ふるさと納税へのポイント付与を禁止する総務省告示の無効確認を求める訴訟の提起について
楽天グループ株式会社は、ふるさと納税へのポイント付与を禁止する総務省告示(以下「本告示」)(注1)の無効確認を求める行政訴訟等を、東京地方裁判所に本日提起しました。
訴訟の提起に至った経緯
当社はこれまで、地域振興や地域の自立的な成長を支援することを目的に、「楽天ふるさと納税」を通じ、自治体が「楽天市場」の仕組みを用いて寄附募集できる環境を整え、当社が寄附の受付や決済、寄附者からの問い合わせ対応などの関連業務に加え、自治体に向けてデータの活用ノウハウを含めたコンサルティング、DX支援なども行うことで、ふるさと納税の普及促進に取り組んできました。従前より「楽天市場」の仕組みの一つであったポイントの付与は、2015年に「楽天ふるさと納税」を開設してから変わることなく、10年以上にわたりふるさと納税ポータルサイトの運営方法の一環として行ってきたものであり、2019年からは自治体に負担を求めず当社の負担において実施しています。このような当社のポイント付与の仕組みは、事業効率や寄附者の利便性を高め、ふるさと納税の普及促進に大きく寄与してきました。現在、ふるさと納税を通じた寄附募集は多くの国民に受け入れられており、寄附額も年々増加傾向にあります。さらに多くの地方自治体にとって貴重な財源であるだけでなく、返礼品として寄附者に送られる地産品は、地元企業の振興にも大きく貢献していると考えています。
しかしながら、2024年6月28日(金)に、総務省が自治体に対して、ポイント付与を行うポータルサイトを通じてふるさと納税の寄附募集を行ってはならないとする告示改正を行いました。これは実質的に、ふるさと納税のポータルサイト事業者に対して、ポイント付与を一律に全面禁止するという規制を課すものです。
当社は、本告示が定めるポイント付与の全面禁止が、ふるさと納税制度の普及に向けた民間企業と自治体の協力・連携体制や努力、工夫を否定するだけでなく、ポータルサイト事業者へ過剰な規制を課すものであり、ふるさと納税の根拠法規である地方税法の委任の範囲を超え、総務大臣の裁量権の範囲を逸脱し、またはこれを濫用する違法なものであると考え、本告示が無効であることの確認を求める訴訟を提起するに至りました。
なお、当社は2024年6月28日(金)より、本告示に対する反対署名活動(注2)を開始し、2025年3月18日(火)には、集まった295万2,819件(注3)の署名を、当社代表取締役会長兼社長の三木谷 浩史より内閣総理大臣に提出しました。
訴訟における主張の概要
本訴訟における当社の主張の概要は以下の通りです。
•総務省による本告示は、実質的にポータルサイト事業者に対してふるさと納税寄附者へのポイント付与を禁止するものである
•総務省は本告示の理由としてポイント付与競争の過熱化を指摘するが、そのような事実があったとしても、付与するポイントの割合に上限を設ければ十分であり、一律に全面禁止する必要性はない
•クレジットカード会社等による決済に伴うポイント付与は引き続き認められており、これがふるさと納税の趣旨に反するものではないのであれば、ポータルサイトによるポイント付与も同様のはずであり、ポータルサイトによるポイントの付与を一律全面禁止とするのは、過剰な規制である
•本告示によるポイント付与規制は、10年以上にわたりふるさと納税の募集が行われてきたポータルサイトの運営方法の再構築を迫るものであり、憲法22条1項が定める営業の自由に由来するポータルサイト事業者の運営方法を過剰に規制するものである
•ふるさと納税制度の根拠となる地方税法が総務大臣に委任しているのは寄附の募集方法であって、国民の権利義務に制約を課すことまでは委任されていないことから、本来ポイント付与規制については、国会での議論を踏まえた地方税法の改正など法令によって定められるべきであったにもかかわらず、国会でポイント付与規制の是非や方法、内容について議論がされず、法令による具体的根拠がないまま本告示が定められた
•以上のとおり、本告示のポイント付与規制にかかる部分は、ポータルサイト事業者へ過剰な規制を課すものであり、地方税法の委任の範囲を超えてポータルサイト事業者へ過剰な規制を課すもので、総務大臣の裁量権の範囲を逸脱し、またはこれを濫用したものであって違法であることから、無効である
(注1)令和6年総務省告示第203号: https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zeimu04_02000126.html
(注2)ふるさと納税へのポイント付与を禁止する総務省告示に対する反対署名のお願い: https://event.rakuten.co.jp/furusato/announce/signature/
(注3)2025年3月16日(日)時点
以 上
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