ナショナル・シアター・ライブ × PARCO PRODUCE 2023 『橋からの眺め』コラボレーション企画
舞台演出家ジョー・ヒル=ギビンズトークイベント オフィシャル・レポート & 動画公開
シネリーブル池袋にて開催中のNTLiveアンコール夏祭りに合わせ、初の海外ゲストとして、ロンドンからヒル=ギビンズ氏を迎え実施したトークイベントでは、各国で活躍を続けるヒル=ギビンズ氏が思う、イギリスの演劇事情や、NTLiveから自身が受けた影響、そして『橋からの眺め』と自身の演出について、日本の観客を前に語りました。
ヒル=ギビンズ氏の日本では初となる演出作品 PARCO PRODUCE 2023 『橋からの眺め』(出演:伊藤英明、坂井真紀、福地桃子、松島庄汰、和田正人、高橋克実)は、9/2(土)から東京芸術劇場プレイハウスにて開幕いたします。(他 福岡、広島、京都公演あり。) 作家アーサー・ミラーの代表作とも言える『橋からの眺め』を、演劇とオペラの演出家として定評があり、コンセプチュアルな演出で、国際的にも高い評価を受けるヒル=ギビンズ氏が、日本でどのような作品を誕生させるのか、是非ご期待下さい。
オフィシャルレポート
ナショナル・シアター・ライブ(NTLive)アンコール夏祭り 舞台演出家ジョー・ヒル=ギビンズ トークイベント
パルコ・プロデュース『橋からの眺め』演出のため、イギリス・ロンドンから来日した気鋭の演出家ジョー・ヒル=ギビンズが、7月23日にシネ・リーブル池袋で開催の「ナショナル・シアター・ライブ(NTLive)アンコール夏祭り」のトークイベントに登壇。司会進行はNTLive日本公開時のパンフレット編集を担う演劇ライターの兵藤あおみ、通訳は角田美知代。中盤からは『橋からの眺め』の翻訳を務める広田敦郎がゲストとして参加した。
まず、2019年に日本でも公開されたヒル=ギビンズ作、サイモン・ラッセル・ビール主演のシェイクスピア『リチャード二世』について兵藤から質問されると、演出意図について丁寧に語り始めた。なぜ舞台セットを窓も出入口もない牢獄にしたのか、なぜ衣裳を現代的でシンプルにしたのか……など、そのアイディアや理由を惜しまず詳細に説明。観客一人ひとりに目を合わせるように語り掛けるヒル=ギビンズの話に、『リチャード二世』を鑑賞した観客たちが感心して頷いている様子がうかがえた。2022年、『リーマン・トリロジー』(サム・メンデス演出)での演技で第75回トニー賞 演劇主演男優賞を受賞したサイモン・ラッセル・ビールとのコラボレーションについて話がおよぶと、「とにかく素晴らしい経験だった」とヒル=ギビンズ。斬新な演出にも理解を示し、すべてを受け入れてくれた「素晴らしい俳優で、素晴らしいカンパニーのリーダー(座長)」と絶賛した。つづけてプレビュー公演の際の失敗談も披露、観客の笑いを誘う。
日本での演出が初めてとなるアーサー・ミラー作『橋からの眺め』について話題が移り、翻訳家の広田も登壇。「アーサー・ミラーは、普通の人を主人公にした悲劇でも骨太の物語として描けることを示した劇作家。中でも『橋からの眺め』は普通の人の悲劇をさらに洗練して、これまでの表現を凝縮したような戯曲。シンプルで力強く、ものすごく一直線な悲劇」と翻訳しての印象を語る。「ジョーさんはマンチェスター大学で演劇を学び、その後、ロイヤルコート劇場でアシスタント・ディレクターとして働きながら文芸部にも所属して数多くの戯曲を読んでいた経験を持つ、戯曲を読む力を持った演出家。そのジョーさんが『橋からの眺め』をどう読んだのか、その魅力は?」と兵藤。するとヒル=ギビンズが「素晴らしい戯曲。アーサー・ミラーが書いた戯曲の中でも最高傑作だと思う。エディという男とその姪であるキャサリンを中心に描かれているが、エディがキャサリンに対して抱いている想いが複雑だと分かってくることで、家族という関係とロマンス(大人同士の性的な想い)が交わることによって生じる複雑な状況、あるいは混乱が露わになっていく」と印象を語った。
