資生堂、適切なスキンケア美容法の実践をサポートするデジタルアプリケーション「Beauty AR Navigation」を開発
資生堂は、150年を超える歴史の中で培ってきた美容法や感性科学領域の知見と、AIを用いた微細な手の動きを検出する動作認識技術を活用し、美容法の伝授が対面でできないような場所であっても、スマートフォンやタブレット端末などを用いてインタラクティブにお客さまの適切な美容法の習得と実践をサポートすることができるデジタルアプリケーションシステム「Beauty AR Navigation」を開発しました。本アプリケーションを用いることにより、お客さまは動画やナレーションでわかりやすく適切な美容法を実践・習得することができるほか、自身が行う美容法に対して定量的な評価を得ることも可能で、長期的な美容法習得のモチベーションを上げることが期待できます。
本アプリケーションは、2024年1月9日~12日(現地時間)にアメリカ・ラスベガスにて開催される、世界最大級のデジタル技術の見本市「CES 2024」※1にて発表しました。あらゆる体験がデジタル化していく社会の変化を迅速に捉え開発された本アプリケーションを、今後生活者に向けて展開し、いつでも・どこでも使える多様な生活者や環境への対応と、美容行為ならではの満足感や幸福感を両立する、スキンケアの体験を提供していきます。
※1 CES 2024: https://www.ces.tech/about-ces.aspx
《スキンケアにおける美容法の重要性とデジタル社会における課題》
1872年の創業以来、当社は適切なスキンケア美容法の開発と、美容部員(現PBP:パーソナルビューティーパートナー)によるそれら美容法の伝授に力を入れて取り組んできました。実際、美容法はスキンケアの効果を最大限得るために重要であることが科学的にも明らかになってきており、資生堂が開発した「軽圧式塗布法」に沿って化粧水・乳液を塗布すると、自己流でのお手入れに比べ、スキンケア後のうるおいやハリ・弾力に関する効果実感が高まることや、気持ちがポジティブになるなどの心理効果のほか※2、実際に一ヶ月間美容法を継続することで肌の水分量が改善するといった結果が研究で得られています※3。
一方、商品の購買に至るまでの情報収集、カウンセリング、購買、その後の使用法の習得や使用後の評価・所感の共有まで、あらゆる化粧品の使用体験が、従来の店頭や人対人で行われていたスタイルから、スマートフォンなどを介して非接触、非対面で行われるデジタル体験に置き換わってきており、生活者の利便性が大きく向上しています。そのような中、当社のインタビュー調査によって、「自分自身の化粧品の使用法が正しいのか不安である」「本来期待できる化粧品の効果が、誤った使用法によって十分得られていないのではないか」「適切な使用法を知ることでさらに美しくなりたい」という生活者の悩みやニーズが明らかになりました。現在提供されているデジタル体験の利便性に加え、このような生活者の悩み・ニーズにテクノロジーの力でよりきめ細やかに応えるサービスの提供を目指し、今回、スマートフォンなどを用いてお客さまの適切な美容法の習得と実践をサポートすることができるデジタルアプリケーションの開発を進めました。
※2 渡辺ら.第22回日本感性工学会大会(2000年)にて発表
※3 資生堂が伝承する「ていねいなお手入れ」で肌も心もハッピーに【ここちよいうるおいVol. ③】(ワタシプラス内記事)
https://www.shiseido.co.jp/sw/beautyinfo/DB009657/?rt_pr=trp64
《アプリ「Beauty AR Navigation」の特徴》
今回開発したアプリには、大きく2つの機能が搭載され、お客さまの適切な美容法習得をサポートします。
(1)適切な美容動作へのナビゲーション
お客さま自身が行う美容動作をスマートフォンやタブレット端末などのカメラで認識し、その動作に対して当社の美容法開発を担う専門技術者による「お手本」動作の分析から設定した、適切な手の方向や速度などの動作を伝授します。動作の伝授は、AR技術※4によってユーザー自身の映像に重ねられた仮想の「手」の動きやナレーションなどによって、リアルタイムに直感的でわかりやすい形で行われます。
(2)お客さまの美容動作の評価
ナビゲーションの後、お手本の美容動作とお客さまの美容動作の手の位置や速度の比較解析を行うことで、お客さまの美容動作を定量的に評価し、その結果を提示します。
お客さまは(1)(2)のステップを備えた本アプリをご自身のスキンケアのタイミングにあわせて継続使用することによって、これまでのオンラインカウンセリングなどに加え、非接触・非対面の環境であってもさらに簡便に、モチベーションを高く維持しながら、適切な美容法を習得することが可能になると考えられます。
※4 AR技術:拡張現実技術。CGなどで作るデジタル情報を重ね合わせるなどして現実を拡張する技術のこと。
《今後の展望》
資生堂は創業以来、自然や地球環境、社会を敬い、化粧品の開発・製造・販売を通じて、社会価値の創造に努めてきました。そして現在、「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」という企業使命のもと、ビューティーカンパニーならではのアプローチで社会課題を解決し、「人々が幸福を実感できる」サステナブルな社会の実現を目指しています。
今回開発したデジタルアプリケーション「Beauty AR Navigation」は、デジタルの力で、あらゆる人々に向け、いつでも・どこでも、ビューティーの力を享受できる機会をインクルーシブに提供し、このサステナブルな社会の実現を加速するための重要な技術です。今後この技術を当社のビジネスへ早期に応用し、生活者のみなさまのお手元へ届けます。また、他のデジタル技術についても、今後その開発と社会実装を加速していきます。
《参考:資生堂のデジタル技術に関するニュースリリース》
・資生堂、顔画像から将来の肌悩みを予測できるツールを開発 (2023)
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003728&rt_pr=trp64
・資生堂の肌分析コンテンツ「肌パシャ」が機能強化でさらに便利に (2021)
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003244&rt_pr=trp64
・資生堂、顔形状3次元データから表情を解析するアプリケーションの開発に成功 (2021)
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003174&rt_pr=trp64
・資生堂、「肌パシャ」(肌測定・アドバイスアプリ)を2017年9月28日(木)提供開始 (2017)
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002276&rt_pr=trp64
・資生堂、顔・表情研究から生まれた「笑顔アプリ」を実用化 (2017)
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002323&rt_pr=trp64
R&D戦略について:
本研究は、R&D戦略3本柱の1つである「Future Beauty INNOVATION」のもと、肌・身体・心の調和がとれた美の実現を目指し、人の感覚や心理といった主観的なものを客観的・科学的なアプローチで解き明かす、強みの「感性科学領域」の研究知見を活かして進められました。
・2022年統合レポート(ビューティーイノベーション)
https://corp.shiseido.com/report/jp/2022/value_creation/innovation/?rt_pr=trp64
・キーワード
Future Beauty INNOVATION、感性科学、デジタル、美容法
▼ ニュースリリース
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003748&rt_pr=trp64
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