ガザ地区の子ども 5歳未満の9,300人が急性栄養不良 ユニセフ、迅速かつ制限なき物資搬入を訴え 【プレスリリース】

【2025年11月28日 ニューヨーク発】
パレスチナ・ガザ地区では、深刻な栄養不良が依然として子どもたちの命とウェルビーイングを脅かしています。さらに冬の到来に伴い感染症の広がりが加速し、最も脆弱な立場にある子どもたちの死亡リスクが一層高まる、とユニセフ(国連児童基金)は警鐘を鳴らしています。
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ユニセフとパートナーによる栄養状態の検査の結果、10月には急性栄養不良の5歳未満の子どもが約9,300人確認されました。これは9月の1万1,746人、8月の1万4,363人から減少しています。この減少傾向はガザの子どもの急性栄養不良の治療と予防に進展があることを示していますが、10月に治療を受けた子どもの数は依然として過去最多の水準にあり、前回の停戦期間中の2025年2月と比較すると約5倍に達しています。

ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは次のように述べています。「進展はあるものの、ガザでは依然として1万人近くもの5歳未満の子どもが急性栄養不良に陥っており、さらに多くの子どもたちが適切な住居、衛生環境、冬への備えを欠いています。ガザではあまりにも多くの子どもたちが飢餓や疾病、寒さにさらされており、こうした状況に命を脅かされています。これらの子どもたちを守るには、一刻を争うのです」
ここ数週間でガザ地区へより多くの食料が搬入されるようになり、市場の食料価格が下がったことで、人々が食料を手に入れやすくなっています。しかしながら、基本的食品の多く、特に動物性食品は、依然として大半の人々にとって入手不可能、あるいは手が届かない価格のままです。ユニセフが10月に実施した家庭調査によれば、5歳未満の子どもの3人に2人が、推奨される8つの食品群のうち、前週に摂取したのは2食品群以下で、そのほとんどが穀物、パン、または小麦粉でした。
冬の寒さが本格化する中、何千もの避難家族が暖かい衣服や毛布もなく、風雨や寒さから身を守る手段のない仮設シェルターで暮らしています。一方、豪雨により廃棄物や汚水が洪水で流され人口の密集している区域に流入しています。
衛生状態の悪化、過密状態、安全な水が十分に確保できない状況により、感染症が急速に拡大し、特に幼い子どもたちに深刻な影響を及ぼしています。栄養不良と疾病の組み合わせは特に致命的であり、双方が互いに悪化を加速させます。さらに、寒さが体のエネルギー必要量を劇的に増加させ、脂肪や筋肉の蓄えがない栄養不良の子どもたちは低体温症の深刻な危険にさらされます。

ユニセフはガザ地区、特に8月に飢きんが確認されたガザ市において栄養支援を強化しています。ここでは停戦以降、急性栄養不良の治療拠点が7カ所から26カ所に増え、急性栄養不良に苦しむ子どもたちが、命を守る治療を受けやすくなりました。加えて、停戦以降、ユニセフは5,000張以上の家族用テント、24万7,000枚の防水シート、69万2,000枚の毛布、5万500枚のマットレス、20万6,000セットの冬用衣類をガザ地区に搬入しました。

ユニセフは、避難所での浸水を防ぎ、子どもたちの健康を守るため、越冬に向けた物資やサービスを必要とする家族に、これらの物資を迅速に届けています。これにより具体的には、脆弱な家庭への現金給付、浸水の排水作業、雨水貯留池の補強、水路や配管からのがれき除去、そして国内避難民が暮らす場所の浸水防止用土のうの設置などが実施されました。破壊が甚大で基本的サービスが欠如し、極めて脆弱な状況に置かれている北ガザ県のジャバリアの家族など、これまで支援が届かなかったため深刻なニーズがある人々にも支援を届けました。
しかしながら、国境では大量の冬用物資がガザ地区への入域待ちの状態にあり、すでに配布した物資の補充が追い付いていません。国際人道法に則り、ガザ地区への人道支援物資の安全で迅速、かつ妨げられない搬入を求めます。
また、全ての当事者に以下のことを強く要請します:
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ガザ地区への全ての検問所を同時に開放し、通関手続きを簡素化・迅速化するとともに、人道支援物資の搬入が優先であることを明確にすること。
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エジプト、イスラエル、ヨルダン、ヨルダン川西岸地区を含む、あらゆる可能な供給ルートを通じた人道支援物資の搬入を認めること。
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命を守り、生活を維持するためのあらゆる物資(これまで拒否または制限されていた品目を含む)の大規模かつ緊急の搬入を認めること。水と衛生に関する支援として、ユニセフは、水処理薬品、予備部品、ならびに上下水道システムの修理・維持・運営に必要な資材が、必要な規模でガザ地区に搬入されることを求める。
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、アドボカシーを担っています。(https://www.unicef.or.jp )
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