COP29開幕 「子どもの権利守る、気候対策を」 各国にユニセフ訴え
【2024年11月7日 ニューヨーク発】
国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)が、2024年11月にアゼルバイジャンの首都バクーで開催されます。 気候危機が、世界中の子どもたちの生活とウェルビーイングに壊滅的な打撃を与え続けている中、パリ協定の締約国がCOP29に集結します。
世界各地で、気候ショックが子どもたちの健康と発達、安全、そして不可欠なサービスへのアクセスに影響を及ぼしています。世界は、子どもたちの保護に対して十分な取り組みができていません。ユニセフ(国連児童基金)はCOP29において、あらゆるレベルでの気候関連の政策・行動・投資に、子どもたちのニーズ、権利および視点が確実に反映されるよう努めます。
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ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、次のように述べています。「子どもたちは再び、記録的な暑さ、壊滅的な洪水、命を脅かす干ばつやハリケーンに見舞われた1年を過ごしました。こうした危機に対して最も責任のない存在でありながら、子どもたちはその影響を最も大きく受けています。COP29やNDC(国が決定する貢献)を通じて、各国政府は子どもの権利を最優先にしなければなりません。子どもたちは解決策に組み込まれる必要があり、世界のリーダーたちは、保健医療、教育、水、衛生といった子どもが必要とするシステムを、気候変動の影響に対してより強靭なものにする必要があります。今こそ行動を起こす時なのです」
■主要データ
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世界22億人の子どものほぼ半数にあたる約10億人の子どもが、気候災害の「極めて高いリスク」に分類される33カ国のいずれかに暮らしています。
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42万人以上の子どもが、現在記録的な干ばつに見舞われているアマゾン地域に暮らしています。
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世界の子どもの5人に1人、つまり4億6,600万人の子どもが、極めて暑い日に見舞われる日数がわずか60年前と比較して少なくとも2倍以上に上る地域で暮らしています。
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極度の高温は、死産や早産の増加につながっており、気温が1℃上昇するごとにその確率は5%高くなります。
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大気汚染は現在、栄養不良に次いで、世界中の5歳未満児の死因の第2位となっています。
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調査によると、バングラデシュでは、熱波が30日以上続く年には、11~14歳の女の子の児童婚のリスクが、熱波のない年と比べて2倍に増加します。
■課題
パリ協定締約国は、気候変動対策を講じる際には、子どもの権利を尊重し、促進し、考慮するとともに、世代間の公平性を担保することに合意しました。国連子どもの権利委員会の一般的意見26においても、加盟国は、子どもたちが清潔で健康的かつ持続可能な環境を手に入れる権利を擁護するための行動を取らなければならないことが確認されています。
前回のCOP28では、議長国「ユース気候チャンピオン(Youth Climate Champion)」の制度化や、2024年6月にボンで開催された国連気候変動枠組条約第 60 回補助機関会合(SB60)における専門家による子どもと気候変動に関する対話の開催合意など、子どもたちにとっての進展が見られました。しかし、子どもに配慮した気候政策イニシアティブや投資にはまだつながっていません。
例えば、
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来年、締約国は新たな温室効果ガス排出削減計画となるNDCs 3.0を提出することになっています。しかし、現行の計画のうち、子どもや若者に配慮したものは半数以下しかなく、子どもたちが参加するプロセスを通じて策定されたものはわずか3%にすぎません。
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世界的な気候変動対策資金の中で、子どもたちへの対応を考慮した資金はわずか2.4%であり、2006年から2023年の17年間に承認された591のプロジェクトのうち、教育を主な目的としたプロジェクトは1つだけでした。
ユニセフは各国のリーダーたちに、以下のことを呼び掛けています。
1. COP29の「カバー決定」は、気候変動が子どもたちに与える特有かつ不均衡な影響に対応するものとする
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COP29 カバー決定は、子どもと気候変動に関する専門家対話からの提言を前進させなければなりません。これには、国家政策や資金調達、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の取組みのすべてが、子どもたちのニーズに対応していることを含みます。
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締約国は、第2回グローバル・ストックテイクの中で、またそれに先立ち、子どもたちの権利とニーズを評価し守るための、明確な道筋を示す必要があります。
2. 子どもたちのための気候資金を飛躍的に増加させる
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「年1,000億ドル」目標に代わる新たな気候資金目標である「新規合同数値目標(NCQG: New Collective Quantified Goal)」は、子どもの権利に則り、ジェンダーや年齢に配慮した気候資金の拡充、適応ならびに損失・損害への資金拠出を含む、新しく追加的な気候資金を推し進めるものでなければなりません。
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締約国は、気候資金が子ども特有の脆弱性に対応することを確実にしなければなりません。その手段としては、子どもと気候変動に関する専門家対話が推奨する、気候資金に特化した窓口の設置や、子どもに配慮した気候資金のモニタリングなどが挙げられます。
3. すべての新たなNDC 3.0が、子どもに配慮した内容であり、気候変動が子どもに与える不均衡な影響に対応していることを保証する
これを達成するために、各国は以下を行う必要があります。
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1.5℃目標を達成可能な範囲に留めるための、十分な排出削減および緩和の誓約を含むこと。
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保健、教育、食料システムなど子どもにとって不可欠な社会サービスを、気候変動や災害に強いものとなるよう強化すること。
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子どもと若者、そして彼らの権利を包含し十分に考慮すること。
4. 子どもと若者が気候に関する意思決定の場に同席し、有意義な形で議論に参加できるよう彼らをエンパワーする
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COP29の各国代表団および交渉チームには子どもと若者が含まれなければなりません。
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(https://www.unicef.or.jp )
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