ガザでポリオウイルス検出 ユニセフなど、予防接種実施へ~子ども59万人以上対象【プレスリリース】
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【2025年2月19日 東エルサレム/アンマン(ヨルダン)/ニューヨーク発】
ユニセフ(国連児童基金)などは、ガザ地区においてポリオ集団発生への緊急対応を継続しています。2025年2月22日から26日にかけて、大規模な集団予防接種を行う予定です。59万1,000人以上の10歳未満の子どもに、新規2型経口生ポリオワクチン(nOPV2)を投与し、彼らをポリオから守ります。この取り組みは、先日ガザ地区の下水サンプルからポリオウイルスが検出されたことで、ウイルスが環境中を継続的に循環していることが示され、子どもが感染リスクにさらされていることを受けて実施されます。
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免疫が低い、あるいは免疫を持たない人々が集まると、ウイルスが伝播し続ける状況がつくられ、感染症を引き起こす可能性を高めます。避難場所の過密状況や、水・衛生インフラへの深刻な被害など、ガザ地区の現状は、糞口感染を助長し、ポリオウイルスの感染拡大に理想的な条件をつくり出しています。現在の停戦に伴う大規模な人々の移動により、ポリオウイルスへの感染は、さらに広がるおそれがあります。
ガザ地区では、2024年9月と10月に2回の集団予防接種がすでに実施され、対象者の95%以上が接種を受けました。ポリオウイルスは環境中に残ることがわかっているため、すべての子どもに予防接種を届け、集団免疫を高めるために、さらなる取り組みが必要です。ウイルスが残っている限り、ガザ地区および地域全体において、免疫が低いあるいは全くない子どもたちが危険にさらされます。
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2024年には、保健スタッフがガザ地区の中部、北部、南部の特定の地域にアクセスすることが大きな課題でした。紛争下において立ち入りに特別な調整が必要な地域でした。ジャバリア、ベイトラヒヤ、ベイトハヌーンなどのアクセスできない地域では、集団予防接種のための戦闘の人道的休止が保証されておらず、2回目の予防接種では約7,000人の子どもが投与を受けられませんでした。このたびの停戦により、保健スタッフは以前よりもその地域へアクセスしやすくなっています。
2024年8月に生後10カ月の乳児がまひを起こして以降、新たなポリオの症例は報告されていませんが、2024年12月と2025年1月にデルバラハとハンユニスで採取された新たな環境サンプルから、ポリオウイルスの伝播が確認されました。検出されたポリオウイルス株は、2024年7月にガザ地区で検出されたウイルスと遺伝的に関係しています。
今回実施される集団予防接種では、以前に予防接種を受けられなかった子どもを含め、10歳未満のすべての子どもにワクチン投与を行い、「免疫ギャップ」を埋めて集団発生を終息させることを目指しています。経口ポリオワクチンを使用することで、ウイルスの感染拡大を防ぎ、今回の集団発生を終息させることができます。4月には、追加のポリオ予防接種が実施される予定です。
この集団予防接種はパレスチナ保健省が主導し、ユニセフ、世界保健機関(WHO)、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)およびその他のパートナーの支援を受けて実施されます。
ポリオワクチンは安全であり、子どもが接種できる回数に上限はありません。1回の投与ごとに、ポリオの集団発生時に必要な追加的な感染予防効果が得られます。
ユニセフらは、このたびの停戦を歓迎し、長期の平和につながる恒久的停戦を強く求めています。
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(https://www.unicef.or.jp )
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