ウクライナ危機3年 2,520人以上の子どもが死傷 「5人に1人が近親者か友人亡くす」ユニセフ発表 【プレスリリース】

【2025年2月21日 キーウ/ニューヨーク発】

南部の主要都市へルソンで暮らすアンドレイさん(10歳)。昨年の冬に父親を亡くし、「僕がママを支えたい」と話す(ウクライナ、2025年2月9日)© UNICEF/UNI738309/Filippov

ユニセフ(国連児童基金)が本日発表した調査データによると、ウクライナで3年前に戦争が激化して以降、5人に1人の子どもが近親者や友人を失っています。戦争はウクライナのすべての子どもに途方もない影響を与えている、とユニセフはあらためて警鐘を鳴らしています。

ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルはこう述べています。「あまりにも長い間、ウクライナの子どもの生活において、死と破壊が日常のものとなっています。この激しい暴力は、子どもに計り知れない恐怖と苦痛をもたらし、彼らの生活のあらゆる側面を途絶させています」

ハルキウ州チュフイフで廃墟と化した幼稚園。2発のロケット弾が直撃し建物はほぼ全壊したが、幸いにも死傷者はいなかった(ウクライナ、2024年7月17日撮影)© UNICEF/UNI614776/Pashkina

2024年に3年目を迎えた本格的な戦争は、ウクライナの子どもにとって、その前年よりもさらに死が身近に迫りました。2024年の子どもの死傷者数は、2023年と比較して50%以上増加しました。2022年2月以降、2,520人以上の子どもが死亡または負傷しています(死亡669人・負傷1,854人、2022年2月24日~2025年1月31日の集計)。これらは国連が確認できた子どもの死傷者数のみのため、実際の数はこれよりはるかに多いと考えられます。過去3年間で、1,600以上の教育施設と790近くの保健医療施設が損傷した、または破壊されたことが確認されています。

 子どもや若者は戦争により深刻な喪失や剥奪に遭い、人生の非常に重要な段階における発達やウェルビーイングに影響を受けています。

生まれてから3年間の経験は、生涯の健康と学びに影響を与えます。しかし、ウクライナの3歳の子どもは戦争しか知りません。親たちは身体的にも精神的にも疲れ果て、家庭生活に影響が出ていると訴えています。幼い子どもとその親が頼りにする必要不可欠なサービスも、戦争によって妨げられています。

ウクライナの子どもや若者にとって、青年期もまた、特に厳しい時期です。10代の若者のほぼ3分の1が、あまりの悲しみや絶望感から、日常的にしていた行動をとらなくなったと報告しています。 こうした心の動きは、女の子においてより多く見られます。

マリウポリで生まれたイェホルちゃん(3歳)。生まれてからずっと、安全な場所を求めて避難する生活を続けている(ウクライナ、2025年1月19日撮影) © UNICEF/UNI735778/Filippov

ウクライナの子どもや若者のメンタルヘルスの問題は、孤立により悪化しています。多くの子どもが、絶えず地下室に何時間も避難しているため、人との交流や学習の機会を失っています。40%近くの子どもが、オンラインのみ、または対面と遠隔を組み合わせた授業で学んでいます。学習への影響は深刻で、読解で平均2年、数学で平均1年の教育損失が生じています。

ユニセフ支援の家庭訪問プロブラム。遠隔地に住む親子のもとへ看護師が訪問し、子どもの発達を支援している(ウクライナ、2024年10月14日撮影) © UNICEF/UNI691525/Pecherytsia

ユニセフはウクライナ全土のパートナーと協力し、最前線地域に暮らす子どもに、保健ケアや安全な水、現金給付、教育、子どもの保護サービスへのアクセスなど、非常に重要な、命を守る支援を提供しています。また、水と衛生にかかわる配給網の修理や復旧を行うとともに、子どもがいる家庭に、厳しい冬を乗り切るための燃料や衣類へアクセスできるよう支援しています。

同時に、ユニセフはウクライナ政府やパートナーとともに、子どもとその家族のための仕組みを強化することで、復興と長期的な開発を支援し、社会的結束を築いています。これには、子どもの保護と社会的保護、保健、教育の各システムが、基本的な支援、ケア、機会を適時に質の高い状態で子どもに提供できるよう担保することが含まれます。

 現在、世界中で686万人のウクライナ難民が登録されており、そのうちほぼ100万人がポーランドに居住しています。難民の子どもにとって、学校教育へのアクセスは依然として課題であり、受け入れ国で暮らす、学齢期の難民の子どもの半数は、国内の教育システムに登録されていません。これは、子どもの学習機会や仲間と交流する機会を奪うだけでなく、ウクライナ復興に重要になるであろう必要不可欠なスキルを身につける機会を奪うことにもなります。ユニセフは引き続き、政府、自治体、現地のパートナーと協力し、難民の子どもに良質な教育、ヘルスケア、保護サービスを提供する体制の強化に取り組みます。

「子どもは、国際人道法および国際人権法にのっとり、戦争の影響から常に保護されなければなりません。何よりも、ウクライナの子どもたちには持続的な平和と、自らの可能性を十分に発揮する機会が必要です」(ラッセル事務局長)

* * *

■ 本信に関連する、学齢期の子どもに対し行った調査に関するユニセフの分析レポート(英語)は、こちらよりご覧いただけます。 

https://bit.ly/4hO5l9g 

■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(https://www.unicef.or.jp )

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

102フォロワー

RSS
URL
http://www.unicef.or.jp
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
-
設立
-