イエメンで急性栄養不良の子ども急増、極めて深刻な状況【プレスリリース】

感染症、食料不安、安全な飲み水の不足が要因

アデンにある病院の新生児集中治療室(NICU)で、治療を受ける赤ちゃん。ユニセフは貧困家庭の乳幼児が医療を受けられるよう支援している。(イエメン、2024年7月1日撮影) © UNICEF_UNI625701_Hayyan

【2024年8月18日 アデン(イエメン)発】

イエメンでの急性栄養不良に関する分析報告を受けて、ユニセフ(国連児童基金)などの国連4機関は以下を発表しました。

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イエメンにおいて、急性栄養不良が政府支配地域で急増しており、西海岸地域では初めて「極めて危機的」なレベルに達していることが、イエメンの総合的食料安全保障レベル分類(IPC)技術作業部会(※)による本日の発表によって明らかになりました。

最新のIPC急性栄養不良分析によると、急性栄養不良(消耗症)に陥る5歳未満の子どもの数は、政府支配地域全体で2024年末までに60万人以上(そのうち重度の急性栄養不良は12万人)に達すると推計されており、前年と比べ34%増です。この急激な増加は、コレラやはしかといった感染症の集団発生、高い食料不安、安全な飲み水の不足、経済の衰退など複合的な影響によるものです。さらに、同地域において、2024年に約22万3,000人の妊娠中・授乳中の女性が急性栄養不良になると見られています。

IPCの急性栄養不良の分類の「極めて危機的な急性栄養不良」(フェーズ5)は、最も深刻なレベルであり、急性栄養不良に陥っている人の割合が30%を超える地域に適用されます。2023年11月から2024年6月までの期間、ホデイダ南部低地(カウカ地区とヘイズ地区)およびタイズ低地(モカ地区)で初めて、フェーズ5が報告されました。ホデイダでは、急性栄養不良率は前年の25.9%から33.9%に急増しました。

アデンの保健センターで、ユニセフが支援するすぐに食べられる栄養治療食(RUTF)を口にする重度の栄養不良で生後8カ月のマルワちゃん。(イエメン、2024年5月撮影) © UNICEF_UNI585239_Hayyan

今年7月から10月までの“lean season”と呼ばれる収穫高が減少する時期には、調査対象となった政府支配地域の117地区すべてで、急性栄養不良が「深刻」またはそれ以上のレベル(IPC急性栄養不良フェーズ3以上)になると予測されており、タイズ低地のマウザ地区でも極めて危機的なレベル(IPC急性栄養不良フェーズ5)に陥ると予測されています。

 

ユニセフ・イエメン事務所代表のピーター・ホーキンスは、次のように述べています。「今回の報告書は、イエメン南部における子どもの急性栄養不良の憂慮すべき傾向を裏付けるものです。最も弱い立場にある女性や子どもたちを守るためには、予防と治療の取り組みへの投資および事業拡大がこれまで以上に重要です。ユニセフは、子どもの命が守られ、子どもたちが自らの可能性を十分に伸ばして成長できるよう、複数の支援分野を連携させて取り組む既存のマルチセクター対応を基にして、命を脅かす栄養不良と闘うためにあらゆる努力を続けていきます」

長引く紛争と経済破綻にあえぐイエメンは、世界で最も高い栄養不良率とも闘っています。長期化する紛争、経済不安、繰り返す疾病の集団感染が、同国の栄養危機の主な要因となっています。

 

急性栄養不良率が最も高いホデイダとタイズでは、慢性的な栄養不良である発育阻害(スタンティング)の割合が最も高い状況に以前から直面していました。このことは、これらの地域において、度重なる困窮が子どもの慢性的な栄養不良状態をも悪化させていることを示唆しています。

 

コレラやはしかの集団発生に加え、小児疾患が、安全な水や衛生サービスへのアクセスの制限と相まって、イエメンの急性栄養不良率を押し上げています。

上腕計測メジャーを使った栄養検査を受け、重度の栄養不良と診断された、生後6カ月のザキちゃん。(イエメン、2024年5月撮影) © UNICEF_UNI589982_Record Media

国連4機関は、国際社会による緊急かつ持続的な支援、および、既存の社会保護・保健・食料・水と衛生システムを強化することによって、急性栄養不良の根本原因に対処するための早急な行動を求めます。

 

同時に、それらの課題に対応し、基礎的サービスの欠如や度重なる避難および経済・社会システムの破壊で壊滅的な被害を受け、困窮しているイエメンの人々のレジリエンスを高めるためには、10年近くに及ぶ紛争を終結させ、平和を取り戻すことが不可欠なのです。

 

※   総合的食料安全保障レベル分類(the Integrated Food Security Phase Classification=IPC)技術作業部会は、国連機関とNGOおよび政府で構成されています。

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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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会社概要

URL
http://www.unicef.or.jp
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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