インバウンド市場の注力ターゲット調査2024
DMO・自治体、インバウンドの受け入れ整備に課題68.9% 人手不足課題を上回る結果に
株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村 吉弘、以下リクルート)の観光に関する調査・研究、地域振興機関『じゃらんリサーチセンター』(センター長:沢登 次彦、以下JRC)は、全国のDMO・自治体の訪日プロモーションにおけるターゲットを可視化することを目的に、インバウンドマーケットにおける市場別の注力ターゲットに関するアンケート調査を実施しました。本リリースでは、調査の一部にポイントを絞り、インバウンドの受け入れ整備に関して事例とともにご紹介します。
調査トピックス
インバウンドマーケットの注力市場は昨年と大きく変わらずトップ3は「台湾」「豪州」「米国」でした。ターゲットは明確になりつつも、インバウンドに関連して現在課題に感じていることの第1位は、「受け入れ整備」(68.9%)であることがわかりました。続いて2位が「人手不足」(65.5%)、3位が「誘客プロモーション」(58.2%)となっています。
そこで、インバウンド受け入れ整備と人手不足の課題に取り組んでいる地域の事例をご紹介します。
受け入れ整備では、観光事業者が業務工数の最適化をするための方法、旅行者が快適な旅をするための方法の2種類について、人手不足では最近注目度が高い短時間勤務のマッチング方法についてお伝えします。
※インバウンド市場の注力ターゲット調査2024の全体報告書はこちらよりご参照ください。
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20240522_travel_01.pdf
インバウンド対応課題に関する当社が関わる取り組み事例
<受け入れ整備の事例>
1. 観光客の需要予測でバスの運行数を調整~神奈川県箱根町~
箱根登山バスでは、箱根エリアへの来訪予測をもとにバスの増便を行い混雑回避や観光客のスムーズな周遊に取り組んでいる。
概要
・箱根DMOが事業者向けに、旅行者のアンケート集計結果や人流予測データ、交通情報といったさまざまなデータを確認できる「HAKONE DMO Touch!」というスマートフォン向けサービスを提供。
・箱根登山バスでは、この「HAKONE DMO Touch!」の予測データを活用し、運転手のシフト管理や増便の判断を実施。予測データで来訪者が2万人以上となった日程を増便とし、8~9日前に判断。
・観光地のバス運行は、住民中心のエリアに比べ予測が難しいが、来訪予測データの活用で、増便だけでなく、運転手にも、早めに出勤時間の変更などを伝えることができ、限られたリソースを適切に配置しやすくなった。
2. 決済手段の多い『Airペイ』の導入で、インバウンド客へ対応 ~クニャーネの店 有楽町店~
お客さまの3割をインバウンド客が占めるベーカリー。一つの端末で60種類以上の決済手段に対応できることで、さまざまな国のお客さまニーズをとりこぼさない。
概要
・お客さまは、バターの香りに誘われてふらっと来店される方が大半で現金を持ち歩いていない場合が多い。ほとんどのお客さまがキャッシュレスで決済し、食べ歩きで楽しみたいというニーズが高い。
・一つの端末でさまざまな決済手段に対応でき、新しく追加される決済手段は自動でアップデートされるため時代の変化に合わせた経営が可能。
・言葉が通じなくてもキャッシュレス決済であればスムーズに決済してもらえるメリットも大きい。
<人手不足への対応事例>
業務を細分化、短時間のプチ勤務として地域内外から人材募集を ~岐阜県~
宿泊施設の業務を細分化し、プチ勤務としての採用を実施。フルタイムでは働くことが難しい層とのマッチング、エリア外からの副業人材確保で人手不足を切り抜ける。
概要
・岐阜県高山市の宿泊施設は、インバウンド客の増加に伴い、域外資本の宿泊施設が急増。2025年度には5000室の器を備える地方都市になると言われている。
・一方で、少子高齢化で宿泊業における労働力不足が極めて顕著な岐阜県。そこで岐阜県は、高山市内の宿泊施設を対象に、「①宿の中で対応が必要な業務を地域で暮らす人向けにプチ勤務化」と、「②宿の外でも遂行できる業務を地域の外で暮らす人向けにプチ勤務化し、リモートワークで任せる」というスキームに挑戦。
・具体的には、①においては、時間限定でフロント業務の切り出しや、食事において料理の「盛り付け」業務をプチ勤務として切り出し、0円でカンタンに求人募集ができる採用管理サービス『Airワーク 採用管理』を活用して採用を実施。主婦やシニア、県外UIターン者などの採用に成功。
・また②においては、SNSマーケティング、ECサイトの運営、パンフレットやWebサイトのデザインなど、高山市内ではスキルを持つ人が少ない、デジタル・クリエイティブ系の専門業務を、リクルートが運営するふるさと副業・社会人インターンのマッチングサービス『サンカク』で募集。その結果、4施設5求人にて総勢200名の応募、5名内定という成果となった。
研究担当者によるコメント
株式会社リクルート じゃらんリサーチセンター 研究員
松本 百加里(まつもと ゆかり)
2023年の年間訪日外客数は2500万人を超え、訪日外客数は右肩上がりで急回復して単月では10月に2019年同月比100%を超えています。マーケットの急な戻りに対し、地域側の受け入れ体制を構築しきれなかったことで「受け入れ整備」と「人手不足」が課題の上位になったと考えます。今後は需要予測などを行うことで、限りあるリソースを最適化しながら人員配置をしていくこと、デジタルツールで解決できることは置き替えて、人しかできないサービスで高付加価値化して稼げる地域へ発展させることが重要になります。今回の地域事例など参考にしていただけますと幸いです。
【調査背景・目的】
観光庁・日本政府観光局(JNTO)は、持続可能な観光・消費額拡大・地方誘客促進の実現に向けて、2023年に訪日マーケティング戦略を策定しました。うち、市場別マーケティング戦略にて、一人当たりの消費額や地方部宿泊数の向上につながる市場別のターゲットなどを、属性等のデータも含めて公表しました。そこで、『じゃらんリサーチセンター(JRC)』は、市場別ターゲットデータを全国の自治体・DMO(観光地域づくり法人)に提示して注力ターゲットに関する調査を実施。具体的な注力ターゲットを可視化することで、インバウンド市場のマーケティングリテラシーの向上や全国の組織間の連携の一助になることを目指します。本アンケート調査は、 JNTO協力のもと実施しています。
【調査概要】
◎調査期間:2023年11月27日(月)~ 2024年2月29日(木)
◎調査対象:登録DMO(広域連携DMO、地域連携DMO、地域DMO)、都道府県庁
◎調査方法:対象組織のインバウンド担当者宛に調査票を送付してインターネット上でアンケートを実施
◎回答数 :177(広域連携DMO/9 地域連携DMO・地域DMO/145 都道府県庁/23)
◎集計方針:n数が20未満の場合は、集計対象外とする
※2023年度は2022年10月3日(月)~ 2023年1月10日(火) 、回答数=73にて実施
詳細レポート https://jrc.jalan.net/wp-content/uploads/2023/06/release-inboundtarget.pdf
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