中高年層の方が不安を抱える人が多い結果となっています。コロナ禍以降、キャッシュレスの普及やAI技術の進化など急激なデジタル化が進み、シニア層を中心に不安が増加していることが考えられます。

【解説: 楽天インサイトデータアナリスト末永 幸三】

近年、デジタル化が急速に進展していますが、デジタル操作に不慣れなシニア層を中心に、不安を感じている人が増えています。AI技術、キャッシュレス決済、タッチパネル注文、オンラインサポートなど、デジタル化されたサービスを利用できない人々が、日常生活で不便を感じる場面が多くなっていることが想像されます。この状況は、「デジタルデバイド2025」ともいえる新たなデジタル格差を生み出す可能性があります。日本の人口構成を考えると、シニア層へのサポートは重要な課題といえるのではないでしょうか。

 このままデジタル化が進むと、人口の約50%を占めるマスボリュームの50歳以上の中高年層が取り残され、企業は大きな顧客層を失う可能性があります。中高年層は新しい技術を学ぶ機会が少なく、心理的な抵抗感も強いため、企業による丁寧なサポートが必要です。

 企業が中高年層をサポートすることで、顧客ロイヤリティとLTV(顧客生涯価値)の向上が期待できます。中高年層は一度慣れたサービスを長く利用する傾向があるため、デジタルサポートを通じて顧客との長期的な関係を築くことができます。さらに、新たな顧客層の開拓、既存顧客の維持、口コミによるブランド価値の向上にもつながります。

 今後、中高年層へのデジタルサポートは、企業の競争力やブランド価値を大きく左右する要素になるかもしれません。地域コミュニティでのワークショップ開催、店舗でのデジタルサポート、月額制のデジタルサポートプランなど、様々な対応策を検討する必要があるのではないでしょうか。

(注) 「RaQs2」アカウントがない場合の調査結果に関する詳細レポート問い合わせ先: research-sales@mail.rakuten.com 

【調査概要】

調査エリア: 全国

調査対象者: 15歳~69歳 男女

回収サンプルサイズ: 

2023年版: 552,160サンプル

2024年版: 485,370サンプル

2025年版: 401,156サンプル

調査期間: 

2023年版: 2022年11月29日(火)~2022年12月23日(金)

2024年版: 2023年11月28日(火)~2023年12月25日(月)

2025年版: 2024年11月28日(木)~2024年12月18日(水)

調査実施機関: 楽天インサイト株式会社

■楽天インサイト株式会社 データアナリスト 末永 幸三 プロフィール

前職は総合広告代理店に勤務し、ストラテジックプランニング、R&Dに所属。入社から生活者研究を中心に従事。 特にシニアビジネスに注力し、シニアターゲット攻略の研究やツール開発、シニアターゲットの商品開発、コミュニケーション開発のプランニング業務などを行う。現在は楽天インサイトで「アスキングビッグデータ」の企画開発や提案サポート、社外セミナーの講師などを担う。

【執筆】「3000万人100兆円シニア市場と絆ダイレクトマーケティング」文芸社(2018年1月)、「健康消費に最も敏感なシニアのタイプは : 60代シニアの消費の差は「価値観」の差(続編)」日経消費インサイト(2014年3月)など。

■「生活意識」に関する「アスキングビッグデータ」について

「アスキングビッグデータ」は、「生活意識」「カテゴリ」「ブランド」「デジタルメディア」について収集する大規模調査結果のデータベースです。「生活意識」に関する「アスキングビッグデータ」は、生活者を網羅的に理解するために、国内業界最大級にあたる、40万人以上から意識領域、行動領域、メディア接触領域に関する約240の意識項目を収集しています。調査は毎年1回実施し、ユーザーから取得した生活意識データを楽天インサイトが実施するその他調査結果などと連携することで、「どのような人が」「なぜその行動を取ったのか」などの多様なニーズを捉えることができます。

※本レポートでは小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計値は必ずしも100%とならない場合があります。

以 上

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本社所在地
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代表者名
三木谷浩史
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設立
1997年02月