スーダン エル・ファーシル 500日の包囲、16カ月以上支援遮断  「子どもが飢えに苦しんでいる」 【プレスリリース】

北ダルフール州エル・ファーシルで戦闘が激化し、タウィラの一時避難所まで逃れてきた家族。生まれたばかりの赤ちゃんを抱いている(スーダン、2025年8月23日撮影) © UNICEF/UNI851791/Jamal

【2025年8月27日 ニューヨーク/ポートスーダン発】

ユニセフ(国連児童基金)は、500日間にわたって包囲状態が続くスーダン北ダルフール州のエル・ファーシル市で、栄養不良、疾病、暴力によって日々幼い命が奪われていると警鐘を鳴らし、同地域の子どもに支援を届けるための妨げのない人道アクセスを求めました。

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過去数カ月でエル・ファーシルとその周辺のキャンプから、少なくとも60万人が避難を余儀なくされており、その半数は子どもです。市内では推定26万人の民間人(うち13万人が子ども)が16カ月以上もの間、支援から遮断され、絶望的な状況に取り残されています。

ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは次のように述べました。「私たちはとてつもない悲劇を目の当たりにしています。エル・ファーシルの子どもが飢えに苦しんでいるにもかかわらず、命を守るユニセフの栄養支援が妨げられています。人道支援活動を妨げることは、子どもの権利に対する重大な権利侵害であり、子どもの命が危機にさらされています。ユニセフは、支援を必要とするすべての子どもに支援を届けるために、戦闘の一時停止の拡大を含む、現地への即時かつ完全なアクセスを引き続き求めています。子どもは常に保護され、命を守るための支援を受けられるべきです」

子どもへの被害は壊滅的です。2024年4月に包囲が始まって以降、エル・ファーシルだけで1,100件以上の重大な権利侵害が確認されました。1,000人以上の子どもが命を奪われたり、重傷を負ったりしており、その多くは自宅や避難民キャンプ、市場で襲撃されました。少なくとも23人の子どもが性的暴行、集団性的暴行、性的虐待の被害に遭い、その他にも武装集団による子どもの拉致、徴兵・徴用が行われています。現地へのアクセスが限られていることと検証の困難さから、被害を受けた子どもの数は実際にはさらに多いとみられます。

北ダルフール州エル・ファーシルの一時避難場所に集まった人々(スーダン、2025年8月25日撮影) © UNICEF 2025/UNI852301

今週、またもや多数の犠牲者が出た事件が報じられました。エル・ファーシルの郊外に位置するアブ・シューク国内避難民キャンプへの攻撃で7人の子どもが命を落としたと伝えられました。

 

エル・ファーシルでは、即応支援部隊(RSF)の包囲により、物資の輸送経路が完全に断たれました。医療施設と移動式栄養チームは、新たな物資の搬入ができない中で備蓄していた物資が枯渇したため、支援活動を停止せざるを得ず、推定6,000人の重度の急性栄養不良(SAM)の子どもが治療を受けられない状態にあります。栄養治療食と医療ケアがなければ、これらの子どもが死に至るリスクが、飛躍的に高まります。

 

医療・教育施設への攻撃が続いており、エル・ファーシルのサウジ産科病院を含む35の病院と6つの学校が攻撃を受けました。同病院はすでに10回以上攻撃されており、子どもを含む多数の死者・負傷者が発生しました。1月にはアブ・シューク・キャンプの治療センターが砲撃により破壊され、何千人もの栄養不良の子どもが治療を受けることができなくなりました。

 

北ダルフール州エル・ファーシルの一時避難所で、食事をする子どもたち(スーダン、2025年8月25日撮影) © UNICEF 2025/UNI852301

一方で、急性栄養不良も急速に拡大しています。エル・ファーシルでは1月以降、1万人以上の子どもがSAMの治療を受けており、昨年の数のほぼ2倍に達しました。しかし物資の枯渇により、現在、治療ケアサービスは停止を余儀なくされています。最近の報告によれば、わずか1週間で少なくとも63人が栄養不良により亡くなり、その大半が女性と子どもでした。

 周辺地域全体の状況も懸念されています。7月には、エル・ファーシルからの避難民を多く受け入れているメリット地域で、急性栄養不良の割合が34.2%を記録しました。これは2023年4月にスーダンで戦争が始まって以来、最も高い値です。

 

今回の包囲は、スーダンにおいて過去数十年で最悪のコレラ集団感染と重なっています。2024年7月以降、国内で9万6,000件以上の疑い症例と2,400人の犠牲が報告され、ダルフール州だけで5,000件近くの症例と98人が亡くなったことが確認されています。タウィラ、ザムザム、エル・ファーシル周辺の過密なキャンプでは、飢餓で衰弱した子どもが、死に至ることもある水系感染症に対して、極めて脆弱な状態にあります。

 

ユニセフは引き続き、スーダン政府およびその他の関係する全ての当事者に対し、スーダン国内のあらゆる場所にいる子どもに届けるための持続的かつ妨げられず安全なアクセスを確保するよう支援を要請しています。これには以下を含みます。

 

  • エル・ファーシルおよびその他の紛争影響地域における即時かつ持続的な戦闘の人道的休止

  • 栄養治療食、医薬品、清潔な水、その他の必需品を届けるための妨げのない人道アクセス

  •  最も深刻な影響を受けた地域における国連およびパートナー機関の活動の再構築と継続

  •  国際人道法に沿った、子どもを含む民間人および民間インフラの保護

 

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■     注記

ユニセフは集団感染の拡大 を食い止め、命が失われることを防ぐため、保健、 水と衛生、社会・行動変容の分野におけるスーダンでの緊急コレラ対策に、3,060万米ドルの追加資金を緊急に必要としています。

 

2024年8月12日に公式 に集団感染が宣言されて以来、スーダンの18州のうち17州で9万4,170人以上のコレラの症例と2,370人以上の死亡が報告されています。

 

ユニセフは、他国連機関を含むパートナーと、ワクチン提供に関する 国際調整グループ(ICG)の枠組みを通じて協力し、140万回分を超える経口コレラワクチンを供給する準備を進めています。最も脆弱な人々への迅速かつ効果的な保護を担保するため、この連携において、ユニセフはワクチン調達、コールドチェーン 、コミュニティの関与を取りまとめています。

 

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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、アドボカシーを担っています。(https://www.unicef.or.jp )

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会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

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URL
http://www.unicef.or.jp
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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