ガザ地区 学校生活を始められない新1年生4.5万人 62.5万人がこの1年間学校に通えず【プレスリリース】

ユニセフ、あらためて停戦を訴える

 

ユニセフが支援する安全な学習スペースで学ぶ子どもたち。2023年10月以来、ガザ地区のすべての学校が閉鎖されている中、ユニセフは、子どもたちが安全な場所で、アラビア語、英語、数学、科学などの主要教科の教育を受け続けられるように支援している(ガザ地区、2024年8月11日撮影)© UNICEF_UNI638978_Nateel

  

【2024年9月9日 アンマン(ヨルダン)発】

中東の国々で新しい学年度が始まり、入学初日を迎える準備をしている子どもたちが多くいる中、ガザ地区では少なくとも4万5,000人の6歳の子どもが教育を受ける権利を奪われています。その大半は家を追われ、生き延びるための闘いに直面しています。

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新しい学年度が、パレスチナ全土で本日始まる予定でしたが、ガザ地区では激しい紛争により多くの生徒と教員が死傷し学校が著しい被害を受けているため、学校教育は再開されていません。ガザではすでに62万5,000人の子どもたちが丸1年間登校できておらず、紛争が依然として続く中、教育が受けられない状態が2年目に突入する高いリスクに直面しています。

ユニセフの中東・北アフリカ地域事務所代表のアデル・ホドルは、次のように述べています。「ガザ地区の子どもたちは、家族、友人、自宅、安全、日常を失っています。学校という安らぎと刺激を与えてくれる場所も失い、明るいはずの子どもたちの未来は、この恐ろしい紛争によって暗転する危険にさらされています」

2023年10月以来、ガザ地区のすべての学校が閉鎖されています。昨年学ぶことができなかった生徒の中には、最終学年に学校に通えず、高校卒業時のタウジヒ試験を受けられなかった生徒が3万9,000人います。卒業生がこのような事態に直面したのは、この何十年で初めてのことです。

年上の子どもや若者たちにとって、教育の中断は不安や心配につながります。学校教育を受けられないと、搾取、児童労働、 早期結婚、その他の虐待の危険にさらされる可能性が高まり、何よりも重要な点として、永久に学校に行かなくなってしまうリスクがあります。

低年齢の子どもたちは、学校教育を受けられないと認知的、社会的、感情的な発達が脅かされます。親たちは、子どもたちの失望感や孤立感が強まっていることを含め、メンタルヘルスや心理社会的状況に甚大な影響が及んでいると報告しています。

東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区の子どもたちも、新学年の開始にあたり影響を受けています。2023年10月以来、暴力が激化して移動が制限されていることが、78万2,000人の生徒にとって新たな学習の障壁となっています。パレスチナ教育省と教育クラスターによると、2023年10月以来、ヨルダン川西岸地区の学校の8~20%が休校になっています。学校が閉鎖されていない場合でも、暴力の恐怖、移動の制限、メンタルヘルス上の懸念から、多くの生徒が学校を休み、学習意欲の低下を招いています。

新学年を迎え、ジェニンの街で、がれきの中を登校する子どもたち(パレスチナ・ヨルダン川西岸地区、2024年9月2日撮影) © UNICEF_UNI518319_Badarneh

ガザ地区と東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区では、ここ数週間、学校や教育施設に対する攻撃が増加しています。ガザ地区では、少なくとも84%の学校が、校舎の全面的な建て直しまたは大幅な修復を学校再開前に必要としています。教育省によると、東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区では、学校への攻撃が69件、学校や生徒、教員に被害を及ぼす事件が2,354件発生しています。

このような圧倒的かつ重大なニーズがあるにもかかわらず、教育は人道支援活動の中で最も資金が不足している支援分野の一つです。パレスチナにおけるユニセフの教育プログラムは、88%の資金不足に直面しています。

このような状況に対応するため、ユニセフとそのパートナーは、ガザ地区に39の仮設学習スペースを設置し、1万2,400人以上の生徒に支援を提供しています。さらに、避難所にいる子どもたち、若者、養育者、教員に対して、レクリエーション活動、緊急時の学習キット、メンタルヘルス支援と心理社会的サポート(MHPSS)を提供しています。

ホドル代表はまた、次のように述べています。

「パレスチナの次の世代の教育を受ける権利を守るために、学習を再開し、学校を再建する方法を見いださなければなりません。子どもたちには、トラウマに対処するための安定が、そして可能性を十分に伸ばして成長するための機会が必要です」

「私たちの重要な活動を妨げているすべての障壁を取り除かなければなりません。教育やレクリエーションのための物資をガザに大規模に搬入し、学習拠点を運営するための安全なスペースを確保し、生徒や教員が安全に学校に通い、校内で生活し学習できるよう保障することが急務です。何よりも、ガザ地区での停戦とヨルダン川西岸地区での緊張緩和が必要です。そうすれば、すべての子どもたちが教室に戻り、損傷した学校を再建することができるのです」

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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(https://www.unicef.or.jp )

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会社概要

URL
http://www.unicef.or.jp
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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