ほかにも、ドイツでの演出経験から得たこと、古典作品で現代の観客に語り掛けるにはどう演出するか、など話は尽きない。通訳を忘れるほど熱く語り、我に返って通訳の角田に詫びる一幕では、客席から笑いが起こる。また、イベント直後に上映された人気作品『フランケンシュタイン』(主演:ベネディクト・カンバーバッチ、ジョニー・リー・ミラー)の見どころも。ヒル=ギビンズとカンバーバッチはマンチェスター大学の同窓生、「友達のベネディクトが作品の中心となるモンスターを演じているのを(劇場で)観た時は嬉しかった」と微笑んだ。
40分ほどの短い時間ではあったが、全方位に気を配り、実直で丁寧、またユーモアに溢れているという人柄も伝わる濃密なトークイベントだった。
【本トークイベントの動画URL (ナショナル・シアター・ライブ 日本公式サイト) 】
https://www.ntlive.jp/events
〈プロフィール〉 Joe Hill-Gibbins | ジョー・ヒル=ギビンズ
イギリスの演劇・オペラ演出家。ロンドンのヤング・ヴィック・シアターで副芸術監督を務め、これまで、『夏の夜の夢』、『尺には尺を』(ウィリアム・シェイクスピア作)、『チェンジリング』(トマス・ミドルトン作)、『ガラスの動物園』(テネシー・ウィリアムズ作)、『リスペクタブル・ウェディング』(ベルトルト・ブレヒト作)、『ビューティ・クイーン・オブ・リナーン』(マーティン・マクドナー作)等の演出を手掛ける。英ナショナル・シアターで、『アブソリュート・ヘル』、『エドワード二世』、アルメイダ・シアターで、『リトル・レボリューション』、サイモン・ラッセル・ビール主演『リチャード二世』を演出。『リチャード二世』は、「ナショナル・シアター・ライブ 2019」でも、各国で上映される。自身が演出家としてのキャリアをスタートした劇場でもあるロイヤルコート・シアターでは、『ザ・ヴィレッジ・バイク』、『ザ・ガールフレンド・エクスペリエンス』を演出するなど、ロンドンの主要劇場で創作を続ける。また、ドイツのミュンヘン・レジデンツにて『夏の客』、スイスのシアター・バーゼルで『メアリー・ページ・マーロウ』を演出するなど、国際的にも活躍する。オペラの演出では、『フィガロの結婚』、『パウダー・ハー・フェイス』(イングリッシュ・ナショナル・オペラ)、『グリーク』(エディンバラ国際フェスティバル、ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック)などがある。日本での演出は『橋からの眺め』(アーサー・ミラー作)が初となる。
https://www.joehillgibbins.com/
【PARCO PRODUCE 2023 『橋からの眺め』 公演概要】
9/2(土)〜9/24(日) 東京芸術劇場 プレイハウス 他 北九州、広島、京都公演あり
作:アーサー・ミラー
翻訳:広田敦郎
演出:ジョー・ヒル=ギビンズ
美術・衣裳 : アレックス・ラウド
出演:伊藤英明、坂井真紀、福地桃子、松島庄汰、和田正人、高橋克実
公式HP : https://stage.parco.jp/program/aviewfromthebridge
【公演に関するお問合せ先】
パルコステージ TEL: 03-3477-5858 https://stage.parco.jp/
【NTLiveアンコール夏祭り】
NTLiveでは、過去特に好評を得た名作を上映するアンコール夏祭りを、8/10(木)まで絶賛開催中。今後も、『ライフ・オブ・パイ』、『ベスト・オブ・エネミーズ』など、英国ナショナル・シアターが厳選した、世界で観られるべき傑作舞台の上映が予定されております。
『リア王』(イアン・マッケラン主演版)8/10(木)
『かもめ』 8/9(水)
【NTLive 2023 最新作】
『ベスト・オブ・エネミーズ』9/8(金)〜 TOHOシネマズ 日本橋ほか
日本公式HP : http://www.ntlive.jp
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